52 イベント その5
「リリー?いるー?」
ん?ベルが来たのかな?
「おーい!こっちこっちー」
穴の中から手だけを出して振ってみる……え?外に出ろって?ベルならこれでも見つけてくれるかなーって……えへ
「こっちって……あ、いた」
「さぁ、ここまで来てくれた優しいベルにバーバラさんのクッキーをあげよう」
「突然なにさー……バーバラさんのクッキー?ま、もらうけど」
「ベルもこっち入る?結構落ち着くよ?」
「う、うん。じゃあお邪魔しまーす……よいしょっ」
「ちょっときつかったねー……はい、これぇぇぇぇぇ」
「ありがと……え、なにこれぇぇ!」
うん、ベルが少しきついけどなんとか入れたと思ったら底が抜けて転がり落ちたんですよねー。なんだろう、このデジャヴ感……
「ベル、大丈夫?なにが起きたの?」
「うん、わたしは平気……転がり落ちたっぽいね」
「え?でもわたしさっきまで結構長いこと入ってたけど全然平気だったよ?」
「うーん……重さで反応したとか?」
「えー、そんなことあるの?」
……どうやら木の根元の穴は重さで反応する罠?だったらしい。ちなみにベルはクッキーをしっかり死守していた。そしてわたしのHPはまた減った。衝撃耐性的なスキルゲットしたいなー……ちっ、だめかー。
「あ、ベル……ランプあるよ!魔石さえあればつくやつ」
「リリー……それって魔石がないからつかないってこと?」
「うん。ベルなら持ってるかと思って……えへ」
「ごめん。イベント前に整理して置いて来ちゃった」
「あちゃー……やっぱりランプは宝の持ち腐れになったのね」
「あ、わたしのランプがあるからそれ使おう」
「うん」
転がり落ちた穴は高すぎて戻れない上すぐに閉まってしまったので、ベルと2人で他の入り口をさがすことになった。
「ここ、洞窟っていうよりも石壁でできた地下通路って感じ……今はホコリと蜘蛛の巣だらけだけど、昔は使ってたのかも……」
「うん、ちょっと転移陣のあった部屋とかに雰囲気似てるよね?……流石に模様はないけど」
「だねー……」
「とりあえずパーティ組んどこうっか?」
「わかったー」
ピコン!
〈プレイヤー:ベルよりパーティ申請があります。Yes or No〉
もちろんYes!
「よし、進むかー……一応、わたしが前を行くからリリーは後ろに注意して付いてきてね」
「り、りょーかい……あ、ちょっとまって!」
「ん?」
本当は【木工】を取る予定だったけど、ここでは【槍術】のほうが少しでも役に立てるかもしれないし……
ピコン!
〈スキル:槍術を取得しました〉
ごめんね!案山子さん!次こそは必ず!あ、ふつうにポイント残ってたわ……イベント終わったら取ろーっと!
さっそく、槍?を振ってみる……
「おおー、なんか軽くなった気がする!」
「リリーちゃん、それはなにかな?」
「えっとねー……多分槍?うん、とりあえずこれ振り回してたら槍術取得可能になったからスキルゲットしてみた」
「そうなんだ」
「あとは水魔法の《#水球__ウォーターボール__#》が撃てるけど、1度につきMP消費5だから30回くらいしか撃てないんだよね」
これは使い所気をつけなきゃなー。無駄撃ちしまくったらベルに迷惑かけちゃいそうだし。
「わかった……なるべく死に戻らずに進めるようにできれば脱出まで頑張ろうね!」
「うん!でも、もしわたしが先に死に戻ったらベルだけでもどんどん進んでくれていいからね」
「りょーかい……ま、その時は連絡取り合うってことで」
「うん。とりあえず死に戻るまでは頑張る!スタート地点に戻ったらベルと違うところだし……」
「そうだね……じゃ、行くよ」
「おー!」
通路を進むにつれ出てきたのはスライムに加えコウモリや蜘蛛など……ほとんどベルが1人で片付けて、わたしは背後からやってきたスライムを数回倒しただけ。
あ、ちなみにドロップはベルが山分けでいいって言ってくれたけど、それだと申し訳なさすぎるからモンスターのドロップはそれぞれ倒した人の物に(とういうか勝手にアイテムボックスに入るしそれでいいよねってことにした)、それ以外に見つけたものはその都度相談することになった。
ただ、全くと言っていいほどクリスタルは手に入らないんだよね。ベルがあれだけ倒してふたつってとこかー……あ、ちなみにわたしは数回しか倒してないのにひとつゲットできちゃったんだよね。
「……なんで全然クリスタルドロップしないんだろ」
「は?これくらいのドロップが普通だけど……きっと、リリーの今までが多すぎたんじゃない?」
「え、まじ?」
「うん……まぁー、リリーのLUCならあり得る話だよ。ほら、リリーは数回でゲットしてるし」
「そうなのかなー」
「うん、やっぱLUCを甘く見ちゃだめだねー……今度もう少し振り分けよう。てか、これ地図なかったらやばかったかも……」
「え、ベルでそんなやばいならわたしは一生迷子じゃん!」
「ははっ、かもねー」
「がーん」
ひとりでウロウロするよりも楽しくて、あっという間に時間が過ぎていく気がする。
休憩を挟みつつ進むことしばらく……うん、ほとんど通路で時々部屋があるんだけどそれも空っぽ。ベルは少しくらい部屋に何かあってもいいのにだってさー。
「あ、この部屋結構いいかも……死角になってるからモンスターからも逃れやすいし」
「じゃ、休憩しよっかー」
「うん」
ピコン!
〈スキル:槍術がレベルアップしました〉
ピコン!
〈種族がレベルアップしました。ステータスポイント5ポイント獲得しました。レベル5到達ボーナスとしてスキルポイント5ポイント獲得しました〉
成長促進スキルのおかげでどんどんレベルアップしてる……うん、すごいねー。
「うわ、もうイベント終わる時間じゃんっ」
「え、もうそんな経ったの?」
「うん、あと10分もないよ」
「はぁー……クリスタルあんまり集まらなかったよ」
「いや、それだけ集めれば十分だから!」
「そうなの?」
「そうなの!」
結局、残り時間も少ないのでそのまま休憩してイベントが終わるのを待つことにした。
「そういえばさー、リリーって称号のおかげで最初のステータスポイント倍あったんでしょう?」
「うん」
「この前ステータス見た時思ったんだけど、ほとんどDEXに振り分けたんだねー」
「そうだよー!裁縫するなら必要でしょ!そのおかげで投擲もなんとか的に当たるし」
でも、たくさんDEXに振り分けたのに投擲難しいんだよね……
「そっかー。今度ステータスポイントもらえたときはAGIとかVITにも振った方がバランス良くなると思うよ?まぁ、リリーになんか目的があって振り分けてるなら余計なお世話だけど」
「そーなんだー。全く目的はないからベルの言うようにしてみる!ありがと」
「いーえ」
早速AGIとVITへ振り分けた。
「できたっー!あーあ、またポイント無くなっちゃったよー」
「ふっふっふっ、ポイント節約地獄へようこそ……お、イベント終了のカウントダウンが始まったよ」
……5、4……3、2、1……
◆ ◆ ◆
名前:リリー
種族:人間
性別:女性
状態:正常
種族レベル:Lv4→ Lv5
HP:60/60(+5)→65/65(+5)
MP:60/60(+5)→65/65(+5)
STR:15(+2)
VIT:15(+5)
INT:5
AGI:10
DEX:80
LUC:777(固定)
ステータスポイント:0ポイント
職業:農家見習い Lv4
スキル:鑑定Lv4、裁縫Lv2、採取Lv3、栽培Lv2、投擲Lv4、毒耐性Lv5、麻痺耐性Lv4、気配察知Lv3、隠密Lv4、地図 Lv4、成長促進 Lv4、瞑想Lv2、水魔法Lv2、槍術Lv1→ Lv2
スキルポイント:9ポイント
取得可能スキル:挑発、武器回収、工作、観察力、木工
称号:遅咲きのラッキースター、挑戦者、方向音痴、天籟の鐘を初めて鳴らした者、転移陣を初めて使用した者
所持金:477G(預金:81900G)
装備:麦わら帽子、軍手、見習いのシャツ、見習いのズボン、見習いのブーツ、初心者用投擲ナイフ×3、どんぐりネックレス、花柄エプロン、エルダートレントの棍棒
持ち物:初級ハイポーション×5、初級マナポーション×5、水袋、火打ち石、ギルドカード(E)、小石×22、木ノ実×8、体力草×7、魔力草×9、メモ紙、ペン、きゅうり×3、ミニトマト×14、軍手(予備)、収穫用ハサミ、背負い袋、サンドイッチ×4、はちみつたっぷりクッキー×11、至誠のクリスタル×13、叡智のクリスタル×11、生命のコア×7、読めない本×5、花瓶×1、綺麗な石×2、木の枝×11、くるみ×42、スライムゼリー×8、魔石式ランプ×2、よくわからないバック×1、ナイフ×3、食器セット×1
ホーム収納:初心者用裁縫セット、葉っぱ×6、ハニービーの毒針×5、ハニービーの羽×40、はちみつ3瓶、ローヤルゼリー1瓶
販売所(4/10): 体力草★3×5、体力草★4×5、魔力草★3×5、魔力草★4×5
(金庫:9980G)
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