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そして一騎討ちへ

「コーガル!」

「はっ!」


敵の竜騎士隊の隊長は、部下の一人に呼びかけた。


「司令官閣下に伝えよ! 今ならまだ、近衛竜騎士団は砦の援護に全力では当たれぬ。我らが持ちこたえている間に、急ぎ砦を落とされよとな!」

「しかし、それでは隊長は……?」

「急げ!」

「はいっ!」


伝令を命じられた竜騎士は、ドラゴンを反転させて飛び去って行く。それを見て、こちらの竜騎士団員が数騎、前に飛び出した。


「させるか!」

「待て!」

「追わせぬ!」


敵の隊長は弓に矢をつがえると、3本続けて放った。矢は甲冑越しに団員の肩や足に突き刺さる。相当な強弓だ。


「ううっ!」

「ぐわっ!」

「み、みんな!」


射られた団員達は、ドラゴンを制御できなくなってふらつき出す。幸いバワーツ砦が近くにあったので、どうにかその敷地内に降りていった。


「近づいた者から射る! 道連れになりたい者は、遠慮なくかかって来るが良い!」


大音声(だいおんじょう)を張り上げる敵の隊長。どうやら全滅を覚悟の上で時間を稼ぎ、味方にバワーツ砦を攻略させるつもりらしい。


逆にこちらは、できるだけ少ない犠牲で、短時間のうちに相手を片付ける必要がある。敵の地上部隊がしゃにむに攻めてくるだろうから、一刻も早く砦の援護に専念したい。


「おのれ!」


他の団員達が、怯まずに前へ出ようとした。僕はそれを押し止める。


「待って!」

「団長!?」

「敵の隊長は僕が倒す。みんなは残りの敵を叩くんだ。もうすぐここに、デーグルッヘ達も戻って来る。残りの敵を全滅させたら、デーグルッヘ達と合流して砦を守って!」

「し、しかし、団長お一人で敵の隊長と戦われずとも……」

「いいから!」


僕は強い口調で言った。これ以上、団員達を傷付けられるわけにはいかない。


「「「…………」」」


静まる団員達。僕はバルマリクを前に進めた。敵の隊長もこちらに近づいてくる。


「大将同士の一騎討ちだな!? 望むところだ!」

「こっちは名乗らなくていいよね? お前の名前は?」

「我が名はボルダヴィク! 西部方面軍、竜騎士隊の隊長だ! アシマ・ユーベックよ、これまでの屈辱、晴らしてくれる!」

「そうか……行くぞ! ボルダヴィク!」


まず僕から、バルマリクを突進させる。ボルダヴィクはすかさず矢を放ってきた。僕はバルマリクに巻いたベルトを掴むと、バルマリクを上下反転させて矢を(かわ)す。


「何っ!?」


そのままボルダヴィクめがけて体当たりを試みる。向こうは手綱を引いてドラゴンを動かし、辛うじて回避した。

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