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週刊エビハルマキ  作者: とろサーモン
3/9

12月31日

「子供みたいな大人は嫌いだけど子供みたいな心も持てない大人も嫌い。」

少し恥ずかしい話になるけど、人が孤独を感じる時っていうのがあると思うんです。特にいじめとか無視とかそんなんじゃなくて、なぜか心に虚無感とか人との繋がりが遠くなる感覚です。感じない人もいるかもしれませんが。それを僕は年末に感じるんです。なぜかは知りません。ただ年末にこうしてコタツに入ってひたすら雪を見ていると、心に人が浮かんでくる。そして、その人とはもう会えないかも、と思うのです。冬休みが明けたらすぐ会えるのに不思議ですよね。

さて大晦日。冬。昼。

僕、サンタはコタツに入って音楽を聴きながら雪の降り積もる窓の外側を眺めていました。なぜ?知りません。

「平和だなぁ.......。」

とか心の中で思ってみます。すぐに消える。

途端にクラスメイトのことが思い浮かびました。そういえばそんな人もいるんだなぁと改めて存在を認識し

ました。僕は彼女が自分違う場所で違うことをしていることに違和感を感じました。純粋に不思議に感じました。そして、彼女が今そばにいたとしたらどんなことをして自分と一緒に過ごしているのだろうと思いました。すぐに自分がどうしてそんなことを考えているのか疑問に思い考えました。でもわかりません。


なぜか僕はハルマキが遊びを持ちかけてきた時のことを思い出す。彼女は自分の手を見せてきて笑顔で、どれか好きな指を引っ張ってみて、と言ってきた。僕が散々考えた挙句に彼女の小指を引っ張ると、彼女はニヤりとしてありがとう〜と言ってきたのだ。わけが分からず何これ?と聞く。

「これは引っ張った人が引っ張った指に応じたことをしてあげるってゲームなんだよ。」

「ふーん、つまり?」

「サンタが引っ張ったのは小指だから今度ハンバーガーおごってね。」

「...........?ええ〜?なにそれ?」

「いいじゃんハンバーガーくらい。誘われた方が悪いんだよ。」...............


なかなかハルマキをひどいと思った時ではあるが、どちらかというと違和感を覚える。ハルマキはそんな遊びをするようなやつだっただろうか。友達として距離が近くなったというだけか?思い出すのはハルマキの明るく大人びながらも無邪気さを残す笑顔。

「........ま、いっか。」

そう言って僕は好きなマンガ「Suggesting your hurt heart」を読み始めた。


サンタは自覚していないが、あまりに遅い思春期の始まりを迎えている。そして自らの感情の名前をまだ知らないのだ。

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