表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

112/212

西部国境に到着

「…………」


バルマリクに乗って飛びながら、僕は一番隊、そして三番隊の隊長に手でサインを送る。それに応じて、今まで右側を飛んでいた一番隊と、左側を飛んでいた三番隊がその位置を入れ替えた。


西部国境に向かって飛ぶ道すがら、僕達は簡単な訓練を繰り返していた。何しろ僕と団員達はついさっき初めて顔を合わせたばかりだし、団員達もそれぞれ別の部隊から志願してきたので、そのままでは集団として統率の取れた行動ができない。なので、移動の時間を利用して訓練をすることにしたのである。短い時間で得られる効果は高が知れているが、やらないよりはずっといいだろう。


そして昼になり、休憩のため川沿いの開けた場所に一度着陸。本当ならどこかの町にでも降り立って、そこの人達に勅使であるシャルンガスタ皇女殿下を接待してもらうのだが、今はなるべく早く向こうに到着しなくてはならない。皇女殿下の意向もあって、野外での休憩で済ませた。


簡単な食事を摂り、再び離陸。夕方近くにはもう一度着陸して休憩した。さらに飛び立って訓練を重ねていると、程なくして周囲に夕闇が迫ってくる。


「訓練終了! 夜間灯火始め!」


僕が指示を出すと、右端と左端を飛んでいた団員が、それぞれランプを出して点灯させた。光の色は右が緑で、左が赤だ。こうすれば夜でも、竜騎士が飛んでいると遠くから分かる。夜間に飛ぶ竜騎士同士が、うっかり衝突しないための工夫だった。


やがて太陽が完全に沈み、すっかり夜になった。もう少しで西部方面軍の根拠地に到着するというとき、左の方を飛んでいる団員が叫んだ。


「団長! あれを御覧ください! 西部方面軍の竜騎士かと!」

「!?」


見ると確かに、左斜め前方からランプの光が一つ、近づいてくるのが見えた。


「総員停止!」


空中で停止して待っていると、ランプの光はどんどん近づいてきた。間近に迫ってみると、やはりドラゴンに乗る竜騎士だ。その竜騎士は集団の先頭にいた僕の側まで来て、声を張り上げた。


「帝都からの御使者か!?」

「そうだ! 帝都から勅使を護衛してきた!」


僕が返事をすると、竜騎士はドラゴンをぐるりと反転させて言った。


「付いて来られよ! 城まで案内いたす!」

「待って!」


僕が呼び止めると、竜騎士は振り返った。


「何か!?」

「勅使は城の外で方面軍司令官にお会いになられる! そこでお出迎えするように、司令官に伝えてほしい!」


少し黙ってから、竜騎士は答える。


「……承知した!」

新章開始しました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ