第1次超人災害(1)
趣味で書き始めました。
読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・ハーレムなし。
・デスゲームなし。
・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名とは一切関係ありません。
その時、道隆は持ち帰ったハンバーガーセットを食べ終えた後だった。
ぼんやりとサイドのドリンクを音を立てて啜っていた時、気配を感知する。
家の中は問題ない。しかしその外がニュー今池ビルとほぼ同等の濃さの妖気で満たされている。
一部気配が薄くなっているのは、建物だろうか。
テレビを点けると、速報が流れている。
市内の各地で大規模な崩落が発生。数百名の死傷者が予想されるとキャスターが伝えた。
テレビをそのままにして、収集品を確認する。全て回収してある事を確かめてから、更に幾つかの着替えを物体収拾の魔物にしまう。
しまい終えた後、貴重品を取り出す。
財布から5000円札を一枚抜きだし、懐に仕舞う。
貴重品を通勤用の鞄に詰めた後、擬態能力を持つ魔物を召喚した。
召喚された魔物を、自分自身に擬態させる。
獣のような赤銅色の顔は、道隆そっくりに変わると言葉を発した。
「どうした…」
「異常事態だ。携帯と財布、通帳と印鑑…あと身分証明書と合鍵も預けるから」
擬態道隆は鞄を受け取り、尋ねる。
「貴方はどこに行く?」
「こんな大イベント滅多にないからな。ちょっとぶらついてくるわ♪」
道隆は祭り前のような、浮き浮きした気分でいた。
この騒ぎが収まった後を考えると暗くなるが、今は自由だ。
人間の姿で彷徨いていたなら咎められるだろうが、変身していれば問題ない。
武装した警官などに発砲されるリスクはあるが、魔物相手より容易に逃走できるだろう。
せっかくなので、あちこち歩き回ってみたい。
「家族の元に行かなくていいのか、父よ?」
「そっちはお前に任せる。憑けてある魔物の反応も探知できるし、問題ないだろ」
道隆は青い怪人に変身する。
霧に変化すると窓の隙間からするりと抜けだし、恐怖で覆われた空に飛び出した。
擬態道隆は鞄の中身を再度検めてから、物資の買い出しに向かった。
結界が敷かれた自宅は下手な避難所よりよほど安全だ。押し入られない限りは。
本物の道隆は浮遊したまま南下し、笠寺駅で実体化した。
近くにいた通行人が驚きの声をあげたが、取り合う事無くあたりをぐるりと見回す。
大きく伸びをすると、足の向くままに歩き始めた。
何の変哲もない下町の駅前だが、このあたりは訪れた事がないので新鮮だ。
しばらく歩いた時、人の頭をした鳥が群がってきた。
6羽は道隆に近づくと、風の弾丸を撃ってくる。
近くのフェンスが裂け、路面が削れる。
道隆は大きく跳躍し、右手に建つ発着場の屋上に着地した。
皮膚に衝撃が走ったが、損傷は見受けられなかった。
そのうちの2羽が、道隆を狩らんと近づく。
嘴は無く、使うのは両足の鉤爪だ。
右ストレートが1羽を捉える。
道隆は続けて左の拳を振り上げ、勢いのまま飛び上がる。
左拳は空を切り、逃れた人面鳥は群れに戻っていった。
鳥達は笠寺駅を背に風を集め、不可視の弾丸を作る。
それと並行して、道隆の周囲に5本の杭が出現した。
射出された杭は漏れなく、人面鳥を貫く。中年男性その物の頭部は杭が通過すると粉々に砕けた。
1秒ほど飛行し、5本の杭は日本陶子アリーナに突き刺さる。
道隆が命令すると杭は勢いを失い、まもなくこの世から消え去った。
道隆は大きく跳躍し、泳ぐような動きで飛行する。
そのままアリーナの屋根まで移動、腰を下ろして逃げ惑う民衆を眺める。
視界では小学生くらいの幼い男女が、壮年の男性に助け起こされていた。
武装した若者が近づく怪物に攻撃を行ったが、効果はいまいち薄い。
助けに行くのは、気が乗らない。
殺戮して回るのは論外。ではどうするべきか?
道隆は彼らを無視すると、屋根に身を横たえた。
道隆自身は、この街が滅んでも問題ない。
美しい思い出も、人付き合いも殆ど無い。わざわざ名古屋を存続させる理由は、覚醒する以前に失くなっている。
被災者支援の手続きなどは家族に任せればいいし、今池で入手した古銭も買い取ってもらえれば金になる。
常々引っ越したいと母や妹がぼやいていたが、全てが終わった後はそうせざるを得ないだろう。
――遠くの方で、恐ろしい気配が出現した。
有松駅近くの社宅上空。
人型の怪物が、当該地区の住人を睥睨していた。
外套を纏ったような上半身の顔は、穴の無いつるりとした仮面で覆われている。
十数本の孔雀の尾に似た触腕が持ち上がった。
一度溶けて、再び固まったような皮膚の無い胴体が露わになる。
全長30mに達する巨体が降下する。
立ち昇る黒い煙に巻かれ、立ち並ぶ民家が蝋のように溶けた。
アスファルトが、自動車が、植え込みが混じり合い、黒一色に変わる。
まもなく鳴海町有松裏の東半分が、泥深い沼のようになった。
当該地区の住民たちは黒泥に絡め取られ、沈んでいく。
道隆が上半身を起こした時、頭上から何かの塊が飛んできた。
緑の炎を纏ったそれは、特大の隕石のようだ。
距離は既に10mを切っている。身を起こし、屋根を蹴る。
直撃は免れたが、爆風によって道隆は大きく吹き飛ばされた。
アリーナの屋根に、冗談のように大きい風穴が開いた。
道隆は屋根から滑り落ちたが、苦も無く着地。
痛みも怪我もなく、今後の行動に支障はない。
周囲には依然として、緑の隕石が次々と落ちてきている。
隕石はしばらくすると、4~5体の人型に変わった。
人型はいずれも暗い色調の和風鎧で武装している。
頭形兜の下は、ガスマスクを思わせる面頬で覆われている。
彼らは態勢を整えると、腰の鞘から刀を抜いた。
そして近くにいた市民を標的に定め、襲い掛かった。
彼らは当然のように、道隆にも斬りかかった。
斜めに振り降ろされた刀をステップで躱し、脇腹に蹴りをいれる。
蹴り足は鎧を破り、筋肉を深く抉った。
武者は軽く5mは吹き飛び、地面に横たわると消滅を始める。
振り返ると、別の武者が刀を構えていた。
道隆は構え、武者の腕にフックを浴びせる。
小手が血を噴き上げた。続けざまに道隆は蹴りを入れる。
2体倒しても、武者はまだ視界に十数名ほど立っている。
道隆がそれらの半分ほどを倒した時、稲妻が周囲に降り注いだ。
稲妻は避難民を巻き込むことなく、怪物だけを正確に貫いた。
道隆も落雷の発生を感知できた為、間一髪で避ける事が出来た。
ありがとうございました。




