竜騎士団出撃
「アシマ!」
「アシマ様……すっかりリーラニアの将軍になられましたね……」
マルグレーチェとシャルンガスタ皇女殿下も現れた。僕は二人に向かって頷く。
そこへ、騎士団のとは別のドラゴンが二頭、それぞれ御者に駆られてやってくる。そのうち大きめの方に、人を乗せる輿が据え付けられていた。一頭が輿を乗せて飛び上がり、もう一頭が牽引する仕組みになっていて、高貴な人がドラゴンで移動するときに使われるものだ。皇女殿下を乗せるのだろう。
こちらに来るときは、移動に使えるのがバルマリクだけだったので、皇女殿下には僕の前に座ってもらった。しかし今回は、さすがにそうするわけに行かない。勅使としての格式がある。
そして輿付きのドラゴンを見て、マルグレーチェは満足そうに言った。
「なるほど。皇女殿下はあれに隔離されるのですね。では……」
マルグレーチェは当たり前のようにバルマリクに乗ろうとした。だが、皇女殿下に袖を引かれて転倒する。
「痛いじゃない! 何するのよ!?」
「マルグレーチェ様の輿も用意してあります。あちらへどうぞ」
見ると、皇女殿下のよりやや簡素な輿を乗せたドラゴンが、後ろに二組、四頭来ていた。輿の一方に、侍女らしい女性が乗り込んでいく。皇女殿下の身の周りの世話をするため、一人だけ連れていくのだろう。もう一つの輿がマルグレーチェ用というわけだ。
「殿下。お気遣いに感謝いたします」
僕は皇女殿下に頭を下げた。今回は相手の目の前を移動するため、場合によっては戦闘になるかも知れない。マルグレーチェも僕から離れていた方が安全だ。
僕の言葉を聞いて、マルグレーチェは渋々といった様子で輿に乗り込む。皇女殿下も輿に乗り、出発の準備は整った。
「行って参ります、陛下!」
僕は再び、皇帝陛下に頭を下げた。陛下が頷くのを見届け、団員達に指示を出す。
「一番隊、二番隊、離陸!」
「「はっ!」」
竜騎士達の半分が空に舞い上がった。続いて皇女殿下達のドラゴンに飛び立ってもらい、同時に僕もバルマリクを飛翔させる。最後に上空から指示を出し、残りの竜騎士達を離陸させた。
下を見ると、ゾンドルム将軍始め何人かの人達が手を振っていた。僕も手を振ってそれに答える。それから全員で一気に高度を上げると、帝都上空を飛びながら編隊を整え、西に針路を向けた。
飛びながら僕は、クナーセン将軍、それにカルデンヴァルトの人達のことを思い浮かべていた。
みんな、無事でいてくれ……
ここまで御愛読いただき、ありがとうございます。
今回で、第三章 帝都決戦編は終了となります。
次回より、第四章 辺境防衛編が開始いたしますので、引き続きよろしくお願いいたします。




