ドラゴンも帰還
「アシマーっ!」
「アシマ様!」
真っ先にマルグレーチェと、シャルンガスタ皇女殿下が飛びかかるようにして抱き付いてくる。その勢いに押し倒されそうになるが、僕はどうにか踏んばった。
「もう! 心配したんだから!」
「ご、ごめん……」
「アシマ様、御無事で何よりです」
「恐れ入ります、殿下……」
「アシマよ!」
皇帝陛下も早足で近づいてくる。僕はその場に跪いた。
「陛下」
「大儀であった! 結界が急に消え失せた故、外に出てみたのだが、サーガトルスは……?」
「討ち果たしましてございます。亡骸は、隣の教会の側に……」
「そうか……して、ガルハミラ候は……?」
宰相の遺体を見ながら尋ねる皇帝陛下。首を横に振って答えた。
「サーガトルスが死ぬ間際、魔力を暴走させました。宰相閣下はその巻き添えに……生かして捕えることができず、申し開きのしようもございません」
「良い……自業自得じゃ。この者にはふさわしい最期であろう。誰か!」
「はっ!」
皇帝陛下の呼びかけに応じて、一人の廷臣が進み出た。
「西部方面軍に、余の命を伝えよ。カルデンヴァルトへの侵攻準備を、即刻中止するようにとな。加えて、方面軍司令官は即刻帝都に帰還させよ。宰相とのつながりについて、余自ら詮議を行う」
「御意!」
「陛下の御高配に、感謝いたします」
平伏してお礼を述べる僕に、皇帝陛下は言った。
「礼を申す必要はない。皇帝としての務めを果たしたに過ぎぬ。ところでアシマよ……」
「父上」
皇帝陛下が何か言うのを、皇女殿下が遮った。
「アシマ様はお怪我をなさっておいでです。火急のお話でなければ、また後程に……」
サーガトルスの極大雷撃を受けたとき、大部分は躱したもの、僕は一部を喰らってしまっていた。そのせいで、体のあちこちが焼け焦げていたのである。
皇帝陛下は頷いた。
「うむ……そうであるな。今は傷を癒すが良い。明日の朝議には、必ず出席するように」
「はっ……」
「本日の朝議は、これまでといたす。皆、下がれ」
「「「はっ!」」」
皇帝陛下の命を受けて、廷臣達は解散していく。皇帝陛下も宮殿へと戻っていった。
「アシマ!」
マルグレーチェが近づいてきて、回復魔法を使おうとした。僕はそれを制して言う。
「あ、待って」
「えっ……?」
僕は空を見上げる。ちょうどそのとき、バルマリクが空を飛んで中庭に降下してきた。サーガトルスに撃ち落とされて、地上で待機していたのだが、僕が勝ったのを見て宮殿に戻ってきたのだ。




