103話 久しぶりのウドルフ
「ショウー!」
ニルティアの声で目が覚めた。
[早く起きないと朝ごはんなしだよ。]
ファニアの声がいつもより頭に響いて完全に目が覚めた。
「今起きた。」
部屋の中で独り言のように小さな声で言い、俺はベッドから降りた。
久しぶりのこの部屋。
ラファエルさんが気を利かしてくれて、以前と同じ部屋にしてくれた。
「おはよう、ショウ。」
階段を降りるとラファエルさんが待っていた。
「今日はラファエルさんが朝食を作ってくれたんだよ!」
ニルティアがはしゃぎながら言う。
「久しぶりに帰ってきてくれたからね。おかえりの歓迎だよ。」
ラファエルさんはそう言った。
「ありがとうございます。」
そうお礼を言うテイリアスの手元の皿は、もう空になっていた。
「テイリアスもう食べたのか?」
俺が言うとテイリアスは自分の空になった皿を見て頬を赤くし、
「まぁ、おなかすいてたから。」
とだけ言った。
[ラファエルさんがご飯を用意してくれてからもう30分も経ってるんだし、食べ終わっててもそんな不思議じゃないでしょ。]
「そんなに経ってたのか?」
[何回も念話で呼びかけたのにガン無視だったからもう食べよ、って。]
ラファエルさんが苦笑している。
「そういうことだったのか。」
「まぁ、ゆっくり起きてきてもらって大丈夫だよ。また温めればいいんだし。そんなに魔力が少ないわけではないからね。」
「ありがとうございます。」
「それはそうとして、」
ニルティアがちょうど朝食のラミタンを食べ終わってスプーンを置きながら言った。
そして今度はテイリアスが口を開いて言葉をつないだ。
「今日の予定は?」
久しぶりのテイリアスからの問いかけだった。
「クリス。なにかクエストはあるか?」
とりあえずしたいことが思いつかなかった俺たちは、冒険者協会に行ってみることにした。
「そうね。緊急のものはないわね。薬草集めとか、軽くゴブリンの討伐とか。ウドルフは今日も平和だからね。」
クリスはいくつかの書類を見ながら言った。
そして、その書類をめくる手が止まった。
「これなんかどう?最近上がって来たんだけど、今の冒険者の数じゃ対処しきれなくて。」
クリスが手渡してきた紙の内容は、見ただけでなんとなくどんなクエストなのか分かるものだった。
「これは、」
テイリアスが俺の横から言う。
「討伐、というよりは観察?ですか?」
クリスは頷いて反応した。
「えぇ、そうよ。最近、ある農家の畑が荒らされていてね。でも、痕跡が全くないの。魔物の足跡も、野生動物の足跡も。」
それはまた難解だな。
「それで、それの犯人を突き止めたいから、誰かに見張っててほしい、と?」
「そのとおりね。」
「そんなの自分でやれば…」
言いかけたニルティアのわき腹にファニアが軽く肘鉄をいれた。
[でも、それくらいなら私たちじゃなくてもいいと思いますが。]
クリスはファニアの方を見ると、
”その反応を待ってました”
とでも言いたそうに指を鳴らした。
「そこよ。もうすでにいくつかのパーティーに依頼してるの。でも、すべてのパーティーが突き止められなかった。それも、寝てしまって。」
「はぁ?」
ニルティアが高い声を出す。
少しだけ耳鳴りがした。
「そんなのただの間抜けじゃ…ぅ、」
再びファニアの肘鉄が入った。
「少しの間寝てしまったパーティーの目の前にあったのは、荒された畑だったの。寝る前までは綺麗だったのに。」
ただの心霊じゃねぇか。
「でも、そんなことのために魔族が動くとは思えないけど。」
テイリアスの意見に賛成だな。
「そうだな。そのことのために魔法を使うか、っていう疑問はある。」
「そうよねー。だから、突き止めてほしいの。」
あ、まんまと嵌められた。
「なるほど、完璧な誘導だな。」
「でしょ?」
クリスは得意そうに言った。
うん、なんかムカつくけど、仕方ない。
「やるか。」
「ショウ本気?」
ニルティアが驚いている。
「そんなに驚くことか?」
「いやだってそりゃ、そんなの近所の人の仕業じゃないの?」
「それにしては、わざわざ眠らせるのが気になります。冒険者を眠らせる、それも何回も。複数回後のパーティーは、そういった警告は受けていたはず、そう考えれば、わりと相手は手ごわいかも?」
[私もそう思う。]
「ニルティア、反論は?」
「いや、もう出来ないでしょ。ここまで言われて反論できるわけなくない?」
ニルティアが頬を膨らませながらいうのを、
俺たち4人は微笑みながら、
半ば小さい子をからかうときの表情で、ニルティアを見ていた。
「あーもうそんな顔で見ないでよ。」
コメント欄荒らされて(誰が荒らしたのかは把握し、削除しました。)やめようか悩んでるのでしばらく書きません。ではまたいつか




