26話 思わぬ来客
ソフィリアが帰ったと宿屋の店主に聞いてから、また自分の部屋に戻ってゴブリン狩りへ行こうと思って支度をしていた。できればソフィリアを見送りたかったけど、ちょっと無理だったな。3時半に出るとは思わなかった。まぁ、ガデルをずっと留守にしておくわけにはいかないからな。仕方がないか。昨日、宿屋に戻ってから俺一人でマドリフさんのところへ行って剣の手入れをしてもらった。剣を見せた瞬間、刃こぼれが酷くて怒られてしまった。まぁ、すこーし、ほんのすこーしだけ荒く使った記憶がないこともない。それでも、「まぁ、しっかり戦ってる証拠だしな。今日は大目に見てやる。」といって手入れをしてくれた。まぁ、「次刃こぼれがひどかったら、追加料金取るからな。」と脅された。でも、マドリフさんは剣の手入れを無料でやってあげるっていうのが好評の理由の一つだから、多分冗談だろう。とゆうか冗談であってくれ。追加料金とかマジで嫌なんだけど。収入は安定してきたけどまだきついことに変わりはないんだから、追加料金とかはない方がいい。マドリフさんに手入れしてもらった剣を腰に差していざ出ようと思ったらドアをノックされた。誰だろうか。アイシャとアリスには先に下に降りていてくれと言っている。遅すぎて呼びに来たのだろうか。「アイシャ?」反応がない。アリスか?、、、間違えられて怒って何も言わないのか?アリスってそんなに短期だったかなぁ、と思いながらドアノブに手を置く。カギは締めてないんだけどな。ゆっくり押して扉を開ける。「どうしたんだ?アリ、、」扉を開けたが、誰もいない。なんだ?いたずらか?俺は廊下へ出て、左右を確認する。やはり誰もいないな。あ、やばい早く準備しねぇと。俺は部屋に戻ってドアを閉めた。そして部屋の中に向かって振り向いた瞬間、のど元に変な感触を感じた。冷たい。そして少しヒリヒリして痛い。痛い?「動くな。」後ろから声がした。高いとも言えない、低いとも言えない。性別はわからないな。、、だが声のした高さは俺より低い位置だ。ということは俺より背は低いな。「なんのつもりだ?」俺は後ろに向かって言葉を投げる。そうだ、俺の首筋にある違和感は、刃物だ。今の状態で少し下を向いても見えないということは、短剣だろうか。「動くな。お前、ショウであっているな?」なんだこいつは。俺のことを知っている?そんなに有名なわけがないのだが。まぁ、レシオレ討伐とかガデル奪還とかで少しは有名になったとは思うけど。「、、、そうだが。」背後で息を吞む気配がした。相手の動きはなんとなく分かる。「ならば話が早い。」殺気を感じた。俺はとっさに身をねじってそいつを突き飛ばす。「くっ。」軽い身のこなしでそいつは廊下へ出た。短剣を構えている。やっぱり短剣か。「もう一度聞く。なんのつもりだ?冒険者の進級試験にこんな刺客が来るなんて聞いたことないぞ?」まぁ、そもそもこの世界の常識を知らないんですけど。「お前が知る必要はない。」そいつは再び切りかかってきた。仕方ない。俺は剣を抜いて受け流して、柄の部分で腹に一発入れる。「がっ。」そいつは後ろに跳んだ。フードをしていて顔が見えないな。フードか。「ロイルの仲間か?」そいつの肩が一瞬上がったのを俺は見逃さなかった。「当たりか。」「うるさい。」再び切りかかってくる。馬鹿の一つ覚えのようだが、さっきよりも速い。俺はまたもや受け流した。「チッ!」なんか舌打ちされたんですけど。俺は剣を振って攻撃を仕掛けようとした。が部屋の壁に剣が刺さってしまった。あ、やばい。外と同じような感覚で振ったらダメでしょ。今更ながら気づいた。俺の剣が壁に刺さったのを見て、そいつはまた切りかかってくる。またさっきよりも速くなっているな。でも、ソフィリアの方が5倍は速い。なんならこいつのは見える。俺は壁に刺さった剣から手を放す。部屋に中だと剣を振り回すのは怖いな。もし壁に引っかかったりしたらおしまいだ。少し汚い戦法だが、仕方ない。俺は懐から投げナイフを取り出して投げつけた。ナイフを避けようとして少しバランスを崩したのが見えた。よし、今だ。俺は腹を全力で殴った。「う、、、。」そいつはその場に崩れ落ちる。気絶したのか?とゆうか、誰なんだこいつは。俺はそーっとフードを外す。するとフードの中から大きな耳が現れた。耳といっても人間の耳ではなく、犬や猫のような獣耳だ。この耳は、、、狼か?でも、白い耳だな。そして首には大きな首輪のようなものをしている。異世界物の定番のような首輪か、、ということは、これって、、。「ショウさーん?大きな音がしましたけどどうしましたー?」アリスの声が聞こえて、それから少しして階段を上がって来る音がする。俺は足元を見る。このケモ耳の子は誰なんだ?ほんとに。アリスが階段を上る音がどんどん近づいている。
さて、突然のフードを被った刺客が来ましたね。この人の正体は一体誰なんでしょうね。そしておそらく見当はついていると思いますが首輪の意味など、まだまだ明かされていないこの世界の常識や決まりをほんの少しでも書いていけたらなと思っています。