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獣舎を出発

五十頭近いドラゴン達を、僕は獣舎の入口近くに集めた。職員達も寄ってくる。


「ありがとうみんな! 行ってくるよ!」

「舎長、御武運を!」

「どうかお気を付けて!」


僕は体を丸めた。そして、一頭のドラゴンに指示して口の中に入れてもらう。王都から飛び立つとき、姿を見られないようにするためだ。王宮から逃げ出すドラゴンに僕が乗っていたら、職員達が手引きしたのではと疑われる。


「離陸!」


号令をかけると、調子を合わせて職員達が騒ぎ出す。


「うわあああ! ドラゴンが暴れ出した!」

「ドラゴンが言うことを聞かないぞ! 助けてくれえ!」

「駄目だ! 扉が壊されるぞ!」


頃合い良し。僕はドラゴン達を一斉に発進させた。入口の扉を中から破り、空へと飛び出す。ドラゴンに少しだけ口を開けさせて外を見ながら、僕は一度王都の北側に針路を取った。


王都の北でバルマリク、それにデーグルッヘと合流した僕は、向きを変えて一路カルデンヴァルトを目指した。明け方近くに到着すると、連れてきたドラゴン達を山林に隠す。そしてバワーツ砦に戻り、襲ってきた西部方面軍の竜騎士隊を迎え撃ったのである。


少し戦ってからデーグルッヘに半数を任せ、二手に分かれて逃げ出す。すると相手も隊を二分して追ってきた。僕達は敵を、獣舎のドラゴン達を伏せた場所まで誘導する。隠れたドラゴン達には、まずデーグルッヘ達を追う敵を下から不意討ちさせた。相手が壊滅したらこちらの援護に来るよう指示していたので、ドラゴン達は山の上から現れたのである。


味方が去っていった方向から来る、その味方とほぼ同数のドラゴン達。西部方面軍の竜騎士達にしてみれば、味方と錯覚してもおかしくない。さらに念を入れて、昇りかけた朝日の方から体当たりをさせると、敵の竜騎士隊は直前まで気付けずに大半が撃ち落とされた。


 ☆


僕達は、今や十騎未満になった敵を追う。バワーツ砦まで逆戻りしたところで、敵の隊長は踏み止まって僕と対峙した。


「やってくれたな、アシマ・ユーベック。よもやマリーセンから竜を呼び寄せるとは!」

「国王陛下が、王宮のドラゴン達をお遣わしになったんだよ。お前達を討ったのは、第一特別近衛竜騎士団と、マリーセン王国の国王陛下だ!」

「ふっ、そうか……」


相手は薄く笑うと、僕の顔を見つめて言った。


「だが、まだ戦いは終わっておらぬ。そうであろう?」

「ああ……」


僕は頷き、相手の言葉を肯定した。確かに、敵の戦力はまだ残っている。

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