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1 おめでとうごさいまーす!

新連載です。よろしくお願いします。

本日は2話投稿します。


 カラーン!カラーン!


 「おめでとうございまーす!特等ご当選でーす!」

 「ん?……やったー!」


 さかのぼること数分前、お母さんに頼まれた買い物帰り……たまたま商店街で福引をやっていたのを見かけ、補助券3枚で1回くじが引けるらしいので引いてみた。狙うは1等のタラバ蟹だ……じゅるり……蟹食べたい。


 ガラポンを回すとコロリと金色に輝く球が出てきた。


 なんか当たったみたい。わーい!蟹かな?タラバかな?……あれ、違うなぁ。1等は銀色らしい……なんだー、1等じゃないのか。

 ふむふむ、当たったのはゲームみたいだ……これが特等なのかぁ。ま、貰えるものは貰っとこう。


 「つきましては、こちらでご登録お願いしまーす」

 「……はーい?んー、このゲーム……確か、茉由ちゃんが言ってたやつだー」


 ゲームのパッケージには幻想的なイラストとともに『Select Life Online』とタイトルが書かれている。このゲームとヘッドセットの2つで特等なんだって。へー。


 茉由ちゃんのお兄ちゃんのしゅーへーくんがすごい確率のβテスター?とかいうやつになって、βテスター特典で茉由ちゃんの分のゲームの招待コードが貰えて以降そのゲームにハマってるとかなんとか……聞いた気がする。

 よし、茉由ちゃんに相談しよーっと。


 「もしもし?」

 「あ、わたしだけど……あのさ」


 ブチッ……ツーツー……切られた。よし、もう1度……


 「もしもし?」

 「あ、わたし由莉奈だけど」

 「なんだ、由莉奈か……変な人からかかってきたかと思った」


 あれ、わたしの名前スマホに登録されてないの?がーん。ま、いいや。


 「あのさー、今ね商店街の福引で1等のタラバ蟹狙ったんだけど……ゲームが当たったんだー」

 「へー、今度はどんなやつ?」

 「んー……多分、茉由ちゃんがハマってるやつ」

 「……はっ!?」

 「で、なんか生体認証?みたいなの登録しなきゃいけないんだって……これって怪しくない?やめたほうがいいかな?」

 「いやいやいや!それ転売防止のための登録だからっ!怪しくないから、ちゃんと登録するんだよ?」

 「ふーん、わかったー。じゃあねー」


 よし、茉由ちゃんのゴーサインも出たし……


 「すいません、お待たせしましたー。登録お願いします」

 「はい、こちらへどうぞー」


 係の人に言われるまま登録すること20分……


 「はい、これで登録は完了しました。このゲーム大人気なんですよ!楽しんでくださいねー」

 「はーい、ありがとうございましたー」


 細かいキャラ設定?とかはゲームの中でするみたいで本当に転売防止の登録と説明だけだった。うん、怪しいとか言ってごめんなさい。


 予定より荷物が増えて大変だけど頑張って持ち帰ったよ。

 お母さん、なんで買い物が飲み物とか油とか醤油とか瓶ものばっかりなの?……もう、絶対これ自分じゃ重たくて嫌なものばっかりだ。あー、私ってなんてついてないんだろう……




 β版から注目され、第1陣、第2陣と着々とプレイヤーが増えていき、先月待望の第3陣向けに発売されたが予約分が一瞬でなくなりキャンセル待ちもいっぱいという状態のゲームを手に入れた幸運な少女。

 そんな少女はついてないと愚痴りながら大量の汗をかき、「あと1週間で夏休み」を心の支えにてくてくと家路に着いた。その後、水分はしっかりとったという……


 現在、第3陣発売分最後のパッケージだと運営が認め話題になっているゲーム……最後のゲームを狙い、商店街で爆買いし補助券を集めていた者たちは、たった……たった1度くじを引いた子がゲットしたと聞き、膝から崩れ落ちたとか……



◇ ◇ ◇


 翌日……


 「おっはよー!由莉奈、さっそくやってみた?どこかで合流して、フレンド登録しよー。で、由莉奈初心者でしょ?いろいろ教えてあげるね?」

 「あ、茉由ちゃんおはー……ん?やってみたってなんのこと?」

 「まさか、パッケージすら開けてもいないなんて言わないよね?ゲーム好き垂涎のゲームなんだよ!?」

 「せいかーい……昨日はさぁ、重たいもの持って帰ったら疲れちゃって……忘れちゃった」


 あれ、どこに置いたっけ?あ、台所の棚にとりあえず置いたままだ……


 茉由ちゃんはむむむーと唸った後


 「『Select Life Online』はね、何をするにも自由に選べることが持ち味で、行動によってできることや習得スキルが変わるというシステムですっごく幅広く遊べるんだよ」

 「へぇ、面白そうだねー。茉由ちゃんがなかなか遊んでくれなくなったわけだー」

 「そうだよ!すっごく面白いんだから!もう何ヶ月もしてるのにまだまだ先が見えなくてさー……うん、それはごめん。でもでもっ、由莉奈がゲームしたら中で一緒に遊べるじゃん!」

 「おぉー、たしかに……」


 茉由ちゃんゲームの話始めると長いんだよねー……


 「いーい?今日帰ったらきちんとやってみるんだよー」

 「んー、わかったー」

 「月曜日どうなったか教えてね?」

 「りょーかい」


 ……忘れなかったら、がんばる。



◇ ◇ ◇



 学校から帰ってすぐに宿題を終わらせる。うん、すぐにやらないと忘れちゃうんだよねー……あとはご飯まで自由時間というとき、茉由ちゃんからの言葉を思い出しゲームをやってみることにした。

 うん、やっぱり台所に放置してあったよ……

 登録の時に聞いた注意事項を思い出し……トイレも行ったし、念のためベッドサイドにペットボトルの水も用意した。うん、これで大丈夫。

 ゲームをセットして、ヘッドセットをかぶってベッドに寝転ぶ。


 「よし、れっつごー!」


 スイッチを入れると視界が暗転し、気づいたら真っ白な世界が広がっていた。

 そこには小さな妖精さんがいたっ!可愛い……




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