1、魔王との最終決戦
「クイン頼む!」
「ええ。」
ーーーーー
呪文を唱えると操り人形は糸が切れたようにどさりと倒れた。もう魔王の前には誰もいないというのに奥に座る魔王はまだ微笑んでいる。
真っ黒なマントを身につけ優雅に座る人型の青年のような魔王は余裕の笑みを浮かべ私たちを観察している。
「勇者よ、ここまできてその魔女頼りか。情けないのう。」
「なんとでもいえ。俺は世界を救う為ならば何でもするぞ。」
女神の加護を持つ選ばれし勇者キースは故郷の村を魔物に滅ぼされている。彼は魔王を倒す為なら喜んで命を投げ出す男だ。
「へっ!俺様だってそうだよ。やい魔王ぶん殴ってやる!」
戦士のロードはここに来るまで魔物による被害を見続けていた。そして一つ一つに心を痛め涙を流す心優しい戦士だ。倒すや殺すと言った言葉を使わないところに優しさが露見している。
「大丈夫、みーんな治してあげるから。」
とウィンクする僧侶ジェーンは可愛らしい女性で回復する順番を絶対に間違わない。彼女は回復のエキスパートだ。
私も薬なら彼女と同じ位の知識を持っているがあの回復の順番の正確さだけは敵わない。
だからこの魔王倒す旅でとてもいい勉強になった。
「………。」
「もうクインは無口なんだから!決めゼリフ言わないと!クインは綺麗系だからクールな決めゼリフだよ。」
そんな事を言われても。困ってキースを見ても肩を竦めるだけで何も言わない。ロードは豪快に笑っている。無茶ぶりはやめてほしい。
「私は魔女そんな事しない。ただ平穏な暮らしを望んでいる。」
そして全員に守備強化と、攻撃強化の魔法をかけた。
ジェーンはまだ不服そうに私を見ている。本当にやめてほしい。
「さあじゃあ始めよう。」
魔王が叫び勇者めがけて大剣を振り下ろす。私は俊敏強化の魔法をかけた。
キースはギリギリで魔王の攻撃を避け身を翻した。攻撃が当たった壁は大きな穴があいている。
「皆、攻撃はくらうな!穴があくぞ!」
「キース、もう一斉攻撃にしよう。」
ロードが提案する。キースは頷き次の攻撃の準備をしている。
「じゃああれでかたをつけよう。クイン、ジェーンいくぞ。」
キースの合図で攻撃を始める。私の氷魔法で足止めをしてロードの大剣に炎の魔力を纏わす。ロードが扱えるギリギリの魔力を。キースの長剣には雷の魔力を纏わす。ジェーンはキースとロードのバックアップ魔力を安定させる手助けをしている。そして二人が安定したところでクロスアタック。当たれば一撃必殺だ。
「最後まで魔女におんぶにだっこ情けないのう。」
氷魔法で足止めをされた魔王はもろに攻撃を受け小さな、とても小さな魔物になった。
「終わった。」
みな口々に終わった事の喜びを感じているようだ。私も早く帰りたいロンの元へ。




