7月7日(2)
趣味で書き始めました。
読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・ハーレムなし。
・デスゲームなし。
・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名とは一切関係ありません。
二人で息を潜めるように待っていると、二人らしき気配が知覚に侵入してきた。
気配は見る見るうちに距離を詰めてくる。健介は楓を促し、玄関前に出た。
「何だあれ……」
気配を感じ取れるが、姿が見えない。
目を凝らすと、空間の歪みが近づいてくるのが分かる。
荻野家に風が吹きおろし、歪みの向こうから涼葉が恐々と顔を覗かせた。秀人もそれに続く。
「健介!」
「秀人!」
「ここまで飛んで来い!……そこの屋根からなら飛び移れそうだ!」
健介は鞄を2つ背負い、楓を抱えて大きく跳躍する。
屋根に飛び乗ると、歪みの上に乗る二人の姿がはっきりと見えた。
妖気の流れによって、ドラゴンの位置は大まかにだが解る。
ドラゴンは一旦遠ざかると、荻野家に急接近してきた。
健介はすれ違う一瞬で、その背中に飛び乗った。
「お、おい見たかァ…意外とうまくいくもんだ」
「超ドキドキした~、今の映画みたいじゃない?」
二人は身体を寄せ合ったまま、緊張を解く。
4人は一塊になったまま、空高く舞い上がる。
足場には俯瞰した住宅街が描かれており、それが移動に合わせて少しづつ変化していく。
健介が手を触れると、不機嫌そうな声が響いた。
ドラゴンは周囲の風景を、体表に描く能力を持つ。
くわえて、涼葉が騎乗する事で力場を発生、背に乗せた者達を守る事が出来る。
その為、よほど大きな動きをしない限りは、空中に滑り落ちる心配はしなくてもよい。
「下、何か見える?」
「ああ…」
目を凝らすと沖田町の路上を徘徊する、死体の群れが目に入った。
また万場線を、猪に似た顔の黄色い獣が疾走している。
操作を誤った自動車があちこちで衝突し、運転席から降りたドライバーに女の上半身を持つ猛禽が群がる。
「助けに行かなくてもいいのかな…私達」
「行こう。構っている余裕はない」
秀人が首を横に振る。
「俺は行くわ」
「おい…」
健介が立ち上がる。
先を急ぐべき、という心の声は脇に押しやった。
眼下で崩れつつあるのは、馴染み深い自分の街なのだ。
あそこには見知った顔も大勢いるだろう。
「止めないから……気を付けてね」
「俺たちは、鶴舞公園をひとまず目指す。お前も早めに来い」
健介は頷くと、足場から飛び降りた。
そのまま空中で白い燐光に包まれる。
光が晴れると、赤い皮膚を持つ巨躯の怪人が姿を現した。
怪人となった健介は轟音と共に地面に突き刺さる。
直後、健介は穿たれた穴から飛び出した。
怪人が元気よく駆けていくところを見届け、秀人と涼葉は安堵する。
二人は狼狽える楓を励ますと、一路鶴舞を目指した。
健介は3人がいるであろう方向に、視線を送る。
それは長い時間ではなく、すぐに顔を戻すと町中の怪物を掃討するべく、行動を開始した。
妖気探知の網を密にする。そして左手の路地に駆けていく。
記憶が確かなら、こちらには小学校や保育園があるはずだった。
走り続けるうち、前方右手に小さな整備工場が見えてきた。
遠くに見える交差点で、高齢の男性が人型に組み敷かれている。
緑色の人型の下半身はロバに似ており、蹄で老人の背骨を踏み砕いた。
人型は他に二体。健介が駆け付けるより早く、二体は老人の腕や足を枝を手折るようにちぎる。
周囲に生きている人間はいない。
駆け付けた健介は無力感を呑み込み、人型に殴りかかる。
炎で焼き払う事も考えたが、街中で放てば大惨事になりかねない。
故に接近戦によって仕留める。
振りかぶった右拳で人型の頭が弾け飛ぶ。
一体の爪を後ろに下がって避ける。即座に刀を出現させ、横薙ぎに払う。
大振りの刃は二体をまとめて捉える。片方は上半身と下半身で二つに別れる。
残った一体の傷は浅く、頭を突き出した姿勢で飛び掛ってきた。
噛みつきを試みた一体は、左足で高々と吹き飛ばされた。
三体の消滅を見届けることなく、健介は近くの気配に向かって走る。
いつまでも留まるわけにはいかないが、近隣住民の避難が完了するまでの時間稼ぎくらいはしておきたかった。
一方、秀人達は鶴舞を目指し、市の上空を進んでいく。
高度は200mを優に超える。眼下の景色を描くドラゴンの体表に、秀人は身が竦むのを抑えられない。
涼葉に視線を向けると、小刻みに歯を打ち鳴らしていた。
《小僧ども、来るぞ…》
ドラゴンの視線の先から、大型の怪物が2体、並んでやってくる。
突き出た額を持つ翼竜。たるんだ顎は伸縮し、大人一人くらいは丸呑みにできる。
外見に似合わぬ甲高い声をあげ、三人を威嚇する。
「ドラゴンさん、助けてぇ…」
《助けるとも。だから泣くな、臆病者》
顎を開き、翼竜に向けて破壊の波動を放つ。
瞬く間に皮膚が千切れ、筋肉の隙間から骨が零れ落ちる。
くしゃくしゃに折れ曲がった翼から、赤黒い液体が噴き出した。
「うわ~、ブシャーってなった…」
楓は口元を抑えつつも、爆砕した二体を直視していた。
「涼葉…こらえろ、こんな所で気絶したら大事だぞ」
「う、うん」
二人は顔を俯かせ、目を背ける。ドラゴンは無言で飛行を続けた。
《……》
仮に涼葉が気絶しても精神内に収納されない限り、ドラゴンは出現し続ける。
ただし気を失った時点で身体を覆う力場は消え、3人が強風に晒されてしまう。
その状態で姿勢を崩せば、3人は地面まで一直線だ。
人間であったなら、肩を竦めるか溜息を吐くかしただろう。
3人がルーセントタワーを目にする頃、二人の能力者は強い気配を感じ取った。
気配は見る見るうちに距離を縮め、まもなく3人の前に鳥と人を融合させたような異形が姿を現す。
柔らかな曲線を描く腰、形の良い乳房。ただし、その頭部は鷹に酷似している。両目からは鹿の角が生えていた。
すらりとした両足の先では、ナイフのような鉤爪が鋭く光る。
「ねぇ、あなた達も化け物と戦ってるの?私、これから鶴舞に行くんだけど、一緒に行かない?」
翼を羽ばたかせることなく、異形は空中で静止している。
その飛行は、なにか霊的な力の補助を受けているらしい。
「あー、共闘してくれるならありがたい。ただ…」
「?」
異形が首を傾げる。秀人は時々声を上擦らせつつ、対話を続ける。
「鶴舞のヤツは俺たちが対処するので、あなたは岩塚の方に向かってくれないか?連れが戦っているんだ」
「…拾って来いって事?」
「う、そうは言っていないが…そうしてくれると助かる」
低くなった声に、秀人は思わず呻いた。
涼葉は身を縮めながら、交渉の成り行きを見守る。
「ふーん、まぁいいかな。それじゃ、また後で」
秀人から健介の特徴を聞いた異形は滑るように高度を下げ、その場から一瞬で姿を消した。
彼女がいたあたりから、強い衝撃波が発生したが、3人と1匹は何も感じなかった。
健介は羽の生えた子鬼を吹き飛ばし、親子連れを助け出す。
親子は礼を述べることも無く、健介を威嚇すると脱兎のように走り去った。
避難所に滑り込んだのを見届けると、健介はそっと踵を返した。
――そろそろ、鶴舞を目指すか。
気勢が萎えてきている。
この外見や力を受け入れられるとは思っていないが、助けた人に悉く避けられると辛くもなる。
避難者に近づくなり、勤勉な警察官が発砲してきたのも、一度ならずあった。
もうこのあたりで、切り上げてもいいかもしれない。
ふと、健介は近づいてくる気配に気が付いた。
気配の主は恐るべき速度を出し、逃げる間もなく健介の前に現れた。
「いたいた!あなた、松岡さんでしょ?」
「あんたは?」
異形――村上小春は秀人と話した内容をかいつまんで聞かせた。
「そっか、悪いな。そろそろ、そっちに行こうと思ってたんだ」
「おっけー!じゃ、足掴んで」
小春が足の爪で、健介の肩を掴む。
健介も言われるがまま、鳥のような足に指を添える。
小春が飛び上がると、真紅の巨体が軽やかに持ち上がった。
「おおっ!?…あれ!?」
「喋らないでー、舌噛むから」
小春は数百メートル上空に到達すると、弾丸となって翔けた。
健介の身体は、風になびく旗のように水平になる。
深く驚きつつも、健介は両手の力を緩めない。
これは変身した小春が振るえる力の作用だ。
彼女は重量を自由に操る事が出来る。
数トンの物体をちり紙並に軽くし、人間をタンカー並みに重くすることが出来る。
2m超の怪人を運搬する事など、造作もない。
ありがとうございました。




