99話 なんで
[落とすよ。]
ファニアの声と同時に、俺とニルティアは塀の上に降り立った。
「だれだ!?」
剣先を向けられたから、
軽く自己紹介をしておいた。
さすがに状況は見ただけでわかる。
劣勢だ。
「それで?敵の主格は?」
ニルティアがコートのナイフを確認しながら言った。
「魔物を操るフード野郎だ。」
その言葉は、正直予想していた。
「ショウ、。」
「本当なら、俺は確実に死ぬだろうな。」
[どういうこと?]
ファニアが人の姿になっていた。
「以前俺たちのパーティーにいた、
エルフと魔族のハーフの魔法使いだ。
グロメントだった。」
[そんな人がいたの?]
「あぁ、だが、ウォテシィ奪還作戦でほかの仲間一緒に失った、はずだった。」
「もしそうなら、仲間になってほしいけど。」
ニルティアの言葉は最後まで発されなかった。
あぁ、周囲を見ればそのフード野郎が敵であることに間違えはない。
[顔を見ればわかる?]
「さすがにわかる。」
[そっか。、なら、、]
ファニアの周りにたくさんの魔法陣が出現して、そこから氷剣が出てきた。
[引きずりだそうか。]
ファニアの氷剣が、塀の際で一列に並び、
ファニアの手の動きに従って塀の下に飛んでいった。
「うわ、めっちゃ効率良い。」
[でしょ?]
俺は塀の下を見た。
うん、すべてのゴブリンが凍っている。
「さて、と。」
ニルティアの背中に翼が生えた。
「ショウ。行こう。」
「あぁ。」
俺は間髪を入れずに答えた。
そして、塀を滑り降りた。
[私はここで氷剣つくってゴブリン狩るね。]
「分かった。ファニア、王都へ氷剣を飛ばしてくれ。
内容は、『テイリアスを見つけた。かならず捕らえるから増援を頼む。』だ。」
[分かった。なんなら念話で今すぐに伝えとく。]
ファニアはそう言って塀の上に残った。
「すごく深い森。」
ニルティアは翼をたたみ、向かってくるゴブリンを斬りながら進む。
俺はその後ろで、横からくるゴブリンたちを斬っていく。
そのとき、ニルティアが姿勢を低くし、速度を緩めた。
「ショウ、見て。」
俺は言われるがままに茂みの奥を見た。
フード野郎がいる。
「行っておいで。」
ヴァレンスを見送るそいつの声を聴いた瞬間、
俺は茂みから走ってそいつのところに行きたくなった。
白いヴァレンス。
そしてヴァレンスを生み出せるのはテイリアスだけ。
「確定、かな。」
俺の言葉にニルティアは頷いた。
「どうする?正直、本当にテイリアスとは思うけど、なら尚更、勝てるか分からない。」
「ショウ、テイリアスたちの遺体はどうしたの?」
ニルティアに聞かれた。
「その場で死亡を確認して埋めた。」
「なら、魔族がそのあと回収して生き返らせたのかも。」
「そんなことできるか?」
「昔、誰かの命と引き換えに誰かを生き返らせる魔法があるって聞いたことがある。
もちろん、禁じられてるけど。
そう考えると、、エルフの血が入ったテイリアスは死んでも魔族とは違って灰になって消えないから、
その魔法が使える。」
「希望が生まれたというべきか、絶望が深まったというべきか。」
「わからないね。とりあえず、全力でとらえるよ。」
「もちろんだ。」
そう言いあった次の瞬間、
ニルティアは近くの木に飛んで、その幹を蹴って加速し、フード野郎に斬りかかった。
「っ、、?!」
フード野郎が一瞬で身をひるがえし、
ニルティアの剣を避けた。
が、俺はその隙に背後に回っていた。
俺が剣をふるったが、フード野郎はノールックで魔法陣から剣を出現させて俺の剣を止めた。
「奇襲、か、」
「あぁそうだっ!」
俺は足でフード野郎の足を払おうとした。
するとフード野郎は飛んでそれを避けながら、反転して俺の方を向き、空中で魔方陣を出現させた。
「死んで。」
その声が聞こえるとほぼ同時に、俺は反射で右にとんだ。
ズゥゥゥゥン、。
と轟音がした方を見ると、俺がさっきいたところは、5mくらい地面がえぐれていた。
火力やっば。
「ショウ!」
ニルティアがテイリアスの放つアロブドを、空を飛んで避けている。
「鬱陶しい。」
テイリアスの真上にニルティアが来た。
一瞬、テイリアスが完全に上を向いた。
ここしかない。
凶刃の舞・酷・無神突き。
俺は一気にテイリアスとの距離を詰めた。
すんでのところで反応され剣は止められたが、これが狙いだ。
おかげでフード野郎の驚いた顔が見えた。
「テイリアス。」
俺が言葉を発すと、テイリアスは俺と目を合わせた。
「なぜ名前を知っている?」
なるほど。
ライトノベルでよくあるやつね。『敵による記憶操作』。
マーレに頼めば元に戻るか?
まぁいい。今はそんなことはどうでもいい。
「戻ってこい。」
「意味が分からない。」
テイリアスの声。生きてる。
意味が分からないと言いながら、動けていない。
俺に対する攻撃行為をしてくるそぶりがないし、殺気もない。
よくある展開だと、
「頭が痛いんだろう?だから動けない。」
「なっ。」
図星だったようで。
やっぱりよくある展開だな。
なら、、テンプレで行ってやる。
「テイリアス、俺だ。ショウだ。」
うん、すごく苦しそう。
もうテイリアスは両手で頭を抱えて座り込みもだえている。
そのとき、俺はある気配を感じて勝ちを確信した。
「ノクリスだ。」
地面に大きな魔法陣が出現した。
そして、そこにいたのはノクリスとシュリード、ティアだった。
さすがにマーレは呼んでないか。
残念。、、ティア!?
「どうしてティアが?」
「偶然王都へ来てて、なんかノクリスさんが念話してたから内容聞いたら姉が生きてるって言われて、ちょうど空間魔法が使えるから、連れていってってことで。」
なるほど。
「だからこんなに早かったのか。」
「そうですね。ティアさんのおかげです。ショウさん、お久しぶりです。
無事ファリスイに到着できたようで良かったです。」
うん、絶対そんなこと言ってる場合じゃないけど。
まぁ、この人たち強さバグってるからな。
何があっても余裕なんだろう。
そういう俺も、なんとなく何が起きてもどうにかなる気がしているし、
どうにもならなかったらその時は
『死があるのみ』だから、、、。
うん、俺も十分頭おかしいわ。
「どうしましょうか。とりあえず完全にとらえておきましょうか。しばらくお待ちを。」
ノクリスの耳が立ち、背後に数多の大剣が出現した。
「位置につけます。」
そうノクリスが言った次の瞬間、大剣は俺たちを囲い、浮いている。
「魔力領域・封。魔力領域・禁。」
ふぅ、と息を吐いてノクリスは俺の方を向いた。
「魔法と動きを封じておきました。
敵意や殺意は微塵も感じ取れませんが、
ひどく混乱しているようですね。
一応手加減せずに魔力領域を展開しています。」
ノクリスは軽く頭を下げた。
「あぁ、十分だ。」
ノクリスの報告通り、テイリアスは記憶が改ざんされているのだろうが、
敵意や殺意は本当に微塵も感じない。
さて、ここからどうするか。
マーレを呼んで記憶を戻してもらうか?
[ショウ。こっちは大体片付いた。]
ファニアからの念話。
分かった。と心の中で言った。
[うん。それで、これからそっち行っていい?]
そりゃいいけど、って、なんで念話出来てるんだ?
[まぁ、今は私がショウの思考を読んでるからだね。]
なるほど、何考えててもお見通しってわけだ。
[そうだね。ショウ、すごく喜んでる。]
そうだな。
[見つけたから?]
あぁ、そうだ。
[そっか。んじゃあ、行くねー。]
それからファニアの念話は聞こえなくなった。
しばらくしてファニアも合流した。
「さて、と。」
俺はテイリアスを見る。
まだ頭を抱えている。
「これからどうする?」
「どうするって、正直、この魔物の量はテイリアスが原因だろうし、
解決されたようなものでしょ?」
「ショウさんたちが出発してから新型のゴブリンが出る、
という報告がありましたが、
それは恐らく白いヴァレンスとか白いゴブリンのことでしょう。
身体能力が通常の者より高くなっています。」
うん、。
「じゃあほんとに解決じゃない?」
「まぁ、解決してないことと言えば、」
ニルティアもテイリアスの方を見る。
「そうだな。」
テイリアスの記憶、だな。
「ティア、マーレを呼べるか?」
「それなら、ここより村に行ったほうが安全だと思う。」
俺は周りを見る。
深い森の中。
それとエルフの村。
どちらが安全かなんて少し考えればわかる。
「よし、行こう。」
「わかった。」
足元に魔法陣が出現した。
Hello, thank you for read my story. How was this story? It was nice? I wish it was nice or amazing or surprising or etc.... 英語は苦手なのでここらへんでやめておきます。これ以上すればぼろが出るので。読んでいただいてありがとうございます!どうだったでしょうか?私としては、「驚いた」「良かった」なんて感想を抱いて頂ければいいなと思っているんですが。埋めたはずのテイリアスに何があったのか。次の次くらいに明らかになる、かも?ならないかも?正直なんとも言えませんが、、。次の話も読んでくださいねー!!




