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ウッドペッカー•ライフシフト  作者: 三ツ目くりっく
一章 もしも死んだら、と前置きして…。
3/31

プロローグー全員もれなくー


プロローグしゅーりよー。

よろしくお願いします。(T.T)



 おれ、死にました。

 あの日、あのショッピングモールの階段に逃げ込もうとして、知人を庇って死にました。

 なのに、おかしいですね。おかしいじゃないですか。

 なんで、“おれ”が居るんですか。意識が在るんですか。何で考えられる状況なんですか。

 厭に留めておかないて下さいよ。何かの厭がらせですか。趣味の悪い。

 おれは死んだんでしょう?消えて地獄にでも連れて行かれるはず何でしょう?

 そう思って死んだんですからその通りにして下さいよ。覚悟くらいしてました。てか解ってますから。死ぬことくらい。だからこうして、受け入れてるんです。不本意だろうがそう言うもんでしょう?死ぬって。


 何か恨みでもあるんですか。

 大人しく死ぬ気でこっちはいるのに、何ですかこれ。


 こっちに行ってろという案内も無ければ、あっちに行けという“誰か”すら居ない。何処かへ行けという意思さえ見えない。むしろ“無い”んじゃないですか?


 何なんですか。おれが何したって言うんですか。余計な事しないで下さいよ。潔く死なせて下さいよ。

 “まだ生きたい”なんて幻想持たせないで下さいよ。

 “また会いたい”なんて絵空事思わせないで下さいよ。

 いい加減にして下さい。早く、早くおれを死なせて下さい。

 お願いですから。



ºººººººººººººººº



───くそ、くそっ!……この野郎!!おまえが先とか巫山戯ん な!!

 ああ、お前かよ。ばかたれめ。

───何、何で先逝った!?何で先逝くマネしたんだよおお!ざっけんじゃねーよカスッ!

 誰がカスだ。巫山戯んなよバカ。

───俺より先とか許さねえぞ!大馬鹿野郎!!

 うるせぇよ。お前らが勝手に言ってたんだろが。

───くっそ……、くそ!!あああ”あ“!!

 あんま言ってんなよ見つかるぞ。集中。

───『─ガガガン!!』『─取りこぼし発見』…チッ!

 ほれ見ろ。毎度毎度詰めが甘いんだよ。

───邪魔だクズ共!俺の前に立つな!!

 何処のSPだよ。いや、ヒットマンだっけ?

───あーくっそ………ッ!行き止まりかよ……!!

 我武者羅に走ってたもんなあ。てか肩、大丈夫かよ。あと足。

───この壁登…………って!先生!こっち!!

 相変わらず、血登り頭じゃ隠れるって手は浮かばないのな。

───ハァ………ハァ……、ッ……………先生、先行ってくれ。

 ……………。

───俺は平気だって。

 ……また、馬鹿言ってら。

───女を守んのは男の仕事なんだよ!ニシシッ。

 ……………そこは役目っつっとけよ……。ばかたれ。

───だいじょーぶ!だあいじょ『ビチュン──』………って…………。

 ………………………………………。

───……ああああああああ、ああああ!!あああ”………あ、先生。

 ……結局。

───……………逃げてくれ。

 お前も死んだのかよ。



───…………助けナシで生きらんないのは、私も同じか。

 猫ちゃん先生、あんたもか。

───いや、生きる。私は生きるさ。死んでたまるか、あんたたちの両親に伝──。

 希望から全部、全部全部。

───『ズガガガガガガガガガ』『ピチュンピチョン─』『パーンパーンッ』

 助けって……。



───『課長、この資料と、クライアントの─』…ああ、解ってる。

 …父さんも。

───『先日新人が─』…ああ、あ………、ん?……なっ!?

 ………なぁ、なんでさ。

───『あああッ!!』『キャアアアアッ!!』『うわああああああ、やあああアア!!!』

 …なんで、こんなさ。

───『─』『─』『─』──────………がふっ………!エ”ホッ、エ”ホッ………。………ァ…………………。

 ………何だってんた。



───たまご、たーまーごー………っべ、切らしちゃってた。

 ………かあさん。

───お遣い頼んじゃおっかな~、また怒られちゃうなあ~、ふふっ。

 かあさん、逃げて。

───おっなべー、おっなべー……んふふ、我ながら良い出来だ!

 逃げて、お願い。

───あー、お椀お椀…、何処やったっけ……あ、こっちの棚……?

 ……違うし……左、左の棚。下じゃないって。上。

───…あ!あった!よぉし!お次『ゴオオオォッ!』……え…………。

 ああああぁ………。




 皆、みんな、死んでいたと言うんですか。わざわざそれを見せたんですか。

 あんたは本当に、何がしたいんですか。

 おれが絶望する事に、何の得があったんですか。

 答えろ、答えろよ、糞野郎。


ººººººººººººººº




 特にこれと言って不満などない、普通に幸せな人生だったと思う。

 厭なことはあれど、殺したくなるほど嫌った人やモノも無かったし、それに何ら不備があった訳でもない。

 正面から大好きだと言えるような年頃じゃなかったし、伝える事を恥ずかしいと思う頃でもあった。だから伝えず、伝えず終いで後悔する。

 助かってほしかったものは助からなかった。これほどやりきれないものはない。


 死にたい。死にたい。

 気が済んだだろう。もう良いだろう。いい加減、死なせてくれ。

 終わらせて、くれ。



 その日、一つの紛争で、一つの街が滅んだ。

 戦争を知らない、紛争地に少々近かった街。

 当然武器なんて持つ者はいない平和ボケした街の住民は、反撃しようとすら考えず逃げ惑い、

 全員、死んだのだと言う。





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