7月7日(1)
趣味で書き始めました。
読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・ハーレムなし。
・デスゲームなし。
・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名とは一切関係ありません。
補講期間の正午過ぎ、健介は名古屋駅で秀人の迎えを待っていた。
東山線が断線して既に一週間以上経つ。
地下鉄の利用者は少なくなり、減った分をタクシーやバスが攫っていた。
走って3人に合流する事もできたが、人に見られる可能性を考えると控えざるを得ない。
今回は名大病院の目撃談を調べに行く予定だ。
敷地内を大型犬が走り回っているらしい。
それだけなら珍しくもないが、壁にぶつかって消えるとなれば話は別。
鮮明ではない写真に加え、動画も投稿されている。
目撃談は日に日に増えている。
ネット上は勿論、学校でも嘘か真か、「見た」という生徒が現れている。
特に徳川町、東山線崩落と大規模な事件が起きた後から、雨後の筍のように雑多な噂が現れ始めた。
四人だけでは、とっくに手が回らなくなっていた。
秀人は名古屋高速を疾走する。
流線と化す風景を横目に、待ち合わせ場所の名古屋駅を目指す。
その途中、前触れなく妖気の濃さが増した。
秀人は危うく、接触事故を起こしそうになった。
――中区千代田1丁目。
若宮大通、丸田町ジャンクション付近で突如、地上800mの金属柱が隆起した。
直径200mの柱によって、該当地域は壊滅。
不幸にも端にいた市民は、地面までの垂直落下を強制された。
他に、
――西春日井郡豊山町青山。
――日進市香具山。
――豊明市新栄町。
――海部郡蟹江町八幡1~2丁目。
――名港トリトン。
が同様の事態に見舞われた。
秀人はあちこちに視線を泳がせながら、おっかなびっくりバイクを道路の端に寄せる。
両目に意識を集中すると、ほとんど黒に近い黄色の柱が見えた。
材質は不明だが、ビル群に埋没しえない異様な存在感がある。
状況を理解しているのは、この場においては秀人のみ。後続車の運転手は怪訝な顔で、横を通り過ぎていく。
仲間に連絡をとった秀人は、引くか進むか考える。
千晃がそのまま向かう様に言ってきたからだ。
つまり2人1組に分かれて行動しないか、と言う事。
千晃は事態の解決を目指し、積極的に動きたいらしい。
迷う秀人の視界の端を、飛行機のような影が通り過ぎた。
影は両翼を上下させつつ、前方の柱に向かって飛び去って行く。
見た瞬間、秀人は引き返す事に決めた。
とはいえ逆走は厳禁。仕方なく次のインターチェンジまでバイクを走らせる事にする。
健介も同様の異常に気付いていた。
SNSで仲間達に連絡を取り、秀人に現在位置を尋ねる。
まだ名古屋駅には着かないと知ると、秀人に引き返すように勧めた。
そして健介自身は、脇目も振らずに自宅を目指して、放たれた矢の様な速さで疾走する。
帰る途中、視界の至る所で怪物が出現していた。目を背けるようにして、健介は走る。
道すがら、両親にメッセージを飛ばす。
返信によると、母は同僚と昼食を摂っているらしい。
父は同僚とのミーティングを始めるところだった。
(まだ無事みたいだな…よかった)
楓と省吾、部員達にも連絡を入れる。
全員に今日一日家から出ないように念を押す。
既に外出中なら不審者には近づかないように告げ、健介は通話を切る。
――まず本気にはとられないだろうな。だが言わない訳にはいかねぇ。
10分程度で自宅周辺に着いた。このあたりにはまだ、騒ぎは広がっていない。
健介はニュースを確認する。
市内の各地で大規模な崩落が発生したと速報で流れている。数百名の死傷者が予想されるとキャスターが伝えた。
災害に備えた防災バッグをリビングに放り、続けて旅行鞄を引っ張り出す。
そこに着替えやタオルを詰め、歯ブラシと歯磨き粉を衣類の上に乗せる。
(どうする…)
両親のもとに向かうべきか?
しかし楓を放っておくことはできない。
彼女は今、自宅に一人でいるのだ。
(俺には力が…)
力があるのだ。闘う力が。
それだけで事態を収拾する事は、できる訳がない。
何が原因か一切解っていない。異常を探知して、そこに向かう事が出来るだけ。
一つずつ潰し回っていては、時間がかかり過ぎる。
――武器も用意しておいた方がいいかな。
変身しないまま戦う可能性を考えると、武器を携帯しておいた方が具合がいいかもしれない。
自宅を漁ると、包丁と木刀が出てきた。
しばらく考えた後、健介は木刀の両端を握って力を籠める。
木刀は乾いた音を立てて、二つに別れた。今の腕力では、両方とも役に立ちそうにない。
健介は荷物をとると、玄関を出て荻野家に向かった。
駅の周辺に妖気の塊が出現している。無視して楓の家に走り、呼び鈴を押す。
迎えに出た楓は大荷物を見て、目を瞠った。
「え…?なに、今日泊まり?」
「そうだ。早く家に入れ」
楓の背中を押す様にして、健介は荻野家の玄関を潜った。
「ねー、ちゃんと説明してよ…いきなり過ぎるよ、いろいろ」
「おぉ」
リビングに入ると、健介はカーテンを閉めた。
そして自分の身に起こった事を伝えられるだけ、伝えた。
さしもの楓も、健介が目の前で異形に変身すると、しばし言葉を失った。
「ビックリした?」
「え……うん、すごく」
「どう?」
変身を解き、尋ねた声は震えていた。
仮に拒んだとしても、恨みはしない。
「いやー、驚きはしたけど、ケンスケは…ケンスケだよね?」
「おう。中身は今まで通り、何も変わってねーよ」
楓は安堵したように、大きく息を吐いた。
「ならいい。話してくれてアリガト」
肩の荷が下りた健介は、下着が汗で湿っているのを感じた。
その後、二人は情報収集の傍ら、備蓄食料の回収に努める。
健介はその最中、秀人から来ていたメッセージ通知を確認する。
(は?…千晃が出てったァ?)
千晃が怪物がひしめく街に飛び出していったことを、健介はこの時に知った。
理由は分かる。無辜の人々が理不尽に犠牲になるこの状況を、看過することが出来ないという義憤。
この力を振るえば、幾らかの生命を拾う事が出来るだろう。
――しかし、一般人の視点からすればどうか。
要らぬ誤解を招いて、状況が悪化するのではないか。
罵倒や非難を浴びせられても、抵抗するなら問題ないのだ。
そういう手合いは集団の優位を信じて絡んでくるだけだから、逆に脅せば引き下がるはず。
しかし、千晃がそう判断するかどうかは分からない。
(あぁ…やっぱ、連絡つかねぇ)
おそらく、変身したまま街をうろついているのだろう。
合流するまで変身を解かないよう、健介は強く祈った。
健介はひとまず、秀人達との合流することに決める。
相談すると、涼葉がドラゴンを飛ばしてくれるとの事。
躊躇いはある。しかし、楓を連れて市内を突っ切るリスクを考えると、それが一番良さそうだった。
今なら昨日以前ほど目立つまい。
待っている間、ネットで情報を検索する。
一般人による怪物の目撃談が多数、投稿されていた。
テレビでも次々と異様なニュースが伝えられている。
――名古屋市内で大規模な暴動が発生。
――広小路通りに大型動物が多数出現。
一方、怪物が街中で暴れ回る写真や動画が次々と投稿されていた。
その中に健介の目を引くものが一つある。
――鶴舞に出現した、大型の飛行物体。
蛇のように細長い、人の顔を持つ異形。
全体図が掴めるのは、かなり遠くから撮られているからだ。
「ねー…やばくない、これ」
「大丈夫だって、俺がついてるから安心しろよ」
状況を呑み込み、憔悴した様子の楓を励ます。
楓の手には、台所から持ち出した包丁が握られている。
お互い、家族の安否確認は既に済ませた。
楓の両親も、一応無事のようだ。
今はお互い、勤め先の人々と行動しているらしい。
「早く来ないかなー、海野先輩達…」
「おう」
気まずい沈黙が流れる。
「こーゆう時ってさ、やっぱ皆、ショッピングモールとか行くかな?」
「お前、ゾン…いや、似たようなモンかな。まぁ、食料とか確保しようとするわな」
このパニックの期間によって、物資調達の必要性は変わってくるはず。
それを左右するのは、怪物たちの能力。
健介の体感では、怪物の身体能力はまちまちだ。
動く焼死体程度なら、武装した自衛隊がいれば問題ないと思われる。
灰色の大猿や、地下街のサソリ級となると、鎮圧するのは一苦労だろう。
ありがとうございました。




