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100話 少しだけ昔の記憶

 「マーレとマリガルド様を呼んできます。」


ティアがそう言って部屋から出ていった。


俺たちはエルフの村の大樹の下に出た。


通行しているエルフがすごく驚いている。


が、今はそれにかまっている暇はない。


「ショウ、少し魔力領域を緩めますか?

そろそろ解いてもこれまでの蓄積で動けないと思います。」


ノクリスがうずくまったテイリアスを見たまま言った。


たしかに、結構体力が削られているようだ。


「あぁ、解いてくれ。

だが、全員一応戦闘準備はしておけ。」


一応、だ。


本当はこんなこと言いたくない。


「分かりました。」


ノクリスは背後に追加で大剣を出現させてから、

辺りを囲ったままの大剣の本数を減らした。


へぇ、そうやって調節するんだ。


ノクリスの魔力領域は弱まったが、

テイリアスは動こうとしない。


息を切らしたままうずくまっている。


、、。


「ショウ?」


ニルティアに声をかけられた。


「まだ危険です。お下がりください。」


俺はノクリスの忠告を無視してテイリアスに

近づいて、

そのそばに腰を下ろした。


ライトノベルの定番、

だけどここからはその定番の攻略から外れていこうと思う。


なんだか近づきたくなった。


危険だなんてそんなことは分かってる。


でも、遠くから見ていると、

完全に警戒していると思われてしまう。


今のテイリアスには記憶がない。


もし、万が一これから記憶が戻らなかったら、テイリアスはどうなる?


決まっている。


この場で処刑だ。


仲間になっても、

ファリスイの人たちをなぜ殺したのか、

死んだはずなのにどうして生き返ったのか、

尋問に会うと思う。


でも、そんなものは俺の人脈と職権を乱用して防ぐと決めた。


「なぁ、テイリアス。

覚えてるか?

初めて会った時のこと。

そりゃ、あのときはテイリアスじゃなくてテイスハイサーだったけど、

あのときから人間を殺すことをなるべく避けてたよな。」


「、、なんの、、話だ、、っ。」


「それで、テイリアスの父親を魔族から解放して、テイリアスも解放された。

それで、俺たちのパーティーに入ってくれた。

正直、明らかに俺より強い人が、俺に従うってどうなんだろうって思ったこともある。」


「そんな記憶、、私には、、ない、、。」


「でもさ、そんな風に悩んでた時にいっつも励ましてくれたよな。

あれ、結構救われたんだぞ?」


「、、。」


「戻ってきてくれ。」


このままだと処刑とかいうゴミエンドになるから。


頼む。


「ショウ!」


階段からティアの声が聞こえた。



「なるほど。状況は理解しました。

それで、記憶を戻せばいいのですね?」


マーレは落ち着いた口調で言った。


今はここまで落ち着いているが、

さっき、テイリアスを見た瞬間にマリガルドは信じられない速度で抱き着き、

マーレは涙を流していた。


マリガルドは今でもテイリアスに抱き着いているが、

テイリアスの表情はというと、、

あぁ、なんともいえない。


「なんなんですかあなたは。」


「あなたの母親です。」


「意味が分からない。」


でしょうね。


同じ状況でそれ言われたら、俺も理解できないと思う。


自分は魔法も動きも封じられているのだから。


「それでは、記憶を戻そうと思いますので、離れてください。

マリガルド様、記憶ののぞき見をお願いします。」


「変な言い方するな。」


マリガルドは頬を膨らましながら、

赤くはれた目元をこすり、テイリアスの頭に触れた。


そしてしばらくしたとき、


「マーレ、これはやっかいな魔法だぞ。まずいことになる。」


とだけ言うと、すぐに双剣を抜き、魔眼を解放した。


「どうした!」


「この場所が魔族にバレたかも。ティア!空間魔法でどこかの草原へ飛べ!」


と叫んだ。


「は、、はい!」


ティアの魔法陣が展開され、俺たちはまた大移動した。




 「いったいどういうことでしょうか?」


ノクリスがマリガルドにそう聞いたのは、

辺りをクモ野郎(コルセオと王都では呼ぶようにしたらしい)などの魔物が、

俺たちを囲った時だった。


まだ空間魔法から15分も経ってない。


「テイリアスはいつも、魔王からの位置探知を意図的に妨害していた。けれど今は、」


[それが使えない。]


ファニアがつないだ。


「そうだ!だから位置がばれる!」


マリガルドは双剣を振って魔物を斬りながら言う。


どうするか。


「ノクリス!魔力領域を展開できるか!?」


「これだけの量だと、いったい当たりの効果が薄れてしまいます。それよりは、」


ノクリスはそういうと一本の大剣を手に取った。


そして、「ユレン、来てください。」


というと、大剣が光り、、光の中から白い人が現れた。


その見た目はユレンだった。


「私の部下を召喚します。

みな私のことを慕ってくれているので、応えてくれるはずです。」


うわぁ、チート。


でも、ノクリスの人望じゃないとできないだろうな。


「マーレ!状況は!?」


「記憶の修復に取り掛かってますが、、記憶を消されています。

一度死んでいるので当然と言えば当然ですが、、

なにか、生前のテイリアスの魔力がこもっているものはありませんか?

魔力にはその者の記憶が宿ります。」


テイリアスの生前の魔力?


そんなもの、、、。


俺は自分の手首に目が留まった。


これだ。


「あった!このブレスレットを使ってくれ!」


俺はブレスレットを外した。


、、くっそ、。


魔物が邪魔でマーレが見えない。


[フロズン。]


俺の前方から冷風が届いた。


[ショウ!]


遠くで座っているマーレとファニア、テイリアスが見えた。


テイリアスの頭には、5つの魔法陣が出現している。


マーレの固有魔法か。


「今いく!」


俺は3人の方へ走り出した。


5mほど進んだ時、横から殺気を感じた。


コルセオが俺に向かって黒い剣を伸ばしてきていた。


「させるか!」


そのコルセオのさらに背後から飛んできた怒号とともに、コルセオは地面に倒れた。


頭には剣が刺さっている。


「いけ!ショウ!」


剣を投げたのはシュリードだった。


シュリードは、辺りをコルセオに囲まれた。武器を持っていないからだ。


俺が一瞬シュリードに呆けていると、


再び怒号が耳を刺激した。


「早く行け!!

テイリアスが待っているだろうが!!

待たせるんじゃないよ!!

このくらい、手だけでなんとかして見せるさ。」


コルセオたちの隙間からシュリードの背中が一瞬だけ見えた。


「分かった。」


「空からは私が!」


ニルティアが空から投げナイフを投げてくれる。


俺はブレスレットを持って走った。


前世でも今までも、ここまで必死に走ったことはなかったと言っていいと思う。


それも、一人のために。


、、違うな。


一人のために命を懸ける仲間たちのためにも俺は走っている。


俺は思った。


『走れメロス』のようだと。


「マーレ!これだ!」


俺はなんとかマーレにブレスレットを渡した。


「ファニア、耐えるぞ。」


[もちろん。]


俺は辺りを囲っているコルセオやらオーガやらをにらみながらファニアに言い、

座っているファニアが立ち上がるために手を差し出した。


そして、ファニアが俺の手を握った途端、

俺の目の前にひさしぶりにシステム君が現れた。


『条件を達成したため、魔剣・妖刀、凶刃を、魔剣、明星に昇格します。』


、、?どういうことだ?


『新しいソードスキルを獲得しました。』


次に出てきた文字列を読んだ瞬間、


俺の頭の中にいろいろな技を使っているときの描写が再生され、

消えていった。


これは、使える。


「明星の竜!」


俺は自分でも行ったことのないセリフを言い放ち、

右手に握る剣が漆黒の凶刃から銀色に輝く剣に変わっていることに気づかないまま、

コルセオに斬りかかった。


ソードスキル:明星の竜。


この『明星』の奥義ともいえる技、

敵を斬れば斬るほど一時的ではあるが相手のステータスを自分に吸収して足していく。


そして、その剣の軌道には、

銀色の竜が出てくる。


つまり、まるで竜が敵を食っているように見えるのだ。


[氷針。]


俺の周りにつららが刺さった。


コルセオにも刺さっている。


[氷樹。]


地面に刺さったつららから、

芽が出てあっという間に氷の木になった。


近くのコルセオは、心臓と口から氷の木が生えている。




 何分経っただろうか。


ずっと剣を振っているが全く疲れない。


ソードスキルのおかげか。


「マーレ!まだか!?」


「今記憶の修復をしてる!」


「まぁ、このくらいまで数が減ればなんとかなるのはわかってるけど。」


「新手が来る前に終わらせておきたいですからね。」


ニルティアとノクリスが言った。


「それはそう。」


マリガルドは相変わらずの速度で魔物を切り捨てている。


「めんどくさいなぁ、こいつら。」


アロブドを連発しているのはティアだな。


たしかに、どうにかなるかもしれない。


そう思った俺は、5秒後、突然現れた殺気とともにきた剣に、腰をかすられた。




「新手が来る前に終わらせておきたいですね。」


本当に、ウォテシィのときのようにこれ以上仲間を失いたくありません。


ユレンたちはほぼ無傷ですし、ここらへんで大剣に戻しておきましょうか。


…来ている。


「ショウ!」


背後から声。


ショウさんが腰をきられている。


なぜ、あれだけの殺気を感じ取れなかった、?


「警戒してください!」


一瞬、瞬きをした、その次の光景では、


マリガルド様と謎の人物が打ち合っている。


「ちっ。こいつ、『時間操作』してきやがる。」


『時間操作』。


なるほど。


だから感じ取れなかったわけですね。


ユレン、あなたを筆頭に陣形を形成しなさい。


そして、第二陣はショウさんの傷の手当てを。


、、ユレン、どうかしましたか?


『そんなことまですればノクリス様の魔力がもたないのでは?』


、。魔力切れと体力切れは違いますね?


魔力切れは死ではない。


私は魔力がなくても覇気で戦います。


安心していきなさい。


、、、ありがとう分かってくれて。


さて、


「マリガルド様、私に任せてください。そして、ファニアさんたちの方をおねがいします。この者は私のみで対処します。」


「あぁ、任せたぞ。」


はい。任せてください。


「おや?獣人族かー。でも、」


来る。


「すぐに背後を取られたら意味ないね。」


背後から声。


魔力領域・幻、5m先に移動。


「な、切ったのに切れてない?」


混乱している。


「ご説明いたしますよ?」


「だまれ!」


逆上型。


時間を止めることも忘れている。


正直、その能力で上がってきた魔族でしょうが、

そのくらいだとここが死に場所ですね。


「馬鹿正直に突っ込むかよ!」


時間停止の予備動作を確認。


なら、魔力領域・封・堕・禁。


「かはっ、。」


やはり、魔法耐性はないようですね。


「なんだ、体が、地面にのめり込んで。」


「ご説明しましょうか?」


「ひっ。、、化け物。」


「さて、それはどちらでしょう。」


ユレン。とどめは頼みます。


私はテイリアスたちの方へ向かいます。


御苦労でした。

はい。まぁ、まだ続きますね。書きますとも。では次の話で!

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