表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

26/69

24話 ウドルフ防衛戦(後編)

 「なっ!」ソフィリアが振りむこうとしたが振り向く前にソルカリドに腹をけり上げられ、宙に浮いた。ソルカリドは白い歯を見せ、槍に持ち変え、自由落下しているソフィリアに向かって飛び上がろうとする。「ソフィリア!!」クリスが復活したようで、ソルカリドに切りかかっていく。だが、ソルカリドは楽に受け流す。クリスはそれでも攻撃を続け、ソフィリアはなんとか受け身を取って着地した。おそらく何もしなければソルカリドは槍でソフィリアを串刺しにしていただろう。「鬱陶しいな。」ソルカリドが声を発した。「お前たち、何のために魔族に盾を突く?どうせ負けるのだから意味はないだろう?魔族に従えば命の保証はあるというのに。」「噓だ。」ソフィリアが起き上がって剣を構える。「魔族に従えば待っているのは強制労働。そして反抗すればすぐに殺される。さらに動けなくなったら魔族の趣味嗜好の道具として使われる。そんなものが命の保証?笑わせるな。」ソフィリアの放つ魔力が強くなり、体が震える。「そんなしょうもない魔力で私を威圧できるとでも?」レシオレのときに感じたものを超える恐怖が襲ってきた。手が震えて剣を握っている感覚がなくなる。さっきまでは放つ魔力を抑えていたのか。「そんな手で戦えるのか?」ソルカリドがソフィリアの手を指さす。ソフィリアの手は少し震えていた。もちろん俺よりは震えていないけど。「うるさい。戦えるに決まっている。」カチャカチャ、と剣が揺れる音が聞こえる。「では、すぐに決着をつけよう。」ソルカリドが消え、ソフィリアの背後に来る。「読めてんだよ!」ソフィリアが叫びながら後ろ蹴りをする。これは入るだろう、と思っていた。ソルカリドは右手で槍を持ち、左手でソフィリアの足を掴んでいた。「おそいな。」「くっ。」ソルカリドは腕を振ってソフィリアを投げた。10mくらい飛んで草むらに落ちた。よく見えなかったが、あの落ち方はまずい。頭から落ちていた。ソフィリアは動かなくなってしまった。「もう終わりか。つまらないな。」ソルカリドは槍を回しながらソフィリアのほうへ向かう。くっそ、まだ手が震えて足も動かない。「ショウ、」アイシャに声を掛けられる。「クリスさんが、」クリスのほうを向くと、クリスも頬から血を流してうずくまっていた。スキルの時間が終わったのか。まずいな。このままだとソフィリアとクリスは確実に殺される。動けよ。助けないといけないだろう。アイシャは近接は得意でないから俺が助けないと。クリスとソフィリアには助けられた恩もある。今動かないでこの先返せなくなったままでいいわけがない。「うっ。」なんとか少しだけ動けた。「なんだ?まだいるのか?」ソルカリドに睨まれる。「、、お前らに、2人を殺されるわけにはいかないんだよ。」「お前に何ができる?」ソルカリドは一瞬で俺の後ろに回って俺を殴り飛ばした。まったく反応できなかった。俺は受け身を取る暇もなく地面にたたきつけられる。「がっ!」腕と足が動かない。ソルカリドがソフィリアの前に立った。「お前の剣は私には届かなかったが、剣技は綺麗だった。最期の言葉を聞いておこう。」ソフィリアは顔を上げる。「、、、呪い殺してやるよ。」「そうか。」ソルカリドが槍を持ち上げる。アイシャは、、、ダメだ。膝を抱えている。もう動けないだろう。ソルカリドが槍を振り下ろす。「待ってソルカリド。」その声がした瞬間、あと30cmほどのところで槍が止まった。「なんだ?テイスハイサー。」テイスハイサー、、と呼ばれたフードを被った奴は、俺たちのほうへ歩いてくる。「そろそろ撤退よ。私の駒たちがもう冒険者たちにやられた。おそらくガデルから救援が来ているわ。」口調と声的に女性か?「ではこいつにとどめを刺してから。」「遅くなるからやめて。撤退が遅くなる。」「すぐに終わる。」ソルカリドが再度槍を振り上げようとした瞬間、信じられないくらいの魔力をテイスハイサーから感じた。恐怖なんてそんなレベル感じゃない。魔力だけで殺されそうだ。「聞こえなかったかしら?今すぐに戻るわよ?」その瞬間ソルカリドの動きが完全に止まり、槍を持つ手が震え始めた。「、、、わかった。」ソルカリドは槍を背中に戻した。そしてソルカリドは森のほうへ消えていった。「またね。冒険者さんたち。」テイスハイサーは手を振りながらそう言ってソルカリドの後についていった。仮面をしていたから顔は見えなかった。ただ、あいつはヤバい。ソルカリドが震えるほどの魔力。なんなんだ?前にレシオレのときに大賢者がって言っていたけどグロメントにはそんなやつらしかいないんじゃ。「クリスさん!!」アイシャがクリスの元へ駆け寄っていった。まだ息はあるし、魔力も感じる。おそらく大丈夫だろう。

 ソフィリアは気絶していた。宿屋に事情を話すと、快く部屋を貸してくれたからそこにソフィリアを寝かせている。クリスはアイシャとアリスが治療してくれたおかげでなんとか大事には至らなかった。しかし、2人とも全身打撲と、ソフィリアは肋骨が2本折れていた。しばらくは安静だな。そして、ソフィリアたちがソルカリドと対峙していた間に、アリスが中心となって他の冒険者たちとゴブリンやオーガを倒してくれていたらしい。そのおかげでソフィリアもクリスも死なずに済んだのだからアリスの働きは素晴らしかったといえるだろう。俺は何もできていないし。今回の戦闘で分かった。俺はただスキルに頼って自分勝手に強くなったと思っていただけだった。結局助けられている。助けられるようになりたい。強くなりたい。この世界で誰よりも強い最強になりたい。いや、なりたいじゃない。なるんだ。最強になってやる。

さて、防衛戦が終わりました。ソルカリドが言うことを聞くほどの存在のテイスハイサーが出てきましたね。これからのショウの成長に注目ですね。次の話はふんわり穏やかにするときめています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
とにかくソフィリアさんと、クリスさんが生きててくれて良かったです。ほんとに安心しました。 テイスハイサーもめちゃくちゃ強そうだし、何者なのかいまだに分かってないのが怖いけど、これから分かっていくのが楽…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ