第3話『名前』〜前編〜
(まーた遅刻です、すいません。)
こんばんは、しろうさです。
早いものでもう第3話です。
まだ2人の出会いパートは続く予定です。
それと来週は更新できるか怪しいのでご了承を……。
私はそのあと食べ終わり、器を膝の上に置き手を合わせた。
「ごちそうさま、でした……。」
「うん、どうやら全部食べきれたみたいだね、良かった良かった。」
そう言いながら青年は器を下げてくれる。
(そう言えば、この人の名前 まだ聞いてないな……)
そんなことを考えてながら青年をちらりと見てみる。
(なんか、こっち見てる……。)
まるで『なにか自分に聞きたいことは無いのかい?』みたいな笑顔でこちらを見ていた。
なので私はおずおずと尋ねた。
「あ……あの、あなたは一体誰なんですか?」
すると彼は待ってましたと言わんばかりに立ち上がった。
「ほう!そうか、私か!まず私についてからか!」
「ええと、はい……?」
「ふむ……よろしい。なら、今更だが自己紹介しようか。」
彼は壁側にゆっくりと歩きながら喋り出した。
「私の名前はジーク、ジーク・G・リーパー。まぁ、フルネームは呼びづらいだろうし、そうだな……ジャックとでも呼んでくれると嬉しいな。」
「ジャックさん?」
そう言うと何故かジャックさんは少し不満気な顔になる。
「まぁ、それでいいよ。(本当はジャックでもいいんだけども……。)
22歳で、この家に1人で暮らしている。仕事は……まぁ、別にいいだろう。ふむ、こんな所かな?」
ジャックさんは私に確認をとる。
「ええと、はい。わかりました……。」
そう言うとジャックさんは満足気に頷いた。
「うん、よろしい。
……ところでこちらも今更なんだが、キミの名前なんて言うんだい?」
と、ジャックさんが訊いてきた。
私は思わず返答に困ってしまった。
だって……
『私には名前も家族も無いのだから』
「わ、わたし……は」
どうしてもそこで詰まってしまう。
けれども、私は決心してジャックさんに伝えることを決めた。
「わからない……です。その……私は、捨てられましたから……」
私の声の最後のあたりは、消えかけていた。
ーまるで辛い過去を思い出したくないかのように。
ふと顔を上げるとジャックさんは少し目に涙を浮かべていた。
「嗚呼、そうだった、そうだったね……。その、すまない。私が余計なことを聞いてしまったばかりに、君に辛い事をさせてしまった。私も、もっと考えるべきだった。」
「い、いえ、そのジャックさんが謝られる必要は……」
ジャックさんは申し訳なさそうな顔をして俯いてしまった。
私も気まずくなって俯いてしまう。
その後しばらくの間、沈黙が二人の間を支配していた。
外からの小鳥の囀りのみが聴こえる。
……しばらくたった後に、ジャックさんが私に話しかけてくれた。
「えっと……私から1つ提案してもいいかな?」
「へ?あ、はい……どうぞ。」
「その……も、もしだよ?キミさえ良ければなんだが……私がキミに名前を付けてあげたいんだけれども、どうかな?さっきのお詫びとして。……それと改めて言わせてもらう、すまなかった。」
ジャックさんはそう言って頭を下げてくる。
「えっ!?いや、だ、大丈夫ですから!顔を上げてください……。」
それと……私は付け加える。
「ええと、その……それじゃあ、お願いします…。」
「えっ?」
「な、名前のことです……。その、はい……。」
「本当かい!?」
するとジャックさんの先程までの表情がまるで嘘であったかのように笑顔になっていた。
「よし、なら任せてくれ。私がキミにぴったりな名前を付けてみせるよ!」
こうして、私はジャックさんから名前を付けてもらうことになった。