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袋入りのフクロウ

袋を渡された二人は、怪訝な顔をする。


「団長、これは?」

「西部方面軍の竜騎士が必ず追ってくる。追手が諦めて帰っていったら、開けて中の子達を出して」


袋の中身は、待っている間に僕が森でテイムしたフクロウ達だった。袋から出されたら、西の方に飛んでいく竜騎士を後ろから襲えと命令してある。西部方面軍が僕達の敵だと確定した以上、少しでもその戦力を削いでおく必要があると思ったのだ。


「「はっ! 承りました!」」


二人はドラゴンに跨り、帝都を目指して飛んでいく。上空でランプを点灯させると、西部方面軍の竜騎士達がその後を追って飛び立つのが見えた。


飛び立っていった二人は、竜騎士団の中でも速い方のドラゴンを駆っている。距離も開いていることだし、西部方面軍の竜騎士に追い付かれることはまずないだろう。


二人を見送っていると、デーグルッヘが尋ねてきた。


「……して、団長。これから我々はいかにすれば? どうか御命令を」

「そうだね……」


僕は少し考えた。皇帝陛下の指示は、第一に勅使を送り届けてカルデンヴァルトへの侵攻を思いとどまるよう、西部方面軍を説得することだった。

そして、それができなかったときは、討伐軍の一翼を担って西部方面軍を討つことになっていた。西部方面軍が皇帝陛下の説得を受け入れないと分かったので、討伐軍と協調してこれを討たないといけない。それは、僕個人の意志でもある。


とは言え、ゾンドルム将軍が討伐軍を率いてここまでやって来るには、もうしばらく時間がかかるだろう。その前に、打てる手は打っておかないと。


それから、クナーセン将軍や辺境伯達が今どうしているかも気掛かりだった。僕は口を開く。


「よし。カルデンヴァルトに行こう」

「はっ。西部方面軍の妨害ですな?」

「うん。カルデンヴァルト辺境伯軍と協力して、ゾンドルム将軍が来るまでカルデンヴァルトを持ちこたえさせるんだ。そうすれば西部方面軍を、辺境伯軍とゾンドルム将軍の軍とで挟み撃ちにできる」

「御意。では皆、参るぞ」

「参りましょう、アシマ様」

「え!?」


シャルンガスタ皇女殿下が、当然のように付いてこようとしたので、僕は慌てた。


「皇女殿下! 今、反乱軍の竜騎士隊の多くが(おとり)を追っています。この隙に帝都へお戻りください」

「何ですと!?」


皇女殿下は、心底意外だという顔をした。


「アシマ様。急に何を仰るのです?」

「勅使のお役目は、もう果たされたと存じます。ここからは危険ですので……」

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