31話 まさかの来客
迫ってくるオーガに対して、俺は剣を抜く。大丈夫。今の俺なら勝てる。正直まだ全ステータス1のままだけど、ソードスキルでなんとかできるだろう。「ニルティア、用意はいいか?」「もちろん。」ニルティアはすでに腰から短剣を抜いて構えていた。「よし、。アイシャ、アリス。援護射撃を頼んだ。」「任せて。」「無理はしないでくださいね。」俺は剣先を見る。少し、震えているな。オーガと目が合う。「ギャァァァァァ!!」オーガが叫んだ。以前ならこの叫び声だけで震え上がっていただろう。「行くぞ。」俺の合図でニルティアと走り出す。オーガはそれを見て腕を振り上げる。「ニルティア!」「うん!」俺たちは二手に分かれ、右と左からオーガたちと距離を詰める。さっきはそんなに数がいないと思っていたけど、、思ったよりいるな。「グオォォォォ!!」オーガが俺をめがけて拳を振り下ろした。ギリギリまで引き付けて後ろに跳ぶ。オーガは1度拳を振り下ろすと、少しの間硬直が生まれる。その瞬間が隙になる。よし、今だ!俺は振り下ろされた拳の上に跳び、そのままオーガの腕の上を走る。剣を握りなおす。「凶刃の舞・酷・無神突き!」オーガの首に剣を突き刺す。「アイシャ!!」「怒りは時に力なり、されど抑え、扱うことで真の力とならん、今ひとたび神の怒りの力をお貸し願う、、、」アイシャの詠唱によって、オーガの上の空に魔方陣が展開された。俺が剣を首から抜き、オーガの肩を蹴ってオーガから離れる。「ドズラス!」オーガに一筋の雷が落ちた。「ギャァァァァァ!!」オーガが叫んでる。が、どんどん体が焼けていっている。ニルティアの方もアリスがフレインで片を付けたようだ。
俺たちは同じことを繰り返して、最後のオーガを倒した。「終わりましたね。じゃあ、オーガの耳を回収しましょうか。」アリスが言った。俺たちはオーガの耳を回収していた。ふと、何か違和感があることに気づいた。「アイシャ。」「うん。わかってる。」アイシャはこっちを向かずに答えた。そして、近くにあった石で地面に『森のほうから誰かの視線を感じる。あと魔力も。それなりの魔力だから一般人じゃないと思う。でも、何だかあの魔力違和感がある。抑えているみたい。』とすらすら書いた。「分かった。」俺はオーガの耳の回収を続ける。「ゴォォォォォ!!」突然森のほうから叫び声がした。驚いて振り向くと、そこには見たこともない魔族がいた。俺はもう剣を構えていた。「ショウ、あれはまずいよ。冒険者の話の中でもみんな見かけたら逃げるって言ってるやつ。でも、この森にはいないはずなのに。」いや、あれが何かを教えてほしいな。うん。「あれは、、ヴァレンスですね。冒険者が生きている間に会いたくないと思う魔物第1位です。」そんな情報今いる?どんどん不安になるんだけど。名前は知れてよかったけどさ、、、って、待て待て。「そんな、複数いる、、?」アリスの声が震えている。ヴァレンスが森の奥から5体ほど出てくる。「なぁ、あいつらがウドルフに着いたらどうなる?」アイシャに投げかける。「一瞬でみんな殺される。」だよな。「勝機はあるか?」「分からないけど、ガデルの森でソフィリアさんが戦ってるのを見たことはある。」ん?じゃあ生息地はガデル周辺か。「ソフィリアさんはどうやって勝っていた?」「真正面から打ち合って勝ってた。」化け物め。そんなことしたら開始2秒で俺の首が吹っ飛ぶわ。ヴァレンスたちが一斉に魔方陣を背後に展開した。「横に跳んで!」アリスの声で俺とアイシャは右に、ニルティアとアリスが左に跳んだ。元居た場所を何かが飛び去り、草を焼いた。いや、あそこにいたら即人生終了だっただろ。あっぶな。ヴァレンスたちはもう一度魔方陣を展開し、そこから槍のようなものを出現させた。「ショウ、来るよ。」アイシャが言ったのが先か、俺が反射で剣を振ったのが先か、分からないが俺は咄嗟に剣を振っていた。何かが近づいてくるような感覚があったからだ。俺の首から10cmほどのところでヴァレンスの槍は止まった。こいつ、即死を狙ってきたな。ほぼ見えなかった。まずい。俺はなんとかそのまま受け流す。「ショウ!後ろ!」俺は自分に1体しか来ていないと勘違いしていた。しっかり背後を取られた。背中に衝撃が走り、前方に前のめりに倒れる。蹴られたようだな。槍で刺されなくてよかった。まぁ、今から刺されそうだけど。俺の目線の先で、ヴァレンスが槍を構えて振り下ろそうとしている。アイシャが魔法を放ってなんとか助けようとしてくれているが、もう1体のヴァレンスに全てはじかれている。そのとき、魔力の流れが変わった。全身に鳥肌が立った。なんだこの魔力は、、、レシオレたちと同じような威圧感を放っている。あの腰が抜けそうになる威圧感、、まさかテイスハイサーか?「全く、私のかわいいひよこ冒険者に何をしてくれているんだい?」声がしたのは上空からだ。ヴァレンスが一瞬上を向いた隙をついて、俺は立ち上がり、距離を取った。俺も上空を見上げると、、空に1人浮いていた。「あれは、、、」アリスがそこまで言って硬直する。「まさか、、」アイシャも固まっている。「動くなよ?」その人はヴァレンスたちに向かってそう言った。ヴァレンスは動きを止めた。大人しいな。次の瞬間、ヴァレンスは跡形もなく消えていた。、、何が起こった?全く見えなかった。「さて、と。大丈夫かな?」その人は俺たちのところに来てフードをゆっくりとった。この世界ではなんでみんなフードを被ってんだ?まぁ、魔法使いのローブは全部フードがついてるからまぁ自然かなとも思うけど、、フードって被るものなのか?あんまりかぶってなかったけど、、。まぁ、分からないな。それで、、、誰だこの人。見たことはないな、、長い耳、青い目、銀髪、、、あ、王道のエルフ族だ。「大賢者様、どうしてここへ?」アイシャとアリスが跪く。、大賢者だと?なんか前に世界に3人しかいないって言ってたよね?そのうちの1人がこの人?えー、マジかよ。信じられん。「いいよ、そんな暑苦しい挨拶なんか。私だってまだ26だし。」26歳!?ふぁっ!?確かに見た目も若いけど、俺のイメージでは大賢者って年老いた人がやってる、って感じでした。まじか、、こんなに若々しいのか。大賢者ならさっきの威圧感はおかしくはないか。あれぐらいはできるだろう。へぇ、なんか、しっかり助けられたな。どうやってかは分からないけど、、。
あ、修正点があったのであげなおしました。PCの不調により、これからこういったことが増えちゃいます。いやぁ、この作業だいぶ大変だしめんどくさいんですよね。