21話 久しぶりのウドルフの空気は前と少し変わっていたようで??
「門が見えてきましたね。」あぁ、、7日ぶりのウドルフだ。俺たちはゴブリン草原を歩いていた。アイシャが周りをきょろきょろしている。「どうしたアイシャ。」気になったので聞いてみる。「え?あ、いや、、なんだかゴブリンの数が異様に少ないような気がして。」言われてみれば、、確かに少ないな。いつもなら少し大きな30体ほどの群れがそこらへんにいるけれど、今日は1つもそういった群れが見られない。ただ少ないだけか?「まさか、、」アイシャが何かに気づいたようだった。と思うとウドルフに向かって走り出してしまった。「え、ちょっと!?」アリスと一緒に頑張って追いかける。
ウドルフの門をくぐると、街が何だか騒がしかった。「どうかしたんでしょうか。」アリスが言った。「とりあえず冒険者協会に行こう。」アイシャについていくように早めに歩く。道行く人たちの中の冒険者割合がいつもより高い気がする。
冒険者協会の扉を開けると、そこには直感的に重いと感じられる空気が漂っていた。「なんでしょうか。」アリスがカウンターのほうへいく。「あ、アリスちゃん。」奥からクリスが出てきた。とても忙しそうに歩き回ってる。「どうかしたんですか?」アリスが聞く。「あぁ、アリスちゃんたちも帰ってくるときに見たかもしれないけど、ゴブリン草原のゴブリンの数がおかしいくらい減っていて、皆、百魔夜行が起きるんじゃないかって噂になってるの。」なんだそれ。百鬼夜行みたいだな。「あぁ、ショウがわからないって顔してるな。解説するよ。」クリスが俺の顔を見ながらいった。確かに今の顔はわかりやすかったかもしれない。「百魔夜行っていうのは、ある種族の魔物たちが一斉に攻めてくることよ。だいたいがゴブリンだけど、ごくまれにドラゴンが来てしまうこともあるわ。」ドラゴン来たら諦めるしかないな。「そして、百魔夜行が起きるときは周囲の魔物の数が激減するの。激減するのはある地点に大集合するからよ。そして、ある程度数が集まったら全員で突撃しにくる。ゴブリン草原のゴブリンが減り始めてからもう3日たったから、百魔夜行がいつ起きてもおかしくはない状況ね。」俺たちがガデルにいたときにそんなことがあったのか。「あ、でもちゃんとレシオレ討伐したってのは聞いたよ。」あぁ、ソフィリアさんが化け物だったって話か。「それとガデル奪還の成果を受けて、みんなのランクがメタルランクになったわ。」え、ちょっと嬉しくないかも。だってメタルランクになったらより難度が高いクエストばっかりになってめちゃくちゃ大変になるじゃん。、、、嫌だよ。楽して稼ぎてぇわ。「はいこれ。冒険者カードね。」クリスは俺たち3人に光沢があるカードを渡した。これがメタルランクのカードか。光沢は綺麗だな。そのとき、ドアが勢いよく開いた。そして鎧を着た人だ走って入ってきた。「クリスさん!!南の方からゴブリンとオーガの群れです!!数およそ600!」ガデルの時はハイゴブリン500体だったから、少し多いのか。クリスはその言葉を聞いた瞬間に腰に短剣を差していた。そしてカウンターから出て扉の方へ向かっていく。「今すぐに門を閉めて冒険者を門の上に集めて。そしてそのほかの人たちには一歩も外に出ないように伝えて。おそらく森の奥にはゴブリンキングがいる。もしいないのなら、魔王直属近衛兵、百魔夜行の支配者、テイスハイサーね。不用意に群れをつつかないように。」クリスは素早く指示を飛ばす。待てよ、、ていすはいさー?誰だそれ。「ショウさん、テイスハイサーっていうのは、魔物を生み出しているグロメントのことで、百魔夜行が起きるときはその種の上位種が仕切っているか、テイスハイサーが仕切っているかのどちらかなんです。」へぇ、説明どうも。上位種であることを心から願うわ。「ショウたちも疲れているとは思うが、この街を守るために力を貸してくれ。」「もちろんです!」アリスがドアのほうへ走る。はぁ、また死にかけるんだろうな。俺も重たい、とてつもなく重たい足を頑張って上げてアリスの後について門のほうへ走る。おそらく600という数は様子見の軍団だろう。本隊は俺たちが疲弊したときに出すはず。シュミレーションゲームの鉄則だからな。なるべくスキルを使わずにやるか。まぁ、ソードスキルならMP食わないからいいか。あー、マドリフさんのところに行って剣の手入れしないとな。もうだいぶ行ってないから今回は怒られそうだな。そんなことを考えて走っていると、門と門の上に繋がっている階段が見えてきた。さて、門の上からはどんな景色が見えるんだろうか。
ガデルから戻ってきても全くゆっくりさせてくれない魔族ですね。今回の百魔夜行を仕切っているのはただの上位種なのか、それともグロメントのテイスハイサーなのか。気になってもらえたら嬉しいですね。