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52話 帰る前に

 「マリガルド、1つ聞きたいんだが。」「なんだ?」「噂でエルフの子供は親が生きている間は耳の先に切れ込みがあるって聞いたんだが。」「あぁ、それは正しいぞ。知っている人は少ないが。左耳が父親、右耳が母親だ。だが、どこ情報だ?」「ティア。」「納得だ。」「ありがとう。」「これくらいどうってことないよ。また来てくれることを願っている。」「多分ニルティアが来たいっていうだろうからすぐ来ることになると思うよ。」それからマリガルドと少し話して俺は宿に戻って来た。「あ、ショウ!おかえり!」宿の前で座っていたニルティアと目が合った。「ただいま。みんなは?」「みんな準備終わってショウが帰ってくるの待ってるよ。」あ、もう終わったのか。「明らかにもう帰れるけど、やっぱり夕方なの?」ニルティアが聞いてきた。俺はドアノブに手を置きながらそれを聞いた。「あぁ、1つまだ終わってないことがあるからさ。」ニルティアが首を傾げている。中に入るとテイリアスとアイシャ、それにアリスが椅子に座っていた。「おかえりさない。」「ただいま。」俺も椅子に腰かける。「ショウ、これからどうするの?」アイシャに聞かれた。「今から衛兵のところに行こうと思ってる。」「衛兵?なんで?」「俺をさした少年に少し話を聞きたいと思ってさ。」「あ、見つかったんだ。」「あぁ、だから会いに行きたいんだ。」

 昼過ぎ、俺は衛兵たちの駐屯所に来ていた。門番に自分の名前を伝えると、するすると中に入れた。「こちらでお待ちください。」と言われたから扉の前でおとなしく待っていると、ルイが角から曲がって来た。「お久しぶりです。ショウさん。」「あぁ、久しぶりだな。」「族長とも面会されたようで、とても喜んでおられました。」「それはよかった。」まぁ、交渉が成立したからだろうな。そのとき、扉が開いた。「お入りください。」俺はドアの向こう側に行った。

 扉の奥には檻があり、その中に以前の少年がいた。「昨日の夜、リンフィア様が発見し、連行いたしました。」「そうか。」俺は少年の前でしゃがむ。「名前は?」「お前に言う名前なんかない。」「そうか。今日は一つ話があって来たんだ。お前の母親、遺体はあるのか?」少年の眉が少し上がった。「遺体?見ていない。」この話題なら話してくれそうだ。「お前の母親を殺したのは人類か?」「あぁ、そうだ。お前たち人類だ。」「ショウさん、少し前にアンサレストから出たエルフが戻ってこなかったという報告がありました。おそらくこの子の母親かと。」「そうか。」「お前の母親の名前は?」「、、エリザ。」「ありがとう。探そう。」「、、は?」「遺体もないのに死んだと決めつけるのは不謹慎だろう?少しでも希望があるのなら、その希望を突き詰める。それが俺だ。その先に絶望があってもしっかり受け止めるんだ。」お前はまだまだ自分を変えられる。「エリオット。」その言葉への反応が少し遅れた。「僕の名前。お母さん探す時に役に立つでしょ?」その少年―エリオットは立ち上がった。そして俺の前に来た。「必ずお母さんを見つけて。」俺は無意識にその少年の胸に自分のこぶしを当てていた。「任せろ。」エリオットの目に光るものが見えた。

 「でも、あんなこと言っちゃって大丈夫だったんですか?」檻から出てさっきの廊下に出たところでルイに聞かれた。「あぁ、もちろん。あいつの母親は少なくとも生きてるよ。」「なんですかその自信。」「あの子の耳の先に切れ込みがあった。」「切れ込み?だから何って?」ルイにも切れ込みがある。「ルイお母さん生きてるでしょ?」「そりゃあね。」「でもお父さんはいない。」「え?なんでわかるの?」「左耳の切れ込みがないからさ。」「へー、そんなことあるんだ。」ルイは自分の耳を触る。「あ、ほんとだ。なんか切れてる。」

 宿に戻って来た。「帰りますか?」みんなもう外に出ていた。「あぁ、帰ろか。」「それじゃあ。」テイリアスが地面に魔方陣を展開した。「あ、ショウさーん!また来てくださいねー!」遠くの方でリンフィアが大きく手を振っている。隣にいるルイは小さく手を振っている。「お姉ちゃん元気でねー!」ティアは階段の途中から手を振っていた。そのあとも見送りの人たちに見送られて俺たちは魔法陣の中に入った。視界がぼやけ始めた。あぁ、やっと帰るのか。久しぶりだな。でも、エルフ村は楽しかった。居心地がよかったんだと思う。

あとがきに書くことが少し思い浮かばなくなってきました。どうしましょう。まぁ、次の話も読んでいただけると嬉しいです。

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