表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/69

8話 最弱、遠征クエストに挑戦する!

 次の日の朝、クエストの依頼表をクリスさんに見せてもらっていたアリスが口を開いた。「あの、クリスさん。このガデル砦の奪還作戦って、」クリスさんが少し暗めの表情になる。「えぇ、そうよ。半年前にハイゴブリンの群れに支配されてしまった砦とその街カデルの大規模な奪還作戦よ。やっと王都が重い腰を上げたと思えばウドルフの冒険者協会に押し付けるなんてね。半年前に奪われるまでなにも対策をしてこなかった。ガデルには兵士と冒険者が不足しているから補充してくれ、と現地の駐屯兵からの願い出があったにも関わず。王都は何もしなかった。それなのにガデルが奪われた途端に血相変えてウドルフの冒険者たちに奪還させろって、こりゃムカつくわね。これだからいつも先制攻撃されて後手後手に回る羽目(はめ)になっているのよ。」あ、ムカついてたのか。なんか、詳しく説明してくれてありがとうございます。ん?でも、「あの、クリスさん。」「んー?なにー?」とてつもなく明るい声で応えられた。情緒どうなってるの?「えっと、半年前って言ってましたけど、なんでそんなに確認されるのが遅れたんですか?」「あぁ、それはね、ガデルが最南端にある街で、王都に情報が伝わりにくかったていうのと、おそらくハイゴブリンたちが情報が漏れないようにしていた可能性があるわね。」「なるほど、それで、この遠征に必要なランクは?」「ウッドランクではあるけど、ハイゴブリンだからってなめてかかっちゃだめよ?返り討ちにされる初心者冒険者が後を絶たないのだからね?」、、いやぁ、そりゃあさ、俺だってゴブリン草原でゴブリン討伐し続けて生活していきたいとは思うけど。でもさ、、アリスがさっきからすげぇ食い気味に話を聞いてんだよ!!これで今俺が「なぁ、アリス。俺たちはゴブリン草原で狩りをしないか?」なんて言ったらその瞬間にファイアーボールで焼かれかねない。「ショウさん」「はいっ!!」突然アリスに声をかけられて驚いた。「えっと、大丈夫ですか?」「あ、あぁ、大丈夫。どうした?」「遠征に参加したいのですが、、ダメ、でしょうか?」アリスは身長差を生かし、俺を下から見上げてくる。世にいう上目遣い、だ!くっ!まぶしいな。「いいですよ。行きましょう。」俺はなにを言ってるんだ?行きたくないんだけど!?、、しょうがないか。「それじゃあ、遠征メンバーの中に名前を入れておくわね。」「お願いします。」あー、話が勝手にどんどん進んでいく。「はい、登録終わったわよー。」「ありがとうございます。」あぁぁ、参加してしまった。「いいのよ。でも、ひとつ忠告しておくわ。」クリスさんは声のトーンを下げた。「ガデルに生きた人類はもういないと考えたほうがいいわ。」「え?」アリスが声を出す。「それって、、どういうことですか?」「そのままの意味よ。ガデルの住民はハイゴブリンに皆殺しにされた可能性が高いと王都と私たちウドルフ冒険者協会は考えているわ。」「そんな、、。」「これが現実よ。そう簡単に事がいい方向へ運ぶほど世の中は甘くないの。だから毎日を必死に生きてこれからの未来を少しでもいい方向へ、、魔族に勝てる日へ向けようとするの。」クリスさんが少し強めの口調になった。まぁ、ほんとにそのとおりだと思います。「そう、ですね。、、でも、、それでも私は一人でも多く助けるために行きたいと思っているので、生存者はいると考えていきます!」アリスの声はいつものどこか迷っているような気のする声と違って、芯が通り、はっきりとしていた。クリスさんは少し息を吐きだすとカウンターから乗り出してアリスの両頬を軽くつねった。そして、少し微笑んだ。「まったく、ウッドランクなのに生意気な口きいてー!必ず戻ってきなさいよ?」「ひゃい!」「そうだぜアリスちゃん。」いや知らんとこから声がした!と思って振り向くと協会にいたほかの冒険者たちがこちらを見ていた。「クリスにとってアリスちゃんは娘みたいなものなんだから帰ってこないと悲しまれるぜ?」大剣を背負った強面の男性冒険者が言った。「ガイル、そんなんじゃないわよ?ただ死なれたらその後の王都への報告が癪に障るから嫌なだけよ!」「へぇー??」ガイルと呼ばれた男は両手を頭の後ろに当てて椅子の上でふんぞり返った。まるでクリスさんを挑発しているようだ。言っちゃ悪いけど、めちゃくちゃ面白れぇ。「素直じゃないなー!」他の冒険者たちが笑うと、クリスさんは耳を真っ赤にしながら、「ほらあんたはさっさとクエストに行ってきな!」と叫んだ。「へえへえ。、んじゃお前ら仕事行くか!」「はいよー。」数人の冒険者がガイルについて協会を出ようとする。ガイルがすっと振り向いて「あんたら、生きて帰って来いよ。」と言った。「もちろんです!」アリスが元気よく返す。「じゃあな。」ガイルは手をひらひらさせてから出ていった。なんか、さっきから俺ら死にに行くみたいな感じになってるけど、、そんなに危ないところに行くことになってんの?え、マジで行きたくないんだけど。俺とか着いた瞬間、というか着く前に殺されそうなんですけど。え、マジで嫌だ。「ショウさん。今日はもう戻って休みましょうか。明日に備えなければいけませんし。」「そ、そうですね。」そのままどこにも行きたくないな。アリスはクリスさんに向かって、「クリスさん、また帰ってきたら真っ先に会いに来ますね!」と元気よく言った。クリスさんはため息をつきながら、「はぁ、、約束よ。頑張ってね。」と返してあげていた。軽く俺もクリスさんに挨拶していつもより早く帰路についた。


 この時の俺は、この後繰り広げられる”惨状”を、全く予想していなかった。”あんなこと”が起きるなんて。分かっていれば、遠征になんか行かなかったのに。

お久しぶり、とも言うほど久しくはありませんが、8話完成でございます!ちょっと自分でも続きを書くのが楽しみになってきちゃいました(もちろん最初から楽しいですよ?)。さて、最弱が遠征に参加するとどうなるのか、気になりますよね?(圧)(気になると言ってくれ。)。もちろん書きますのでしばしお待ちください。”最弱”作者の成長も同時にお楽しみください(笑)。では次のエピソードでお会いしましょう!(感想ありがとうございます!もちろん読んでますよ。)感想・レビュー etc...じゃんじゃん書いちゃってくださいな。すべて励みになります!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
やばい、続き気になりすぎますw 読んでる人にもっと読みたいって思わせる小説って本当にすごいですよね、尊敬です。 9話も楽しみにしてます! 遠征クエストどうなるんだろう、、、!?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ