7月8日
趣味で書き始めました。
読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・ハーレムなし。
・デスゲームなし。
・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名とは一切関係ありません。
健介が目覚めたのは、10時過ぎになってからだった。
千晃に起こされながら、散々だった昨日の晩を思い出す。
楓が目の前で変身した事で、避難者の一部があれこれ騒いだのだ。
聞くに堪えない言葉に健介も突っかかり、空気はどんどん悪化。
楓の父親や、元尚に保護されていた健介の母親らが執り成さなければ衝突に発展していたかもしれない。
――おじさん達も、怖くないわけじゃないんだろうけど。
頼るものがないから、皆自分たちを当てにしているだけ。
もう少し時間があれば慣れてくるのだろうが、昨日の今日でそれは酷な相談だった。
健介が起床してしばらく後、元尚たちの部屋で会議を始める。
楓含めて8人。狭い。
「ちらっとだけ聞いてるけどさー、脱出するって本気?」
「おう、車に食料とか積んでさ、安全なところに逃がすんだ。…変か?」
「昨日騒ぎが起きたばっかだしよー、乗る奴いないぜ?」
敏が肩をすくめる。
「……俺は悪い案ではないと思う。羽根川の言うことも一理あるが、いつまでもここに閉じ籠る訳じゃない。早すぎる、という事はないだろう」
「それって俺らだからって話だよな」
「当たり前だ」
元尚がテーブルに地図を広げる。
「俺たちがいるのがこのあたり…街から出るなら、名古屋城方面から北に抜けるか、錦橋から西に抜けるのが近い」
「どっちに行く?」
「近い方!」
地図をにらみながら8人はあれこれと考える。
どちらのルートも10㎞以上ある。
「車使えんのかな」
「道路の状態は、涼葉のドラゴンで確認しよう」
「あのさー、ドラゴンに乗って避難できない?」
元尚ら三人の異能力者が口を開けて、健介を見る。
「健介、それなんだが…」
「できるわけないだろう、外の人間に見られたらどう思われる?」
「撃たれるな、わかってるって、一応の確認だよ」
居心地の悪そうな健介を視線を外して、元尚たちは話を進める。
「車使えるとして、燃料保つかな」
「電気が止まっているなら、給油機は使えないはずだ。携行缶が見つかればいいが、できるだけ満タンに近いモノを探すか」
「しかもキーのあるやつね、うげー」
「なら、徒歩はどうかな?」
楓が発言すると、元尚たちがそちらに顔を向ける。
「ムリ…」
「――いや、休憩を挟めば女子供でも大丈夫だろう」
「そんな暇…あぁ、俺ね!」
納得した敏の能力の一つが、敵除けの印を描くことである。
印を描いた数十メートルに、怪物が全く寄り付かなくなる。
超人への効果は不明だが、安全度合いは印が無い状態と比べると、雲泥の差だ。
避難者が出たがらない原因は救助への期待のほか、この印の効能もある。
わざわざ安全圏から出たくない。効果を実感しているほど、外に出たくなくなる。
「もし避難者が誰も乗らない場合はどうする」
「それは…」
「楓と、楓の親父、あと俺のおふくろは絶対連れてくからな。他の奴らは…まぁ、二の次」
健介が挙げた三人を省くと、保護できた知り合いは千晃の両親しかいない。
秀人の家族は見つからなかったし、涼葉の母親に至っては逆に彼女を拒絶する始末だ。
恵まれているほうだろう、と健介自身は思っている。
知人を3人も保護することができた。まだ見つかっていない人々も、備わった能力ゆえ、どこかで生きているかもしれないと希望を持つことができる。
「で、どう分ける?」
「あぁ、機動力のある山岸と羽根川、雨宮で中継地点の作成。俺と松岡、荻野が車の調達。食料の確保も並行して行う。秀人と戌井は残ってくれ」
健介は驚いた。
「楓も連れてく気か?」
「こいつも戦えるんだろう?なら戦力になる」
「オイ…」
健介がゆらりと立ち上がる。
「要救助者がいた場合はどうするんです?」
「いるなら連れてこい、本人が来たくないなら知らん」
千晃が尋ねると、元尚は無愛想に返した。
拍子を外された健介は、無言で座った。
温めた昼食を済ませてから、健介たちは出発した。
近隣の放置車両を検めながら、路地をくまなく歩き回る。
楓が歩き疲れると、健介は背中に負ぶって探索を続ける。
「あんまり見つからないな、車」
見つかる車は大抵、炎上していたり、破損しているなど乗車しようのないものばかりだ。
「…めぼしい車はあらかた持って行かれたか」
車のほか、生き残りの人間も見つからない。あるのは死体ばかり。
健介は楓を背負いながら、梱包した食料を持ち歩く元尚に声をかける。
二人とも体形が変化しわけではないが、筋力やスタミナが飛躍的に増大している。
「脱出するとしたら明日か?」
「避難民次第だな」
避難者達にも健介の目的は伝えてある。
やはりというか、反応は芳しくない。
まだ救助を期待している者もいたし、市外に伝手がない者もいる。
楓と自分の家族は賛成してくれたので、それだけで御の字だ。
「お、これなんかどう」
乗り捨てられた車の一つに健介が反応する。
元尚も検めてみるが、目立った問題はないらしい。
キーも刺さりっぱなしだ。
「どうやって運ぶ?」
「俺が運転していく。お前たちは探索を続けてくれ」
「マジで」
元尚は荷物を積み込むと、車を走らせていった。
「置いてったぞ、アイツ」
「私たちも車見つけたら、帰る?」
「俺ら、免許持ってないじゃん」
「捕まらないと思うし、練習しといたら」
「えぇー」
楓が背中から降り、二人は連れ立って車や食料を探し回った。
途中、怪物の襲撃を受けることもあったが、今の二人の敵ではなかった。
ありがとうございました。