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39、それぞれの思惑


「何!クインの隠れ家に人が!」


勇者達が出立したという日にロードがいない時に限って、どうしたものか、城をあける…。いや、でも。



「結局、来てしまった。もう王になったというのに。」


深くローブの帽子を被り直す。ここは昔のクインの隠れ家。クインが居なくなってやっと探し当てた無人の家だった筈なのに、今は灯りがつき食事の準備をしているのかいい匂いがしている。


「ごめんください!」


「はーい!」


家の奥から声がして扉が開く。クインじゃない。クインではない。期待した私が馬鹿だった。幸せそうな笑顔で出てくるこの女性を心から憎んだ。見たことも無い若い女性は黙ったままの男に優しく微笑んでいる。重い口を開く。確認せずとも分かる。


「その、ここは勇者クイン様の家では?」


「はい、そうです。私の母がクイン様の妹でってあなたは?」


「はい、私はクイン様に助けていただいた者で、いつかお礼を言える日を待っていたのです。」


「ああ、そうですか!うーんでは折角ですから母に会ってください。母はお姉さんが大好きなんです。」


あの最低な妹にか。そもそもあいつのせいで。と私が返事をする前に娘は母を呼びに行った。

妹はすぐに出てきて私に丁寧に挨拶をした。苦労をしたのか手も顔もシワだらけでクインに全く似ていない。ここを相続する資格もないこんな女。折角私が上手く隠しておいたのに。あの男も書類を見てすぐにビビって帰ってきやがって。


「すみません。姉は私達をここに住まわせてくれた後去ってしまいました。」


なんだと?ここにいたのか。お前が卑しい気持ちで自発的に気付いたのではないのか!


「去った?会ったのですか?」


食い気味に聞いてしまう。なりふり構ってられない。


「ええ、あの人はまた世界を救いに。」


「また?」


なんだ何を言っている?何の話だ。


「ええ、勇者リコ様として。」


目の前が真っ暗になって膝をつく。駄目だまだ考えるな。先に1人になろう。


「そうですか。ありがとうございます。」


と言い終えると城の私室に転移した。なんという事だ。リコがあの小さな女の子がクイン?

そういえば…おかしいと誰かが言っていた。魔力が溢れ出ていると。幾ら魔法を使っても減る気配がないと。

それにスラムの子供の身元保証人になったとも聞いた。子供が職を斡旋しようと考えるか?保証人にもなって。

そして物怖じせず魔王の側近に話をつけたのもあの子だ。


おかしいと思うところは沢山あったのにリコに関する報告は何1つあがってきていない。


「ブルーだな。あいつ上手く俺から隠していたな!」


こんなに頭に血が上るのは久しぶりだ。ブルー、タダではすまんぞ。


「クイン生きていたのか。やっと戻ってきたのになのにまた去っていく。いや待て。魔王にスコープに会わせたら!今度こそ絶対に手に入らない!行かねば魔王城へ!スコープより先に手にいれる!」




「魔王様、勇者一行が来ました。」


「そうか、あの村は?」


「1人も怪我人は出ていません。」


「そうか人間は約束を守ったか。後は戦うだけか。」


「それが今回の勇者は話し合いで解決したいと考えているらしいです。」


「面白いな。じゃあ待つとしようか、お客様を。」


「はい、魔王様。」


「最期になればいいな。」



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