15話 クエストリベンジ
「ショウさん、行きましょうか。」朝、アリスの声で目が覚める。アリスは俺のベッドの横にいた。アイシャが扉からひょこっと顔を出した。「おはよう、ショウ。早く行こ。3日かかるんだし。」、、なんで寝坊してんだろ、時計を見る。たしか昨日は4時に起きようと、、って、まだ3時じゃねぇかよ!!なんでだよ!!「、、今起きた。着替えるから下で待ってて。」俺が言うと2人は部屋から出ていく。アイシャが立ち止まって俺のほうを振り返る。「早くしてね。」そう言ってアイシャは部屋から出ていった。なんだか、、アイシャから圧を感じる。まぁ、たしかに早く出たほうがゴブリン草原のゴブリンたちの動きが鈍くて楽に通り抜けられるとは思うけど。俺は急いで着替え始める。
「3分21秒待った。」俺が下に降りるやいなやアイシャから槍のように鋭い一言が飛んできて俺の心臓に刺さった。「ごめん。」「早くしよ。」アイシャ、なんか焦ってる?「まぁまぁアイシャさん。ショウさんも急いでくれたんですから。」アリスよ、そのフォローマジ助かる。ありがとう。「、、、ごめん。」アイシャに謝られてなんだか混乱する。「、、行くか。」「はい!」「うん。」俺たちは宿を出た。
アイシャにせかされたこともあって、ゴブリン草原は静かだった。「よかった。まだ起きていない。急いで。」アイシャに促されて俺たちは一気に草原を駆け抜けた。本当に疲れた、、もう帰りたい。3日間、長い旅だなぁ。前回は、エドワードとノールたちがいたからすごくにぎやかな旅になっていたけど、今回は俺たち3人だけだから静かだな、、。あ、そういえば。「アリスとアイシャって何歳だ?」ずっと気になっていたことを聞いてみる。今更感が半端ないけども。「あ、言ってませんでしたね。私は15です。」「私は17歳。」あ、2人とも俺より年下なのか?というかなんで15歳が冒険者やってんだよ。「、冒険者ってさ、何歳からなれるの?」「だいたい14歳とか15歳ですかね。」ふむ、どうやら俺の世界の常識はここでは通じないようだ。「ショウさんは?」あ、自分が聞かれるとは思ってなかった。いやぁ、人に聞いたはいいけど分からないんだよねー。「ちょっと分からないんだよねぇ。」「それなら、ステータス開いてみてください。」アリスに言われた。え?まぁ、わかった。「ステータスオープン。」あー、久し振りにこの表を見た。どこかに書いてあるんだろうか。んー、、、あ、あった。名前の横にカッコで閉じてある数字がある。これが年齢か。えっと?俺は、、18歳!?え?マジ?めっちゃ若いじゃん。嬉し。「なんだか、妙に魔物に会いませんね。」アリスが言う。たしかに、前回はここら辺ではもう何かしらの魔物と戦闘をしていたな。でも、、「何も感じない。」アイシャが言う。魔力探知の得意なアイシャでも感じられないのなら、本当にいないか、、、それとも。
ロイルの裏切りにあった場所まで来た。エドワードたちを埋めたところに置いた大きな石はまだしっかり残っていた。「少し祈ってから行きましょうか。」アリスが腰を下ろして手を組んで額に当てる。この世界ではそういう祈り方なのか。じゃあ俺も郷に入っては郷に従えだ。俺も一緒に手を組んで額に近づけて祈る。エドワード、ノール、リエット、ルノイ、エリザ、イルア、オーフィア、ちゃんとクエストは終わらせてから帰るよ。「、、、。じゃあ、行きましょうか。もう目の前にガデル砦が見えますから。」アリスは立ち上がって少し上のほうを見る。俺たちは視界にガデル砦を捉えた。
ガデル砦は、大昔の魔族と人類との大戦争の産物である。昔の人はよくこんな砦が作れたなぁ、としみじみ思う。この世界の街は魔物の襲撃対策として町全体に塀を築いているらしいが、このガデルにおいてはそれが仇となり、ガデル奪取の発見が遅れた。門の前に立った瞬間、全身に鳥肌が立った。後ろを見るとアイシャが少し震えていた。「な、なに、この魔力。」「この莫大な力を彷彿させる魔力を持つのは人類だと大賢者と呼ばれるお三方だけ。ということは、、魔族。でもこの魔力量はおかしい。」「グロメント、、。」グロメント?「なんだそれ。」「グロメントっていうのは、魔王直属の10体の魔物たちを指す言葉。」あらぁ、聞くからに強そうな魔族です事。帰りましょう。「倒せるものなのか?」それだけは聞いておこう。「ゴールドランクの冒険者でも負けるレベル。」あ、無理ですね。はい、帰りましょう。帰りたい!!俺の思いも虚しくアイシャが門を開けてしまった。
さて、始まりました奪還作戦!今回はどうなるでしょうか。グロメントの力はどれほどのものか。えー、まだグロメントの名前すら決めておりません(必死に考えています)。まぁ、結構候補はあるので大丈夫でしょう(笑)。次のお話もお楽しみに!!では!