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フクロウの森

「ガルソン!」

「はっ。おい……」


辺境伯の指示を受け、側に控えていた警備隊長のローグ・ガルソンが、さらに別の兵に指示を出した。しばらく後、精悍な顔立ちの兵士十数名が僕の前に整列する。


「我がカルデンヴァルト警備隊の精鋭です。お使いください」

「ありがとうございます。では……」


僕は兵士達に、リーラニアとの国境に近い、街道沿いのある地点に、騎馬で集合するよう言った。


「「「御意!」」」


兵士達は慌ただしく駆けて行く。僕はローグ・ガルソンに尋ねた。


「リーラニアの兵士のうち、馬に乗った者はいましたか?」

「ええ。隊長一人だけは」

「分かりました」


バルマリクに乗り、空を飛んで例の地点に向かった僕は、兵士達より一足先に到着する。街道の両脇はすぐ森だ。バルマリクから降りた僕は森の中に入っていき、フクロウの巣を見つけては中にいるフクロウをテイムしていった。


僕はフクロウ達を森の中に放ち、逃げ出した暗殺者とリーラニア兵を探させた。


カルデンヴァルトとリーラニアの境は、南北に長い。その境全部を見張るのは困難だ。だが、北や南に向かって長い距離を移動し過ぎると、夜明けまでに越境できなくなってしまう。なので、リーラニアへの最短ルートから、そう外れることはないだろうと僕は踏んでいた。


とうに陽は完全に落ちていて、か細い月明かり以外に周りを照らすものはない。街道に戻って待っていると、先に出発した兵士達が騎馬に乗って現れた。


「アシマ殿!」

「御苦労様です。今、リーラニアの兵士達を探させています」


みんなで軍用の携帯食をかじりながら、しばらく待つ。


「GUUU……」


ふと、バルマリクが北の方を向いて低く唸った。目を細めてそちらを見てみると、一羽の白っぽいフクロウが、上下に宙返りを繰り返しているところだった。あれは、リーラニア兵の隊長が乗り捨てた馬を見つけたという合図だ。


手を振って応答の合図をしてから、僕は手元に置いていたフクロウ達に向かって叫んだ。


「よし、南だ! 南を探すんだ!」


フクロウ達が、南の方角に飛んでいく。馬をリーラニアまで連れて帰らず、途中で乗り捨てたのなら、探索の目を欺くための囮にした可能性は高い。おそらく、一人の兵士に集団から離れた単独行動をさせ、北へと馬を牽かせたのだろう。僕は北側の探索も続行しつつ、南側に重点を置かせることにした。


「アシマ殿……」


兵士達が、緊張した面持ちでこちらを見る。僕は、無言で頷いて応えた。

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