第4話『名前』〜後編〜
こんにちは〜
しろうさでございます。
ええとですね、まずは謝罪から……。
申し訳ないです!昨日の夜に更新しようと意気込んでいたのですが、一昨日は一睡もしていなかったもので疲れが溜まってしまい気絶していました!(実話)
待っていた皆様、申し訳ありませんでした!
はい、ということで第4話です。
お楽しみいただけると幸いです。
『キミにピッタリな名前を付けてみせるよ!』
ジャックさんがあの日そう言ってから、もう3日が経とうとしていた。
私はベットに腰掛け、足をぶらぶらさせながら吹き込んでくる優しい風で涼んでいた。
相変わらず世界は今日も緑がかっている。
ー何故あの時にすぐに名前を付けなかったのか……
それには少し理由があった。
私は2日前のベットの上で聞かせてもらったジャックさんの言葉を思い出す。
〜2日前〜
「いや、待てよ。そう言えば……この辺りで名前を付けるということは神聖な儀式のようなものだったはずだったな……」
そう呟いたあと私に尋ねてくる。
「私が提案したところすまないが……キミの名前はもう少しばかり待ってくれないか?」
私はジャックさんが言う理由に納得しつつも、少しばかり残念に思ってしまった。
けれどもそんなことは私を助けてくれたジャックさんへの恩と比べたら大したことは無かったと思い我慢した。
それに私はもう……『待つこと』には慣れてるしね。
「あの、わたしはいつまでも待てます……だから、その、大丈夫ですよ?」
頑張って笑顔を作る。
しかし、その顔を見たジャックさんの顔は少し暗いままだった。
「……そうか。分かった、では今から街に行って色々手続きをしてくる。そうだな、3日間待っていてくれ。」
〜そして現在〜
私は未だベットに座っていた。
拾われたあの日、私の体は衰弱死直前だった。
それに全くと言っていいほど筋肉と脂肪が少なかったので、『低体温症』のような症状にもなっていた。
この『前世の記憶』というものはなかなか不便で、稀にしか思い出せない……。
それも知っているはずの単語全てに反応する訳ではなく、ランダムに反応して思い出す。今回は『低体温症』という言葉に反応したが。
そんな私だったけれども、ジャックさんの献身的な看病と介護でどうにか、ゆっくりとだが部屋内を歩けるようにまで回復した。
けれども膝に負担のかかる行為、階段の登り降りや走ったりすることなどはまだ出来ない。
私が部屋で足をぶらぶらさせていると、ジャックさんが外から帰ってきた。
ジャックさんは、ここから少し歩いたところにある、少し大きな街で働いていると話してくれた。
ある日、
『私も、ジャックさんのお仕事を手伝いたいです。どんなお仕事なんですか?』
と訊いたら、
『そうだね……どんな仕事かは、キミが元気になるまでは教えられないかな〜。まぁ、だからと言ってはあれだが、早く元気になるんだよ。キミにもぜひ手伝って貰いたいしね。』
そうやって、どんな仕事までかははぐらかされていた私は現在、少しワクワクしながら治療に専念しているのだ。
でも、治療……と言ってもただ部屋から出ずに、安静にしているだけなのだけれど。
ジャックさんが部屋のドアを開けて入ってくる。
「どうだい、体調の方は?問題ないかい?」
いつもよりも少し多めの荷物を持って部屋に入ってきたジャックさんは、先に私の心配をしてくれる。
私はこんな風に心配されることに慣れていないので、恥ずかしくなって俯いてしまう。
「は、はい、大丈夫です!」
「うん、良かった良かった。」
そしてジャックさんは、私のそばに椅子を持ってきて腰を下ろした。
私はジャックさんにコップと水を2人分用意する。
コップに入れてから2人で水を飲んでいた。
ふと、ジャックさんがコップを置く。
そして、まだ水を飲んでいる途中の私を確認してから教えてくれた。
「君の名前が決まったよ。」
「んぐっ!?ケホッ!ケホッ!」
なんの前置きもなく急に話されてしまい、私はむせてしまった。
今日分かることは知っていたがまさか、こんな感じに言われるとは思ってもいなかった。
「はははっ、すまない。私は誰かを驚かせるのが大好きなんだよ……あっはは!」
そんなジャックさんを少し睨みながら、けれどもまだむせていたので心の中だけで呟く。
(知ってます……。)
初日からかなり驚かされているこちら側の身にもなって欲しい。
「あはは……っと、すまないつい忘れるところだった。君の名前についてだが……」
「は、はい。」
私はジャックさんの発する言葉を聞き逃すまいと少し前のめりの姿勢になる。
「……だが、その前にひとついいかい?」
しかしその話を一旦ジャックさんが止めて、こちらを見てくる。先ほどとは違う、かなり真剣な目だ。
「はい、なんですか?」
私も少し前のめりになりながら聞いていた体を起こして姿勢を正し、こちらを見ているジャックさんと目を合わせる。
数秒後、ジャックさんは深呼吸をして私に告げる。
「私と……家族にならないか?」