22 閑話
王家には禁書と呼ばれる、王家の者のみが読むことを許された書物がある。
絶対禁書と呼ばれる王と王太子のみが読むことを許された、建国神話の書かれた書。
王家のみに受け継がれる魔法が書かれた書。
そして代々の王家の伝記や王族個人の手記などもそれにあたる。
魔法の書。
そこには、女神が最後に残した「破滅」という言葉を大災害の再来と結び付けた過去の王家が、いつかまた災害が起きた場合に備えて、浄化魔力を持つ者を探す術を開発し、書き残している。
他にもその書には、王族の開発した数々の魔法が記されている。ただしそこに残されたものには、王族が愛する者に使うために開発した、数々の禁じられた魔法も記されている。
愛への渇望と執着を植え付けられた、あの王子の魂を受け継いだ王族は、その後もただ一人を盲目的に愛し慈しんだ。
ただし愛する者への執着は、時に悲しい結末を迎えることも少なくなかった。
愛する者から同じ愛を返されず絶望する者。
深い愛を理解されずに、その執着に恐れを抱かれ、愛する者に逃げられた者。
愛する者の死に直面し、気を狂わす者。
数多くの悲劇はまた狂気的な魔法も生み出した。
膨大な書物の中からそのような希少な魔法を見つけることはそう多くない。そしてそのような魔法を望む者も。
しかし偶然にもその魔法を欲する者が、その書物へと辿り着いてしまうこともゼロではないのだ。




