表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/2

さよならあの冬、ああ初めての冬

夢を見て何となく思いついたので書いてみました。

時間ある時に少しずつ投稿していこうと思います。

メインじゃなくて完全趣味です……。

是非お時間ある時に読んで頂けると嬉しいです!

日本、世界から見たらきっと小さな島としか見えないんだろうな……と思うそんな国で俺は生きてる。

たまに考える時がある……。

なんでこんなにも国があるのに俺は"日本"なんて国に生まれたのだろうかと、もしアメリカに生まれてたら?俺は映画の俳優だったかも、ロックスターだったかも、韓国に生まれてたら?いい顔で生まれてきたかも……いやいや、これは産んでくれた親に申し訳ない考えだ、やめよう……なんて馬鹿馬鹿しい事を考える……ー

だが"この時"俺はこの日本に生まれた理由をこの"出会い"の為だったのだろうと理解した……。


目の前の光景は夢?幻?いや……現実だ……ーーー


1ヶ月前ー



この県は寒い……雪は凄いし、積もっても高校までの電車は動いてる、こんな積もった日くらい休みにしてくれないだろうかと雪が少し積もったくらいで騒いでいる他県に嫉妬する。

まぁ北海道とか青森とかには敵わないだろうが、こっちはこっちで嫌という程雪が降る。


そんなどうでもいい事を考えつつようやく期末も終わり冬休みを迎えようとしていたそんな普通の日、いつも通り靴を履いて帰るだけ、そう思っていた…。


可愛い生徒「あ…あの、」


俺じゃない……勘違いとは怖いものだ、普通なら自分の事と何かを期待してーん?ーとか反応するんだろうが、それが俺じゃない事くらいは自分で理解している。


可愛い生徒「えっと、どうしよ…聞こえてないかも」

友達らしき生徒「は?おい、川尻!お前聞こえてる?」


名前呼ぶな、川尻?知らんなそんな……とかアホな事言えるはずもなく俺は反応してしまう。

「えっと、俺の事呼んでます?」


友達らしき生徒「川尻ってお前しかいないんだけど、みこが話しかけてんの聞こえないの?お前どんだけ耳汚いん?」


なにその強烈な悪口コンボ入力、俺もうハメられてKOされてんだけど……プロ目指しちゃえよYou……なんて言おうもんなら今ここで俺の人生終わる。それくらいは俺でもわかる。

俺は難聴なんかでも耳が汚い訳でも無い、しっかり聞こえてはいる。

運動部の女子ってなんでこう威圧的なの?流行ってんの?怖いよ……怖いです。


可愛い生徒「川尻君、その……彼女とかいる?」


いるように見えますか?いいえいません、中学の時に一度付き合ったことがあるがバスケ部の先輩に見事にNTRです。そりゃ泣きました、妹に慰めて貰うくらいに。

ーなに、何かの罰ゲーム?この子隣のクラスの子だよな?ー


口をもごもごと顔を赤くしているが、本人はどうやら真剣な様だと察する。


友達らしき生徒「言える?みこ、うちおるし頑張れ」


可愛い生徒「いないなら、私と付き合ってくれませんか?」


告白……罰ゲームの方がまだ良かったのかもしれない。

この子はかなりモテている。文系なのにいかつい運動部からも何度か告白されているのを見た事がある。

転校生というのもあり一時期はあまり良くない噂もあったが人が良かったのだろう、そんな噂はすぐに無くなった。


にしてもこんなド田舎の高校なんかでも、それなりにこの子に合いそうな男子がいるのに、どうしてわざわざ俺なのかとも思ったが…、

決して思い当たる節がなかった訳では無い。


前にコンビニでたまたま見かけ、一人肉まんを欲しそうに見ていたので無言で買ってあげたし、図書室で読んでいた小説の話で盛り上がった事もよく覚えている。

だからといってそれが恋愛に発展するなんて誰が思う?

せいぜいラノベの主人公くらいだ、こんなただの日常でそんな事があると?これは夢か?俺は本当に川尻朔玖夜(かわじりさくや)なのか?

親の遺伝子のおかげで顔はまぁ、妹曰く「まぁ、モテると思うよ?」との事だったが、この学校には顔で選ぶなら俺よりも遥かに良い顔が数えれるだけでも10人はいる。


まぁこの子の性格を察するにそんな好きな人を顔なんかで選ぶ様な性格ではないだろうが、優しさ?まぁ、優しさには自信がある。自分で言うのもキモいが、親の教育のおかげだ。


まぁ、なんだ……これが夢じゃないならぁ……


「イッタ!!え!?」

突然強烈な蹴りをくらう。困惑だ

というかこの子もびっくりしている。


可愛い生徒「え!まおちゃん!蹴っちゃダメだよ!?」


友達らしき生徒「おい、お前まじなんなん?性格クソすぎん?はよ返事しろよ」


「ごめんなさい、えっと、俺でいいの?」


チッ……


ーいや、友達怖いんですけど……いつもグループの中にいる女子ってほんと怖いんですけど、俺の言葉の何が駄目だったの!?ー


可愛い生徒「うん、川尻君凄く優しいし気遣いとか凄いなって、だから本気で付き合いたいって思ってる。」


気遣い……違う、ただ人との関わりを避けているだけだ。それが他人から見れば気遣いと認識されたのかもしれないが、俺は気遣いなどと聞こえのいい行動をしているとは思っていない。

だが、ここは言葉を選ぶ

「ありがとう、そう思って貰えて嬉しいです。」


可愛い生徒「け、敬語やめよ?同い歳だし、前にも普通に話したし、タメじゃ嫌?」


そんな優しさ満天の聞き方はずるい、顔の角度とか、悲しそうな表情とか、不思議と心に刺さる。

横の女子を見習っては?まるで変態なおっさんを見る様な目で俺を見ている。

今にも視界から消えろと言わんばかりの視線だ……。


そんな友達に視線を送っていると目が合いかけ、今にも胸ぐらを掴まれそうだったので真剣に返事することにした。

「嫌…じゃないよ、全然、ただ俺こんなだし?そういう経験ほんと無いし、でも付き合うなら真剣に……その、お願いします。」


俺がそう伝えると彼女は今にも泣きそうな顔で友達に抱きつく。

友達もさっきまでの鬼のような形相だったのに今では

少し優しい顔をしている。

友達らしき生徒「よかったじゃんみこ!!やったやん!!」


こういう時思うことがある。

学生をしていると良くある景色だが、何度か告白が成立した場面に遭遇する、特に放課後……。


告白した女子は仲間内で喜び、OKした彼氏は何も出来ず棒立ち、凄い陽キャカップルの時は場の空気に流されてキスする輩もいる……こういう時友達がいればまだ何とかなるかもしれないが、恐ろしい事に少数の女子は相手が一人の時を狙ってくる。

まぁ、俺は友達が横にいた所で死ね!とか言われるだけだろうが、この時間が一番謎だと思う。


そんな事を考えていると突然目の前に彼女が立って顔を覗かせて来た。


可愛い生徒「嬉しい、これからよろしくね!なんて呼ぼうかな、あ!帰り一緒に帰ろ?無理なら我慢するから、あ、あとBINE交換しよ!」


この子誰だ?さっきと人が変わっていないだろうか……

ものすごく積極的なのは嬉しいが情報量の処理に時間が掛かりそうだ。


そうこうしていると友達は「みこ!あとは楽しんで!私みんなに言ってくる!!」

と走ってどこかへ行ってしまった。

そして恐怖の言葉を耳にした事を俺は聞き逃さなかった。

「みんなに言ってくる!」……これ程怖い言葉があるだろうか?

何も気にしない人ならいいが俺からしてみればある意味公開処刑だ……、朝登校すれば話した事のない生徒から「お前付き合ったん!?めっちゃいいじ!!」とか

「は?お前はないやろ」とブチギレてくる輩が次々と出てくる。

それどころか最悪の場合先生までもが出てくるのである。

「あの子の成績下げんでな?程々にしとかんなんぞ?」と生徒指導に目をつけられる始末……

今日までの穏やかな日々よ……さよならぐっパイ……。


その後彼女とBINEを交換し一緒に駅まで帰った。

夜には通話をしお互いの呼び方、デートの話等遅くまで話をして、そのまま寝落ちしてしまった。


朝起きると通話は続いていて彼女の小さないびきがイヤホン越しに聴こえてくる。

うわ……可愛いのやめて欲しい……試しに声でも出してみようかと一言だけ口に出してみる。


「おはよう……みこ〜?」


うっわキッツ……きっモイわ……!!

なにがおはよう〜だよ、なにがみこ〜?だ……こんなんで需要あるの声優さんの目指しボイスだけだっつの!

俺の声でこれはキツすぎる……!!

と布団の中で悶えていた。

すると突然の彼女の声に心臓が止まりかける。

みこ「ん……んん〜……おはようさく君」

さく君……やめてください恥ずかしくて死にそうです。

こんなの妹に聞かれたり見られたりしようもんなら……しよう……もんなら……。


「ぁ……。」


妹「ママぁぁぁ!さくにぃがなんかめっちゃ浮かれとるぅ〜!!」


終わった……。


朝から母親の謎の優しい眼差しに今にも(もだ)えそうになったが、何事もなくいつも通り電車に乗る。

すると途中駅に着くとさっきまで通話していた彼女が乗ってきた。

女子の運とは怖いもので何故か自然と横が空いているのである。

これを俺は"彼氏の横は空いてて当然現象"と呼んでいる。

というのは嘘だが、気づくと既に彼女は横に座っていた。

みこ「はわ〜…おはようさく君、さく君の声聞いてたら癒しすぎてそのまま寝ちゃった〜さく君も?」


やめてください……これ以上俺を追い込まないでくれませんか?恥ずかしくて死にそうです。

あと最後に自分に聞き返すのずるいと思うんです?

そんなのもう答えは一つなんですよ、ーうん!俺も!ーと答える以外ありますか?!……だがしかし、俺は違う!、俺はそんな誰でも返せる答えを言う男じゃない……違うんっ!

「もっと、みこの声聴いてたかったかな……」

ぁぁぁぁぁぁ゛゛……

彼女はきっとこう思ってる……ーえ、流石にきもいかなーと

流石にアニメの見すぎなんだよ!何言ってんの俺は!?

どうかしてるよ!?戻ってこい!昨日までの俺!!


みこ「うぅ……恥ずかしいよ、そんな事言っちゃうのずるくて嫌」

あれぇ……これはラブコメですか?、俺の人生ラブコメ可してますか??

そんな顔隠して実は笑うの我慢してたりしません?

そろそろ吹き出して笑いません?ぶふぉ!とか言っちゃってさ……

すると彼女は無言で自分の頬を引っ張り顔の真横で囁いてきた。


みこ「そういうのは……2人きりの時に言ってね……?」


あの……俺の事もう攻略済みだと思うのでそろそろ解放して貰えませんか?

この子怖いよ……何企んでるんですか?俺刺されますか?

そんなこんなしてると電車が駅に着いた。

校門まで一緒に話しながら歩き、周りからの強い視線を嫌という程感じる。


そして聞こえる様に口に出しているのだろうか、それとも意識して聞こえているのか

「え、付き合っとるん?あの2人」ー「あいつから告ったんかな?」ー「あいつ川尻やろ?なくね?」と次々と男子と女子の想像通りの言葉が耳に声が流れ込んでくる。


みこ「さく君、大丈夫?顔色悪いけど…今にも吐きそうな顔してる……」


大丈夫なんかではない……今まで俺がどれだけ目立たないようにしてきたと……俺は高校デビューなんてしたくもなかったし出来ると思っていなかった。

高校は入学してクラスが決まった段階ですぐに友達探しやすぐ付き合おうとする奴らがいるが俺はそんなことしたくてこの高校に来たわけでは無いからだ…。

中学生の時……3学年の夏休み明けに都会から父親の事情で転校してきた。

田舎だから優しく受け入れて貰えると思っていたそんな気持ちが浅はかだったんだ……。

都会人だからって調子に乗るなだ、標準語がキモいだ……そんな事でクラス中から嫌われ者になった……。

親にそんな事言えるはずも無く、半年なんとか我慢して乗り切ったあの地獄をもう二度と味わいたくなかったからだ……。


高校は中学の時いた生徒がほとんどいなかった高校を選んだが数人はあの時の自分を知っている奴がいる。

だからほとんど口を効かず静かに…静かに過ごしてきたのに……彼女が出来たくらいで注目の的になって

嫌でも目につく存在へと変わるこの人間心理が俺は心底大っ嫌いだ……。

これは今心配してくれている彼女に申し訳ないが、

この子と付き合う事がなければ今までと変わらない日常を過ごせたんだと最低な考えに陥る。

俺みたいな奴がこんな可愛い彼女と付き合うべきではなかったんだと次から次に終わった感情が自分を責め立てる。

すると彼女は無言で俺の手を強く握ってきた。


みこ「ねぇ、私といるとさく君……辛い?あの時まおちゃん連れてきてごめんね、私一人じゃ怖かったから…私のせいでみんなが噂してるんだよね、多分。私まおちゃんに言ってみるから、あんまり広めないでって、あとさく君が嫌なら学校であんまり……近ずかないから、そんな顔しないで……」


この瞬間俺は心底自分が憎く感じた。

きっと彼女は表とか裏とかじゃなく純粋に優しくていい子なんだと、罰ゲームだとか彼女のせいだとか最低な考えをしていた自分をこの時ばっかりは本気で殴ってやりたいと思った。


「ごめん、ほんとごめん……みこのせいじゃないから、ほんと、違うから……でも、酷いこと言うかもしれないけど、学校では距離……おいてほしい。」


彼女の表情に何を思ったのかこの時ばかりは自然と本音を言っていたと思う。

でもやっぱり俺は心底思う……


俺は最低だ……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ