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国王陛下と再会

しばらく歩くと、前方に大きくて立派な天幕が見えてきた。かがり火を持った複数の兵士が、周囲に立って警戒している。案内の兵士が言った。


「恐れ入ります。ドラゴンはここで……」


僕はバルマリクを制して止める。それから、腰に帯びていた二振りの剣、すなわち摂政の剣と皇帝陛下の剣を外し、デーグルッヘに預けた。


「団長、何卒(なにとぞ)お気を付けて……」

「うん。バルマリクを見ててね」

「御意!」


デーグルッヘは二振りの剣を、自分のドラゴンの鞍に吊るした。そしてそのドラゴンの手綱を持ち、半ば臨戦態勢で僕を見送る。


僕に何かあれば、バルマリクが暴れ出す。最初は、その隙を突いてデーグルッヘにバワーツ砦へ戻ってもらうつもりでいたのだが、それをやると後で皇帝陛下のお咎めを受けるという話で、結局バルマリクと一緒に飛び込む手筈になった。もちろん、そんなことにならないよう最善を尽くすつもりだが……


ともあれ、僕は天幕の中に案内された。案の定、奥には国王陛下が鎮座している。その左右には豪華な甲冑や軍服を着けた者達、そして衛兵、従者が控えていた。前に進み出た僕は、早速跪く。


「国王陛下に拝謁いたします。夜分にも関わらずお目通りを賜り、感謝の念に()えませぬ」


跪きながら、国王陛下以外の顔ぶれを確認する。国王直属の軍の幹部はいるが、国の有力な諸侯も、僕やクナーセン将軍を排除した摂政もいない。


いや、諸侯が一人いた。摂政の腹心と言われているオルバック伯爵だ。摂政の代理で来たのだろか。


「苦しゅうない。面を上げよ」

「ははっ」


国王陛下の言葉に応じ、顔を上げる。その途端、オルバック伯爵が声を上げた。


「き、貴様は、アシマ・ユーベック!」

「いかにも。アシマ・ユーベックにございます」

「こ、この裏切り者め! 今更何をしに参ったのだ!?」

「取次の方にお伝えしました通り、リーラニア帝国の軍使として(まか)り越しました」

「リ、リーラニアの軍使だと!?」

「王都を逃れました後、身の置き所もなく、リーラニア帝都へ亡命いたしましてございます。そこで少しばかりの手柄を立て、皇帝陛下のお取り立てを賜りました。そして此度(こたび)、皇帝陛下の腹蔵なき御真意を国王陛下にお伝えすべく、参上いたしました次第……」


リーラニアを訪れる前、カルデンヴァルト辺境伯に受け入れられていたことはもちろん言う訳に行かない。そこで僕は事実を曲げ、カルデンヴァルトには寄らず、いきなりリーラニアまで行った体で話した。

YouTubeチャンネル『ゆっくりいろいろ所感室』様から本作のレビューをいただきました。


https://www.youtube.com/watch?v=zwlNrwMBJhM


よろしければ御覧いただきたいと思います!

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