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近衛竜騎士団の逃亡

ボルダヴィク率いる西部方面軍竜騎士隊は、バワーツ砦に向けて順調な飛行を続けた。途中で迎撃されることもなく、砦を目視できる地点に至る。さらに近づくと、既に地上部隊が砦への攻撃を開始しているのが分かった。


「ちょうど頃合いだな。後は、近衛竜騎士団の奴らが出てきてくれれば良いのだが……」


近衛竜騎士団が、西部方面軍竜騎士隊の威容に恐れを成して引きこもる事態を想定し、ボルダヴィクは一部の竜騎士に火薬樽を準備させていた。砦に放り込み火災を起こさせることで、近衛竜騎士団を挑発しようと考えていたのである。


だが、ボルダヴィクの心配は空振りに終わった。砦の中から、数十のドラゴンが上昇してくる。砦の手前で迎え撃つつもりのようだ。


「フッ……立ち向かってくる勇気だけは褒めてやろう。だがそれは蛮勇というもの。圧倒的な力の差を思い知らせてくれる!」


直ちに火薬樽を投棄させて戦闘準備を整えると、ボルダヴィクは近衛竜騎士団への攻撃を部下に命じた。


「皆、かかれ!」


瞬く間に双方は接近し、矢の応酬となった。兵力の差が反映され、放つ矢の数は西部方面軍竜騎士隊がはるかに多い。近衛竜騎士団も奮戦するものの、数騎が矢を受け、ドラゴンごと砦の敷地内に落下していった。


「見たか! 小細工なしでぶつかればこんなものだ!」


勝ち誇ったボルダヴィクは、自ら前に出て追い討ちをかけようとした。だがそのとき、敵わないと悟ったか、近衛竜騎士団は反転して逃げ始める。


「愚かな! 今更逃げられると思ったか! 皆、追え!」


怨み重なる近衛竜騎士団を殲滅できる好機を、ボルダヴィクは捉えようとした。間髪を入れずに追撃に入る。近衛竜騎士団は砦から離れていき、カルデンヴァルトの山間部を、地を這うように遁走していく。


「地形を生かして我らを撒こうとする腹か? 無駄なことだ!」


ボルダヴィクは竜騎士隊の先頭を飛び、徐々に近衛竜騎士団との距離を詰めていった。このままでは逃げられないと思ったか、近衛竜騎士団は二手に分かれて逃げていく。


「悪あがきを! どちらも逃がさぬ!」


二手に分かれた近衛竜騎士団のうち、片方を一際大きなドラゴンの竜騎士が率いていた。おそらく、アシマ・ユーベックだろう。ボルダヴィクはその場で別動隊を編成すると、自らはアシマ・ユーベックの率いる近衛竜騎士団を追い、もう片方を別動隊に追わせた。


「行くぞ!」


ボルダヴィク達は谷間を縫うように飛び、アシマ・ユーベックに迫る。

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