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6月28日(2)

趣味で書き始めました。

読む前に、以下の注意に目を通してください。


【注意事項】


・ハーレムなし。

・デスゲームなし。

・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。

・読みづらい。

・残酷な描写や暴力表現あり。

・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名とは一切関係ありません。

 岩盤を刳り貫いたままの不格好なトンネル。

健介は濃さを増す闇の中で右に曲がり、下に降り、左に反れる。

しばらく走っているうちに、健介は見当識を失った。

些か不安になるが、幸いにも道は一本道。壁伝いに走っていると、視覚が光を捉えた。


 階段を昇っていくと、見覚えのあるホームに出た…栄駅だ。

振り返ると、金山・大曽根方面と書かれた案内板が掲げられている。

ホームは電灯でくまなく照らされているが、人気は全くない。

健介は少し歩いて、東改札を目指すことにした。


 駅を抜け、オアシス22に踏み込んだ時、4体の敵が襲い掛かってきた。

枝のような細い手足と、異様に膨れた腹を持つ人型が3体。蜘蛛の怪物が1体。

健介は両手に渦巻く炎を作り、敵目がけて投げつける。

3体の人型はあっけなく炎に巻かれたが、大蜘蛛は天井に糸を伸ばし、それに引っ張られることで炎から逃れた。

しかし無傷とはいかず、炙られた頭胸部の表面は黒く焦げている。


 大蜘蛛は天井に張り付いたまま、逃亡を試みる。

しかし健介にそれを見送る道理はない。火炎球を投げつけてやると、たまらず地面に落ちてきた。

消滅していく大蜘蛛の隣を通り過ぎようとした時、聴覚が物音を捉えた。


 急いで駆け寄ると、そこには同年代くらいの少女がいた。

プリーツスカートの端から、健康的な足が覗く。

少女は目の前に現れた怪人を見ると小さく悲鳴をあげた。

すぐ近くの階段には目もくれず、少女は脇をすり抜けて逃げようとする。


 健介は苦も無く肩を掴み、逃走を阻む。

少女は声にならない呻きを散らしながら、持っていたカバンを何度もぶつけてきた。

痛くは無いが、これでは埒が明かない。


「待て待て、殺したりしないから、落ち着いてくれ」


 健介が話しかけると、呻きとカバンの激しさが増した。

少女は激しく身を捩り、怪人の手から逃れようとするが、当の怪人からすればこの程度、動きが無いのに等しい。

しばらく思案した健介は一旦、変身を解くことにした。

少女も流石に我に返り、カバンを振り回すのを止める。

上半身を引いた彼女の顔には、猛獣が教室に現れた時のような驚愕がありありと浮かんでいる。


「これでいいだろ?俺はアンタの敵じゃない」

「人?」 


 気味が悪い、と言外に匂わす少女に、健介は小さく息を吐く。

「知らね」と返すのが、精いっぱいだった。


「とりあえず、ここ危ないんだよ。出口まで守ってやるから、一緒に行こう」

「……」


 頷いた少女に、健介は異空に迷い込んだ経緯を尋ねる。

クリスタル広場に向かっている途中、気付いたら自分以外の人間が消えていたらしい。

それから徘徊する化け物達を躱しつつ、構内をうろついていたのだという。

何度か出入口から外に出ようとしたが、出れなかったらしい。先ほど階段に向かわなかったのも同じ理由だと、少女は明かした。


「じゃー、そこまで行くから、あんま離れんなよ」

「……」


 この場所が吹上公園と同じような場所だとすると、恐らくそのあたりに出口があるはず。

また、大猿と同様、強力な怪物が潜んでいる可能性が高い。

駅に足を踏み入れてから、健介は怖気に似たプレッシャーを感じている為、その推測はほぼ間違いないだろう。

見たところ、少女は一般人のようだ。彼女を守りきれるのか、健介は少し不安だった。


 健介は挙動不審の少女を連れて、地下街を進んでいく。

右手には食事処、左手には喫茶店。

地下は煌々と照らされており、強化された視覚をもってすれば、彼方まで楽々と見渡せる。

二人の息遣いや足音しか聞こえない点を除けば、何度となく訪れた、栄の地下街そのものだった。


 歩いていた途中、本屋の軒先に転がっている手首が見えた。

少女は既に視界に入れたらしい。か細い悲鳴の後、すすり泣きが背後で始まった。

健介は少女から警戒を外す事無く、慎重な足取りで進んでいく。

更に歩くと、通路に落ちている膝から下が、二人の目に入った。


 十字路に差しかかる直前、5体の動く死体と遭遇した。

左手の薬局から3体、十字路の中心に建つ柱の陰から2体。

再度変身していた健介は少女の右隣を陣取ったまま、矢のような炎を標的に飛ばす。

炎は着弾すると一気に火力をあげ、動く死体を焼き尽くした。


 道中、何度となく敵に襲われたが、いずれも健介の敵ではなかった。

靴屋の前を通った時、少女が声をあげた。

顔を向けると20代くらいの男がこちらを見ている。

健介が声を掛けると、男はショーケースの間からするりと抜けだし、脱兎のごとく走り去っていった。

すぐさま追いかけようとしたが、隣の少女を思い出し、つい足踏みしてしまった。


「おーい、そっちは危ないって!化け物がいる…って聞けよ!!」


 少女と歩幅を合わせながら、健介は男を追う。

男の足はかなり速い方らしく、見る見るうちに距離が離れていく。

少女の視界に広場のオブジェがはっきり映る頃、前を行く背中が爆ぜた。


ありがとうございました。

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