17話 一人二役だって?
「扉、、。」階段を降りると扉があった。金属製のようで重厚感がある。「ショウ、開ける?」アイシャが聞いてくる。この扉の向こうにゴブリンとかいたらマジですぐに即刻即時に帰るからな。俺は扉をそーっと押す。、、開かない。え?開かないんですけど?なんで?俺は扉を必死に押す。「、、、ショウさん、多分その扉、、、押し戸じゃなくて引き戸です。」アリスが言った。扉を押している俺の手が止まり、ドアノブを掴んで手前に引く。ギゴゴゴ、とゆっくり扉が動き始めた。少し開けたところで俺はできた隙間から扉の向こう側を見ようとする。、、どうやら部屋のようだ。地下室か。部屋の中に人は、、、いないし魔物もいない。よし。俺は扉をさらに引いて開く。「入ろう。」俺が先頭で部屋に入る。
部屋の中には中央に机があり、壁は本棚で埋め尽くされていた。その本棚にはたくさんの本がぎっしりと収められている。「すごい数の本ですね。それに古いものも相当あります。」アリスが本棚を見ながら言う。「うん、ここまで集められるのはそれなりのお金持ちしか無理だと思う。」アイシャが続く。たしかに、すごい数の本だ。「特に収穫はないか。」俺が部屋を見渡したそのとき、部屋の外から声がした。「はぁ、今日は久々にバカな冒険者を狩れると思ったのに、全く来ないじゃん。ウドルフの人たちが間違った情報伝えてきたのかな。」なんだこの声、、、なぜだか体が震える。それに言ってることがやばすぎる。冒険者を狩る?「ショウ、まずいよ。この魔力、魔族だ。」アイシャが近くに来て耳打ちする。アリスも近くに来た。「どうする?戦っても勝てる気がしないんだけど。」「同じく無理。」ですよね。え?詰んだ?このお部屋って魔族様のものなの?え?でもここ冒険者協会の建物だよ?でもさっき「今日”は”久々に狩れる」とか言ってたな。ということは俺たちが来ることを知っている?どんどん足音が近づいてくる。「とりあえず隠密でやり過ごそう。通用するかは別だ。」「「「隠密。」」」これで魔力や姿は最小限に隠せているはず。俺たち3人は扉の近くの壁に張り付く。扉が開く。そこから入ってきたのは、、、どう見ても人間だった。
そいつは入ってくると部屋の中央の机に向かっていき、椅子に腰かけた。「はぁ、クリスったら、うその報告はしちゃだめよ。」何言ってんだ?こいつ。とゆうかなんであのハイゴブリンしかいない外に行っていたんだ?「あ、そろそろだな。」そいつは立ち上がると扉から外へ出て行った。俺たちはしばらく動かずに待機していた。「あれ誰かわかるか?」そいつが完全にどこかへ行った後アイシャとアリスに聞いてみる。「あの人って確か、、ガデルの冒険者協会の受付のソフィリアさんだよね?」アイシャの声が震えている。「え、えぇ、一度だけ話したことがありますけど、、普通の人でした。」アリスが反応する。なるほど、、人間側に魔族に内通してるやつがいるのか。ん?人間であり受付ってことはゴールドランク以上の冒険者であり、魔族の最高峰のグロメントか。一人二役だな。、、勝てる気がしなぁい。「とりあえずここから出ようよ。」アイシャに言われる。たしかにずっと敵の巣にいるのはよくないな。「わかった。出よう。」俺たちは冒険者協会から出た。
さて、難航していますガデル奪還作戦!!まさかの裏切りもありそうな展開ですね。ソフィリアは何を考えているのか、次の話も楽しみにしていただければ幸いです!では次のお話で!