34話 新事実!?
「まぁ、このくらいかな。」ティアが立ち上がる。「帰るんですか?」思わず声をかけてしまった。「あぁ、エルフ族の村に帰らないとね。私は副々族長だから。」ティアが応えた。「副々族長なんですか?」「うん。まぁ、意外だよね。」「てっきり族長かと思いました。」アリスが言った。「まぁ、最初は族長候補だったんだけど、大賢者って何かと王都に行ったり今日みたいにどこかの街にお手伝いに行ったりで留守のことが多いから、無理だねってなったんだよ。」なるほど。だから副々族長なのか。「また今度エルフ族の村に遊びに行っていいですか?」アリスが言うと、ティアは少し考え始めた。「んー。エルフ族の村は日々移動しているから、『ここだ!』とは言えないんだよね。まぁ、帰還困難の森を彷徨っていたらいつか出会えるかもね。」いつになることやら。帰還困難の森ってたしか王都から西に進んだところにある大きな森だよな。前にアイシャに教えてもらった気がする。まぁ、名前の通り1度入ると、ほぼ出るのは不可能って言われている森だから、冒険者たちは西に行くときはほぼ確実に迂回して森の外側を行く。その中にエルフ族の村があるのか。「でも、なるべく人には教えないでくれ。それと、人類を嫌ってるエルフ族も相当数いるから気を付けて。」「どうしてですか?」「エルフ族はその希少性から奴隷としての価値が高いんだ。これで通じる?」ティアの魔力が少し激しくなる。怒っているな。おそらく、エルフ族が人類にさらわれて奴隷として売られているのだろう。まぁ、大体の転生物には奴隷があるけど、思ったより身近な問題のようだな。「まぁ、基本的には友好的な族だから、私の、アルフレッド・ティア・ユーテラスの弟子だと言ってくれれば通してくれるし仲良くしてもらえると思う。はいこれ。」ティアは俺たちに指輪を渡した。「弟子の証拠。それを門番に見せて。」弟子の証拠をそんな軽く渡したらダメでしょ。まぁ、ありがたくもらっておこう。俺は指輪を右手の人差し指にはめた。特に意味はない。「その指輪は戦闘中に役に立つかもね。」おっとそれはどういうことだ?何かしらスキルでもついてんのかな。「ありがとうございます!」アイシャとアリスが元気に礼をした。「うん、君たちが第1号だね。」「えっ!?」アリス、驚きすぎだ。「うん。今まで私弟子は取らない主義だったから。でも、」そう言ってティアはアイシャとアリスの顔を見た。「君たちは私と同じレベルになれるかも、って直感で思ったんだよね。だから弟子にする。いいかな?」「もちろんです!」魔法使いにとって大賢者に認められるのは相当うれしいことなんだろうな。とゆーか、アリスたちがティアのレベルになるのか?俺、めちゃくちゃおいて行かれる気がする。バン!!とドアが開いた。当然ながら俺は敵かと思ってすぐに剣を抜いてドアの方に向ける。視界の端でニルティアが飛び起きながら短剣を取るためにベッドサイドに手を伸ばしているのが見えた。すごい反応速度。「全く、警戒心が強いのはいいけど、人はちゃんと判別しないとだめだよ?」聞き覚えのある声が剣先のほうからして来た。ドアを勢いよく開けて壊しかけた犯人は、クリスだった。「帰って来たんですね。」俺は剣を鞘に戻す。ニルティアはもう剣をしまって再び寝ている。切り替えも早いようだな。「なんか襲撃?みたいなことされたって報告が王都に来たからさ。」え?「でも王都までは急いでも3日はかかりますよ?」「珍しくショウが質問してくるね。関心関心。」いや、口から勝手に言葉が先に出ただけですけど、、。もう言いませんよ?「えっとね、、あ。」クリスは座っているティアに向かって指を刺した。「あ、とはなんだ。」ティアが目線だけあげながら言う。「いや、私に精神干渉してきた犯人がわかったからさ。」精神干渉。漢字は怖いな。多分分かりやすく言ったらテレパシーみたいなものだろう。「いや、王都で習っただろう?特定の精神干渉は体制を持つことが許されていないから楽々聞こえるって。」ティアが教えるような口調で言う。「そのくらいは分かってますよ。」クリスはさっきの取り乱した感をカバーしようと必死になっているな。「まぁ、何事もなくティアさんが未然に防いだようなので良かったです。ありがとうございます。」うわぁ、。事務の人だ。「はぁ。そんな事務みたいな話し方は私にはしないでって言ったはずだけど?」うわぁ、、ティアもキレかけてるぅぅ。「あら、ごめん。忘れてたわ。」これは多分クリスの方が口では上手だな。「はぁ、人類年齢78に向かってどんな扱いよ。」あー、それは聞きたくなかったかも。「でも見た目は26歳でしょ?私より1つ下じゃないの。」あ、クリスは27歳か。ソフィリアは28だから1つ下か。「今日も元気そうね。」ティアは白い歯を見せた。「お陰様で。」クリスも笑った。なんだ?急に空気が変わったぞ?さっきまで押し殺されそうな威圧を放っていたのに、今はお花が咲いていそうな空気になっている。これは天国から地獄だな。あ、違うわ。地獄から天国だな。「もう帰るの?」クリスが言った。「うん。さっきこの子たちにも説明したけど、私はエルフ族副々族長だからね。ずっと留守にはできないよ。」「ま、そうよね。ありがとねー。おつかれー。」クリスはドアのところに立ったまま手を振っている。いや、そこに立ってたら帰れないでしょ。「うん。じゃあね。」ティアの足元に魔方陣が展開されている。あぁ、その手があったか。「ショウたちも頑張ってねー。」そう言ってティアはその場から消えた。まぁ、何事もなかったから良かった。さっき剣を抜いたときに少し違和感があった。これはまずいな。刃こぼれしている、、。マドリフさん、、、あぁ、行きたくないけど行かないともっとまずくなるよなぁ、、、。明日行こう。俺は明日怒られる覚悟をして、アリスたちと別れて自分の部屋に向かった。
俺は部屋に入った瞬間、剣を抜こうと鞘に手をかけていた。抑えてはいるが、、その膨大な魔力は少し溢れている。この魔力には心当たりがある。、、上か!俺は上を見た。「いいねぇー。」聞き覚えのある声。だが、、この威圧感。、、そう、俺の部屋にいたのは、テイスハイサーだった。トンッと床に降りてきた。「何をしに来た。」俺は手が震えているの隠すために剣の鞘を握りしめている。「いや、ティアが認めた剣士がどんなやつか気になってね。ただそれだけだよ。君に対して、とゆうか君たちに対しては敵意はないよ。」信じられないな。俺はまだ手を鞘から離さない。「、、、。まぁ、信じられないよね。」テイスハイサーはフードを取った。「なっ!?」思わず声が出た。「驚くよね。そうだよ。」、、俺の前にいるのは、、。ティアと同じ容姿のエルフだった。だが、、目の色が違う。ティアは青かったがテイスハイサーは赤い。なんだこの似方は。言葉を失っている俺をよそにテイスハイサーは話を続ける。「私の妹は、アルフレッド・ティア・ユーテラス。私は姉のアルフレッド・テイリアス・ソハイサー。」なんだその事実は。「とりあえずドア閉めていいかな?」テイスハイサー、、テイリアスはドアノブに手をかけた。「あ、あぁ。」今の情報の中で確実に噓だと思うものは無かった。その証拠は目に映っている。完璧に似た容姿がその証拠だろう。「ティアにはその姿を見せたのか?」ドアを閉めたテイリアスはベッドの上に座った。「もちろん、見せたよ。久しぶりに会った時に『お姉ちゃんだよ!』って言った。でもね、『私に姉はいません。とゆうかテイスハイサーじゃない?久しぶり!元気だった?』って返されちゃった。その時点で気づいたんだ。お父さんが言ってた言葉の意味が。」「、、、。」「昔、まぁ、50年以上前だよね。人類と魔族がまだ仲が良かったころ。私の両親は結婚した。母はエルフ族、父は魔族だった。これで大体察しが付くかな。」あぁ。大体は察したつもりだ。「人類と魔族が敵対するようになって、人類と協定を結んでいたエルフ族は魔族と戦うようになった。それで両親は別々で暮らすようになったの。そこで私は魔族である父に、ティアはエルフ族である母についていくことになった。おそらくそれからの生活のためを思ったんでしょうね。母はティアの記憶を変えたの。姉の存在を消し、昔から魔族に仲が良かった友人がいる、と。」「テイリアスは変えられなかったのか?」「えぇ。父は私にいつも、『いつか、人類と魔族が仲直りしたときに、ティアに教えてあげなさい。』って言ってた。最初はその言葉の真意がわからなかったけど、ティアにあったときに理解した。この争いが終われば、私はティアの記憶を戻す。」今俺の視界には、魔王直属近衛兵テイスハイサーではなく、、ティアの姉が映っている。「今は戻せないのか?」「今戻したらティアが私に対してどう接するようになるかわからないでしょ?それに魔王はこのことを知らない。もしこれを知ったら私は殺される。敵対勢力とのハーフは許さないっていうのが今の魔王の方針だから。」糞な魔王だ。「ここにいても大丈夫なのか?」「大丈夫。グロメントは自由だから。スパイ活動です、っていえば何とかなる。」テイリアスは息を吐いた。「私は人類を殺したくない。初めてあった時のこと覚えているかな?」あぁ、もちろん覚えている。「ソルカリドが俺たちを殺そうとしたのを止めたよな。」「えぇ、実はね、撤退命令とかかかっていなかったの。私が生み出した魔物は全て標準より弱くした。今回のヴァレンスは、近くにアスレインがいたから弱くできなかった。ごめん。」テイリアスは頭を下げた。「なぁ、寝返る気はないのか?」「今は無理。父が人質にされている。」どこまで糞な魔王なんだ。「、、勘づかれてるんじゃないか?」「可能性はある。けどしらばっくれてたら大丈夫よ。証拠がないから。人前では基本的にフードを外さないから。」、、。「なぁ、父さんはどこに捕らえられているんだ?」「水の都ウォシティの地下牢よ。」水の都か。アイシャの授業の内容では今は魔族が支配している都市だな。「、、父を解放出来たら人類側につくか?」「決まっている。私はティアの姉だぞ?」即答だった。テイリアスは真っすぐ俺を見る。赤い瞳は決意に満ちている。「協力しよう。」俺は手を出した。「、、、水の都は毎月満月の日に守りが薄くなる。魔王城で宴会があるからだ。その日を狙おう。私もそのタイミングで寝返る。おそらく15日後とかだ。、、ただ、、。」「ティアやアイシャたちには伝えない。」それはこの話を聞いた時から考えていた。「助かる。」テイリアスは頭を下げた。「だが、、相当危険なクエストに変わりはない。それはアイシャたちにも伝えないといけない。」「もちろん無理強いはしない。」「それは分かっている。1人でも俺は行くが、、クエスト作成のためにクリスには話していいか?」テイリアスは考え始めた。「、、、仕方ない。頼んだ。」テイリアスは俺の手を握った。「よし。成立だ。」「よろしく。」「こちらこそ。成功させよう。」テイリアスは窓から飛び立って帰っていった。
めちゃくちゃな誤字を何か所か見つけてたので変えました。本当に不便ですねー。通信環境ですって言いきられているからどうしようもないんですけど。こっちでも有線のWi-Fiにつないでみたりしても無理だったし、、。ブックマークを登録している人からすれば不便でしょうけども許してください、、。