宝探し(3)
【注意事項】
・ハーレムなし。
・デスゲームなし。
・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名とは一切関係ありません。
地下1階は、かつては飲食店街だったらしい。
左右には喫茶店やレストランが並んでいる。
看板はそのまま残されているが、入口は悉くシャッターやシートで閉め切られていた。
道隆の足音だけがあたりにこだまする。
視覚と聴覚に神経を集中させつつ、道隆は奥に進む。
左見右見していると、1枚の張り紙が目に入った。
――監視カメラが作動するので、通路内での無用な停滞や駐屯は厳禁といたします。
無視して歩いていると、地下映画館の出入口が目に入った。
入るか思案していると、背後で何かが空を裂いた。
振り返ると同時に杭を撃ち出す。杭は背後に現れたものを貫くと、壁を破りながら彼方に飛び去っていた。
道隆が振り向くと、首のない人間が仰向けに倒れ込む所だった。
首に当たる部分が太い糸で縫われており、長い両腕は上向きに伸びている。
倒れているそれは一言でいうと、Yの字に似ていた。
轟音が止む。
道隆が映画館から離れた時、首を絞められたような叫びが通路内に生まれた。
声が近づいているのに気付いた道隆は地下街の隅を陣取り、6本の杭を周囲に侍らせる。
壁を背にして待っていると、左手の奥に影が現れた。
現れたのは、体長100㎝前後の四本足の生き物だった。
長さ数ミリの触手が整然と生え揃う紫紺の皮膚を、骨のような白い外骨格で覆っている。
頭部を覆う骨は兜のようになっており、5つ並んだルビー状の球体は、目にあたるのかもしれない。
骨の獣は道隆を捕捉すると、犬のように鳴きながら走ってきた。
道隆は杭を3本ずつ、間隔を空けて飛ばす。
杭はあっという間に狼もどきの身体を貫き、1秒経って通路の突きあたりに刺さった。
足から激しく出血する狼もどきは杭の疾走に弾かれ、地面に倒れ込んだ。
狼もどきはゆらりと立ち上がると、鉄色の煙を口から吐いた。
煙の勢いは激しく、見る間に狼もどきの姿が隠されていく。
道隆は煙幕に突っ込むことなく、その場から杭を10本並べて飛ばす。
煙の向こうからキャンと聞こえた事から、少なくとも1発は命中したようだ。
煙が迫る。
道隆は煙を防ぐべく、水の壁を発生させた。
前方に現れた透明な壁は、通路いっぱいに隙間なく広がる。
まもなく、壁が吐き出した水が狼もどきを押し流した。
道隆は水流を鎮め、狼もどきにトドメを差そうとする。
顔を動かした時、強化された聴覚が動くものを捉えた。
――人だ。
確かめてみると、二人の少年だった。
背丈や顔立ちから見て、成人ではない。
華奢な方は髪を耳に掛かるくらいに伸ばしており、色白。
険しい目つきをしているが、繊細な印象がある。
背後の少年は、色白より大柄。
恰幅が良く、手足もがっしりしている。
小麦色の肌を含めると、スポーツでもやっているのかもしれない。
短く刈った髪の下の目は、蛇のように見開かれていた。
色白の少年はスポーツバッグを提げている。
彼は視線が合うと身体をずらし、大砲を出現させた。
道隆は間髪を入れずに身体を霧に変化させ、通路中に散った。
砲口が火を吹き、黒い真球が撃ち出される。
真球は背後に飛んでいき、着弾。
炸裂した火薬は壁や床にヒビを入れ、石に変換した。
石化させる大砲。
もしあれを受けていたら、変身した肉体とはいえ無事では済まなかったかもしれない。
推定、敵。いきなり攻撃を加えてきた相手に話しかける道隆ではない。
戦闘に陥る前に逃げてしまった方がいい。
後日、正体を辿られる恐れはあるが、その時はその時だ。
少年――前園浩紀が引き金を思考とした刹那、青い怪人が霧のように掻き消えた。
浩紀は銃口をあちこちに向けていたが、襲撃がない事を悟ると大砲をそっと消した。
背後の少年には一瞥も暮れずに、倒れている狼もどきの元に向かった。
「うっわー…滅茶苦茶。でも一応生きてるか」
浩紀はラバー手袋を嵌めた手で狼もどきを弄り回す。
カバンを開け、中から様々な素材を取り出す。
烏の死体、ゴムチューブ、糸…。
それらを費やして、浩紀は傷ついた狼もどきを治療する。
――浩紀の得た能力は「生物の改造」
傷ついた生物を修理できるのは、その応用。
ただし経験や知識に基づいた技術ではなく、超能力による施術だ。
素材や工程にどのような意味があるのか、浩紀には見当もついていない。
ただ、高価な素材を用いる程、高い効果を期待できるらしい事が分かっている。
狼もどきの修理を済ませた浩紀は、地下街の宙空に裂け目を開いた。
この異空間――浩紀が出会った超人が迷宮と呼ぶ場所は、主を必要としている。
このニュー今池ビルの現在の主は浩紀。狼もどきの改造を終えた時、運営権が彼に移行したのだ。
それ以来、ここはちょっとした秘密基地として使われている。
地下街通路の一角に姿を表した浩紀は、携帯を取り出すと、どこかに連絡を取り始めた。
「もしもしー。今池ビルの迷宮にいたんですけどー、狼がやられちゃってて…、犯人?青いエイリアンみたいなやつでした」
今後の方針などを話し合った後、浩紀は通話を切った。
浩紀は電話の主と、一種の共謀関係を結んでいる。
相手の仲間に捕まり、半ば強制的に結ばされたのだ。
逆らっても良かったが、あれこれ命令されるわけではないし、電話の主は底が知れず、事を構えるのは避けたい。
悪ガキを引き連れて、地上に出た浩紀は、路肩に止めた自転車に跨る。
二人乗りではない。彼は友達ではないし、それ故に改造したのだ。
命令さえしておけば、一人で自宅まで走っていく。
彼らの住まいから今池はやや離れていたが、1時間走り通しなら中学生の足でも問題ない。
ありがとうございました。




