36.5話 野営の夜
あぁ、目が覚めてしまった。俺は起き上がる。でも、テントなんてものはこの世界にはないから、地面に何枚かの厚い布を敷いてその上に寝ているだけなのだが、思ったより寝られるものだな。今夜は起きたけど。ふと周りを見ると、アリスとアイシャ、それにニルティアは火を挟んで向こう側に寝ているが、テイリアスの姿が見えない。テイリアスが寝ていた布は抜け殻になっている。、、まさか逃げたのか?いや、さすがにそんなことはないだろうけど。俺は立ち上がり、腰に剣を差して森のほうへ向かう。正直夜の森は怖いから行きたくないけれど、テイリアスがもし俺たちを嵌めようとしているのなら、阻止しなければならない。森の道を歩いていると、木々の隙間で何か光ったように見えた。なんだ?俺の足は自然とその光の方へ向いていた。少しくらいなら道から外れても戻れるだろう。木々の隙間を抜けていくと、少し開けた場所に着いた。小さな池がある。「おや、起こしちゃったかな。」池のほとりにテイリアスが座っていた。「ごめん、音立てちゃった。」「いやいいけど。」「ありがと。」俺の言葉を聞いてテイリアスは上を見る。「見てごらんよ。」促されて俺も上を見ると、きれいな星空が広がっていた。「昔はよくティアと星を見ていたんだけどね。」テイリアスの言葉からは悲しみと寂しさがにじみ出ている。「この場所も知っていたのか?」「もちろん。ここは元々人類と魔族が仲良く暮らしていた街だからね。」「なるほどな。」ここはテイリアスたちの故郷なのか?まぁ、いいか。俺は池のほとりに近づく。「座ってもいいか?」「いいよ。」俺はテイリアスの隣に腰を下ろした。「あれが北斗七星だね。」「え?どこ。」マジでわからない。「ほら、あそこにある星。あれが北極星だから、、。」ごめんさっぱりだ。「ん、、、?あ、あれか。あのなんか直線じゃなくてちょっとグニャってなってるやつ。」「たぶんそれ。」いやぁ、理科は好きだったし得意だったんだけど地学は、特に星の分野は理解できなかったんだよな。「人類と魔族が平和に暮らしてた街、なんて信じられないだろう?」テイリアスは星を見たまま言う。「今の状況を考えれば信じられないな。」「だろうな。」それから少しの間、俺はテイリアスと星を眺めていた。「よし、寝ようかな。」テイリアスが立ち上がった。「だな。」俺はテイリアスとみんなの寝ている場所に戻った。
番外編的なものを書いてしまいましたね。ちょっと、というより大分私の中でテイリアスを気に入っているようですね。めちゃくちゃテイリアスが好きかもしれないです(笑)。37話ではさすがに話を進めようと思っていますので読んでいただけると幸いです!では次の話で!