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逃亡兵、テイマーに捕獲される

きっと、もうすぐだ。僕達は緊張して南の空を見守った。


果たして、しばらくすると数羽のフクロウが水平に円を描いて飛ぶのが見えた。森の中を移動する、人間の集団を見つけたのだ。


「見つかった」

「「「おおお……」」」


夜間視力の関係で、フクロウが見えたのは僕だけだったようだ。僕がつぶやくと、兵士達がざわめく。


僕は兵士達に尋ねた。


「この近くで、伏せるのにいい場所はありますか?」

「少し入ったところに、泉がございます。その周囲に伏せられます」

「では、そこに伏せていてください。リーラニア兵を追い込みます」

「「「御意!」」」


僕はバルマリクに跨ると、フクロウの飛んでいた方向に飛び立たせた。途中で下の泉を確認してから、フクロウの飛んでいるところまで急行する。フクロウの下に、リーラニアの兵士達がいるのだ。


リーラニアとの国境側に回り込み、森の中に降り立つ。こちらに向かって歩いてくる数十名の兵士と、至近距離で対峙した。


バルマリクが吼える。


「GUOOO!!」


突然行く手をドラゴンにふさがれ、リーラニア兵達は目に見えて動揺した。


「うわあ! な、何だ!?」

「ド、ドラゴンだ!」

「お前達は逃げられないぞ! 投降しろ!」


僕が大声で威嚇すると、隊長らしい男が言った。


「うろたえるな! ドラゴンは森の中では機敏に動けぬ! 散らばって逃れるのだ!」


その声に応じ、兵士達は散らばっていく。確かに隊長の言う通りだ。森の中で散開すれば、大半はこちらの追跡をかわせる。だが、僕も全員を捕まえられるとは、最初から思っていなかった。兵士達の中で数人の集団に狙いを定め、バルマリクの咆哮を聞いて集まってきたフクロウ達に襲わせる。


「な、なんだこいつら!」

「ひいいっ! よせっ!」

「来るな! 来るなーっ!」


兵士達は剣や槍を振り回し、必死になってフクロウ達を追い払おうとした。だが、あまり周囲の見えない暗がりの中で、羽音を立てずに襲ってくるフクロウを捕えるのは難儀なことだ。兜に守られていない顔面を、面白いようにつつかれている。


僕はフクロウ達に指示して、南側から兵士達を襲うように仕向けた。当然、兵士達の足は北に向く。そうやって兵士達を誘導し、泉の方まで走らせた。そして泉まで到着すると、伏せていたカルデンヴァルト兵達が一斉に飛び出し、槍の穂先を突きつける。


「そこまで」


後ろから追い付いた僕が言うと、長い距離を走って息も絶え絶えの兵士達は、その場にへたり込んだのだった。

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