表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

85/212

謁見の間の外へ

始めからそういう発言はしていたけど、やっぱり見境はなしか。僕はサーガトルスの様子を(うかが)った。本当に政治的な思惑があるとか、お金が欲しいとかではなくて、単純に戦闘を楽しみたいのだろう。


「とはいえ、むざむざ雇い主を殺させては、このサーガトルスの名が廃るというもの。それも面白くはない。ならば……」


サーガトルスは、失神した宰相の襟首を掴むと、片手で軽々と持ち上げた。そして何か短い呪文を唱えたかと思うと、その両脚が床からふわりと浮き上がった。


「「「おおお……」」」


それを見て、廷臣達がざわめく。


飛翔魔法か……


高位の魔道士の中でも、さらに一握りが使えるという飛翔魔法。それをサーガトルスは使えるようだった。さすがリーラニア最強というだけはある。


「ふん」


空いている手を、謁見の間の入口に向けてかざすサーガトルス。すると、入口の扉の部分だけ、光の筋がなくなった。結界が一部解除されたのだ。


「先に行って待っているぞ。アシマ・ユーベック。後から来るがいい」


そう言うとサーガトルスは、扉を開けて、宰相を引きずりながら宙を飛んで外に出ていく。


受けて立つしかないな。僕は腹を括った。ここで追わずに宰相を取り逃がせば、カルデンヴァルトへの侵攻を止めることがほぼ絶望的になる。さらに言えば、宰相が自分の派閥を集めて蜂起することで、リーラニア帝国に内乱が発生するかも知れない。ここは追跡一択だ。


もちろん、危険は大きい。サーガトルスは、僕がバルマリクを連れてきていることを、当然知っているだろう。それでも外に誘い出すということは、空中戦でバルマリクに乗った僕に勝つ自信があるに違いない。


それを打ち破るには……僕は少し考えた。


やっぱり、あれで行くか……


「…………」


シャルンガスタ皇女殿下が、不安そうな顔で僕を見ていた。僕は殿下の側に駆け寄る。


「アシマ様!」

「殿下。行って参ります」

「どうか、御武運を……」


そう言って、僕の手を握り締める皇女殿下。僕は言った。


「御心配には及びません。必ず勝てます。皇女殿下の、お助けさえあれば……」


皇女殿下は、はっとしたように言う。


「わたくしは一体、何をすればよいのですか!? どうか仰ってください。何でもいたします!」

「それでは……」


僕は皇女殿下の耳元に顔を寄せて、あることを依頼した。それを聞き、皇女殿下はにっこりと微笑む。


「かしこまりました、アシマ様。どうかこの、シャルンガスタにお任せくださいませ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ