98話 さぁ、そろそろだ。
「ショウー。
なんで朝からゴブリンやらオーガやらヴァレンスやらクモ野郎やらいるわけー?」
ニルティアがクモ野郎の頭と胴体をさようならさせていた。
[それだけ近づいたってことじゃない?]
ファニアは氷剣を複製しまくってそれを操り魔物を処理している、、、。
どっかで見たような戦い方だけど、たしかノクリス、、。
[ショウー、そっちに小型のオーガが2体行ったー。]
そんな軽く言わないでくれよ、、。
俺にとっては割とやばい事態なんだから、
とはいっても最近夜はニルティアと打ち合っているから、
対面だけは鍛えられている。
飛んでくるナイフを避けたり剣で叩き落としたり、、。
毎日のように全てのMPをステータスに変換している。
まぁ、今日も今日とてやるんですが、
やらないと全ステータス1で戦うことになるからな。
それはさすがに死を意味する。
凶刃の舞・酷・終の番。
やっぱこの瞬間が快感。
体が一気に軽くなる。
前に見えるオーガは、俺に対する殺意がやばいねー。
痛いから。
でも、これくらいの大きさ(大体俺の2倍くらいの背の高さと横の太さ)は、
ソードスキルを使うまでもない。
「さよなら。」
ニルティアに教わった
『大型獲物の首への飛び乗りまたは駆け上がり』
を応用して、
というかフィジカルにものを言わせて、
俺はオーガがこちらに向かって走りながら腕を振り上げたのを見た瞬間、
感覚的に上に、正確に言うと前の方に高く跳んだ。
オーガの腕が空振りしたのを見ながら、
俺は自由落下する。
剣を逆手に持ち、両手を添えて力を入れ、一瞬でねらいを定める。
ズ、、。
とほぼ無音で俺の剣はオーガの首に突き刺さった。
「次はお前ね。」
俺は剣をすぐに抜いて、
灰になって消え始めたオーガの首を蹴って仲間がやられて戸惑っているもう一体のオーガに向かって間合いを詰める。
凶刃の舞・酷・乱華千本。
いわゆる細切れにするスキル。
「なんかその剣切れ味上がってない?」
2体のオーガが灰になって消えていくのを見ていると、
緑色の液体が顔についているニルティアが近づいてきた。
返り血は消えないみたいだな。
「ほんとに気持ち悪い。早く水浴びしたい。」
うん、それは思った。
さっき剣を突き刺したときに、手が緑色になった。
[水魔法は氷魔法に比べて得意じゃないけど、]
そういったファニアの方を見ると、
手から水が出ていた。
「チートじゃね?」
[いや、これくらいならできるよ。
でも本当に水魔法を使う人は、
普通に滝のように水を発生させるから、
わけわかんないよね。
あ、これきれいな水だから安心して。]
うん、理解はできるけど、っていう感じだな。
「ま、洗えるなら何でもいいや!
ありがとファニア!」
ニルティアがファニアの手の下で両手を合わせて器を作り、
しばらく水をためてから顔に勢い良くかけた。
「ぷはー、きもちいー。」
なんだ酒飲んだみたいになってるぞ。
そのあと俺も水をもらって手を洗ったり剣を洗ったりした。
[ほら、やっぱり近かった。]
オーガたちの掃討から30分くらいたった時、
両側に木々が生えている道の先に塀が見えた。
なんだろう。
どっかでみたような光景だな。
あぁ、そうか。
ガデルに初めて来たときもこんな感じがした。
まぁ、ファリスイが陥落することはまずないとは思うけど、
万が一もあるとは思った。
俺たちはファリスイの南側から来たはずだ。
そして魔物の数が異常に増加しているという報告があったのはファリスイの北側の大きな森。
つまり、もうファリスイの周囲は魔物たちに埋め尽くされている可能性があるということだ。
「わりと急いだほうがいいかもな。」
俺がいうとニルティアが頷いた。
「それは思った。」
ファニアの背中に翼が生えた。
なんか、、周りの温度が急に下がった気がする。
[ちょっと待ってて。]
ファニアはそう言うと、真上に向かって羽ばたいた。
そして10秒くらい経ってから降りてきたファニアは、
苦笑いをしていた。
[まずいかも。なんか、このあたりのの半径500mだけでも数百の魔物たちがいる。]
そんなの、
「全部は倒せそうにないかなー。」
ニルティアが俺のセリフを取っていった。
「そうだな。うん。」
なんとか二番煎じもどきをしておく。
[それと、ショウ。
ちょっと奥の方を
“竜の目”
で見てみたんだけど、ファリスイの北側、
ここの数倍以上にまずいことになってる。]
なんだと?
「そんなにか?」
俺の問いかけにファニアは頷いた。
[早く行こ。北側の塀は高く作られてるみたいだけど、
正直、そんなに持つとは思えないから。]
空中でホバリングしているファニアを見ながら俺は考えた。
「よし、急ごう。ファニア、仕方ないから竜になって運んでくれ。
たぶん、この門からそこまでの距離を飛ぶことにはならないと思うし、
一応向こうには兵士かそれに準ずる人がいると思うから、着地後のことは任せろ。
俺とニルティアでなんとかする。」
[わかった。]
ファニアは頷くと道のわきに行き、近くの木をすべて切り倒した。
[顕現の指輪。]
ファニアの指から眩い光が発されたのが見えた。
そして、俺のつま先から5cm離れたところまでの地面が、凍った。
めっちゃ寒い。
「登場のときの氷と温度はどうにもならないのか?」
俺は大きな竜になったファニアを見上げながら言った。
[まぁ、それは無理かなー、また今度やってみるけど。]
俺とニルティアはファニアの前足につかまり、空へ飛びあがった。
まずい。まずい。
このままだとゴブリンたちが塀を登り切ってしまう、、。
どうすればいい?どうすれば、
「フォール!変なこと考えずに目の前のゴブリンに集中しろ!」
言われなくても集中してる、!
けど、さっき出てきた新型のゴブリンとそれを操るフード野郎のせいで数がおかしいし、
ゴブリンの頭脳というより、人間のような頭脳を持ったゴブリンだから、
魔法を打っても魔法(?)みたいなもので防がれる。
それにこいつら、
「フォール!」
僕は自分を呼ぶ声とほぼ同時に右から押され、地面に倒れた。
重い、、。
「ねぇ、どい、、て、、。」
自分の体の上に乗っている腕をどけようとしたとき、その腕がただの腕で、
”胴体から離れている”
ことに気づいた。
「グ、、、ヒュー、、。」
倒れたまま右を見ると、
右肩を抑えているパーティーリーダーがいた。
「リーダー!」
「、、どうした。」
リーダーの声は、震えていた。
「大丈夫、じゃないよな。今治療できる人を呼ぶから、」
「逃げろ。」
「え?」
リーダーは南の方を向いた。
「今からでも遅くない。南に向かって逃げろ。」
「え?でもまだ、」
「いいから逃げろ!
俺が食らったのは、アロブドだ。
あんな上級魔法を放ってくる魔族なんて、俺たちじゃ勝てるわけがない!」
「え、、。」
「いいかr」
リーダーの肩に小さな魔方陣が出現し、
すぐに金色の剣がリーダーの体の中に出現した。
「リーダー?」
起き上がって左肩に手を置いた瞬間、
リーダーは力なくその体を地面に打ち付けた。
「リーダー!」
[そろそろだよ。]
ファニアが言った。
あぁ、もう見えている。
そして、、俺は口を開く。
「ニルティア、、感じるか?」
「もちろん。信じられないけど。」
ニルティアは涙を流している。
あぁ、俺も泣きたい。
「これは、テイリアスの魔力と気配だ。」
えー、どうなるんでしょうね。分かりません。
では次の話で!




