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今度は東へ

僕はベルンゼ将軍に(たず)ねてみた。


「どうにかして、オルバック伯を遠ざけることはできないでしょうか?」

「そうだな……カルデンヴァルトの入口付近で警戒に当たるよう要請することはできるが、あの者が素直に従うかどうか……」

「では、作戦の誠の目的を伏せ、シャドガン砦の攻撃に向かうと伝えてはいかがでしょう? 途中で引き返さずにシャドガン砦まで向かうのなら、西部方面軍に包囲殲滅される可能性が高くなります。オルバック伯も身の危険を感じると思うのですが」

「なるほど。オルバック伯は小心な男。摂政の指示とは申せ、内心では命を懸けてまで陛下の監視を続けたくはあるまい。そこへ来て、1人だけカルデンヴァルトに入らずとも良いと言えば、喜んで従うかも知れぬ」


国王陛下も、僕とベルンゼ将軍の考えに賛同する。これで手筈が整った。僕は国王陛下の元を辞し、ベルンゼ将軍と共に天幕を出る。そこで僕は将軍に話しかけた。


「将軍。国王陛下のことですが……」

「ん? それなら案ずるな。陛下の御身は我が命に代えてもお守りする」

「お願い申し上げます。されど万が一進退(きわ)まり、陛下に危険が迫った折にはこれをお使いください」


そう言って僕はベルンゼ将軍に、油紙に包んだ、握り拳より一回り小さい玉を差し出した。


「これは?」

「地面に強く叩き付けると、強い光と音、それに色の付いた煙を発します。当日はドラゴンを1頭飛ばして上空から国王旗を追わせますゆえ、これで合図をお送りください。さすればドラゴンが急降下し、陛下をお救い申します。西部方面軍はドラゴン部隊を失っておりますれば、追ってはこられません」

「それはありがたい! 陛下の御無事が確約されているとなれば、我らも心置きなく動けるというもの。しかし……このことは陛下にはお伝えできぬな」

「仰る通りです。兵士達を置いてお1人のみ逃がす算段をしていると知れば、陛下はわたくし共をお叱りになるでしょう。ですので、このことは内密に」

「承知した」


 ☆


深夜、デーグルッヘと共にバワーツ砦に戻った僕は、休む間もなく第一特別近衛竜騎士団と王宮獣舎のドラゴン達を連れ、今度は東に飛び立った。途中で休憩を挟みつつ、リーラニア帝国帝都ホリンズグルッフに向かって飛行し、昼頃にカルデンヴァルトへ向かう皇帝軍地上部隊を見つける。降下して地上部隊を率いるゾンドルム将軍と対面した僕は、将軍の率いる兵士達の中から精鋭5千を派遣してほしいと願い出た。

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