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もう一度、国王陛下に拝謁

クナーセン将軍との打ち合わせを終えた僕は、テーゼラー卿の随行員達に会った。そこで彼らに、こちらに向かっているマリーセン軍は大軍だという、偽の情報を吹き込む。


そして夕方近く、僕は副長のデーグルッヘを連れてバワーツ砦を後にした。また西に向かって飛び、マリーセン国王陛下の軍勢と接触する。マリーセン軍は1日の行軍を終え、野営の支度に入っているところだった。


国王陛下に拝謁し、今度も皇帝陛下の伝言と偽って人払いをしてもらう。その上で僕は、西部方面軍を(おび)き出してほしいと願い出た。


「余が(おとり)となって西部方面軍を引き付ければ、その隙に皇帝軍がシャドガン砦を奪うと申すか……」

「はい。皇帝軍も、正面きってでは西部方面軍に勝てるか分かりません。そこでどうか……」

「分かった。アシマの策に従おう」

「陛下……」

「カルデンヴァルトの民は今、住む家を追われ避難を強いられておる。余は1日も早く彼らを安んじたい。余が囮になることで西部方面軍を打ち払えるのなら、喜んでそのようにいたそう」

「ありがとうございます、陛下!」


僕は深く頭を垂れて感謝した。


「とは申せ、いかにして西部方面軍を誘き出したら良いものか……」

「されば、クナーセン将軍の軍略をお伝えいたします。恐れながら、ベルンゼ将軍をお召しいただけますか?」

「よし。誰か!」


国王陛下は近くの者に命じ、ベルンゼ将軍を召し出す。国王陛下から話を聞いたベルンゼ将軍は、平伏して答えた。


「承知いたしました。国王陛下の御決断、このベルンゼ恐懼(きょうく)()えませぬ」

「頼むぞ、ベルンゼ。では、アシマよ……」

「はっ……」


僕達は移動して机を囲む。僕は地図を広げ、クナーセン将軍と打ち合わせた内容を告げた。西部方面軍を引き付けつつ、なるだけ多くの兵士を脱出させるには、どこまで進軍してどこに伏兵を置き、どの道を逃げるか、細かく説明していく。聞き終えたベルンゼ将軍は、静かに頷いた。


「なるほど……クナーセン将軍の軍略、しかと頂戴した。指揮官達には私から申し伝えよう」

「お頼み申します。それと1つ、気掛かりが……」

「「?」」

「オルバック伯のことにございます。摂政殿下から国王陛下を見張るよう命じられておりましょうが、それだけではないはず。よもや陛下の動きを邪魔立てはせぬか、懸念いたしております」

「あの者か……確かに陛下が功を立てるのを、何としても(はば)みたいであろうな……」


ベルンゼ将軍は、深くため息をついた。

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