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6月28日(1)

趣味で書き始めました。

読む前に、以下の注意に目を通してください。


【注意事項】


・ハーレムなし。

・デスゲームなし。

・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。

・読みづらい。

・残酷な描写や暴力表現あり。

・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名とは一切関係ありません。

 健介が気が付いた時、あたり一面は暗闇に包まれていた。

自分が横たわっている事に気付き、身を起こそうとすると痛みが走った。

目を凝らしていると瞬く間に光が戻る。健介がいるのは地下鉄の車内だった。

内部の有り様は悲惨極まりなく、この車両が乗客を運ぶことは二度とない。


 健介がいるのは3号車。

内部にあるのは剥がれかけた扉や壁、吹き飛んだガラス。あちこちに転がる手足の吹き飛んだ死体。

2号車は潰れており、先には通れそうにない。

(えーと、たしか…)


 秀人から連絡があった。

異空間と思しき妖気を捉えたので、調査に向かいたいというメッセージ。

健介はこれを了承、合流地点の今池に向かっている所だった。

栄を通り過ぎた事は、アナウンスがあったため、はっきりと覚えている。


 その時、車内に物体が焦げたような感じを健介は覚えたのだ。

小さな違和感は瞬く間に妖気に変じ、まもなく彼の目前で、爆発が起こったのだ。

健介は他の乗客同様、勢い良く吹き飛ばされ、そして今気が付いた。


 健介はぼんやりと物言わぬ乗客に目を遣る。

悉く皮膚が黒焦げており、五体満足でいられなかった者も少なくない。

ここで生を終える必要のなかった人々。どうしようもなかった、とは言っても、やりきれない思いが募った。

顔を覆うと、健介は大きく息を吐いた。


 動揺しつつも闇に慣れた目で、自分の状態を確かめる。

服は所々破けており、全身煤や埃で汚れている。

しかし、ざっと確かめた限りでは、外傷は見当たらない。

合鍵と財布、スマホは辛うじて無事だった。


 秀人達に連絡を入れると、立て続けに返事が送信されてくる。

ひとまず無事である事を告げると、向こうも安心したらしい。

今日の探索は中止、向こうにも自宅周辺を警戒するよう勧めて、健介はスマホを懐に仕舞った。


 たちこめる妖気の中、健介の身体が白い光の中に消えていく。

高校生男子が光の中に消え、代わりに真紅の巨躯がその場に現れる。

巨躯の怪人は立ち上がるとまず、死体を瓦礫の中から引っ張り出す事にした。


 しばらく時間が経ち、健介は目についた死体を全て助け出す。

その間、大声で生存者を探してみたが、健介の聴覚が助けを呼ぶ声を捉える事は無かった。

健介が黙祷を捧げると、犠牲者らの身体が炎に包まれる。

気が付いた健介が顔をあげると、火は嘘のように消えた。

無言で背を向け、5号車に足を向ける。


 その時、健介の前に黄色い肌の人型が3体飛び出してきた。

真紅の怪物が逞しい腕で殴りかかり、その内の2体を吹き飛ばす。

残りの1体も、頭を大きな手で掴むと、床に首までめり込ませた。

健介は足元の一体にストンピングを食らわせ、くるりと背中を向けて歩き去っていく。

僅かな時間の後、2体の異形はバネに弾かれたように起き上がった。


 4号車を通り過ぎる時、横に大穴が開いているのが目に入った。

焼けたソファに足をかけ、壁を歪めて、窓を広げてみる。

穴は延々と続いており、奥を見通す事は出来ない。

また顔を乗り出してみると、変身した健介が立って通れるくらい大きい事が分かる。

健介はちょっと考えて、また元のルートを直進し始めた。


 ややあって、健介は5号車まで辿り着いたが、やはり通れそうにない。

大きな身体を屈め、醜く潰れた車両を眺める。そのまま考える。

あれだけの被害が出たのだから、救助作業は既に始まっているだろう。

ならば自分は何を成すべきか。健介は、背後に現れた連中の元締めを倒す事だと結論付けた。

拳を握りしめる。


――さっきの穴に入るか。


 振り返った先には、あたりを朱色に照らす動く鎧が2体いた。

鎧達は火炎球を健介にぶつけてくるが、それらは炎熱を制する彼の肉体に、僅かな綻びすら入れる事は出来ない。

滑るように近づいてきた鎧の太刀を、左足を退いて躱す。

躱すと同時に、鎧の胴を豪快に打ち抜く。


 残った一体も、舞うような動きで健介に近づいてくる。

鋭い剣であったが、健介はこれを軽く避けると、前蹴りで甲冑を吹き飛ばす。

2体の消滅を見届けると、呼吸するように胸筋を上下させる。


 駆けていると、先程の横穴が見えてきた。

健介は踏みこもうとしたが、聴覚が足音を捉えると身を引き、音の方に顔を向けた。

見ると黄色い人型が3体、2号車の方から走り寄ってくる。

その動きはスムーズで、ダメージはほとんど残っていないらしい。


 健介は踏み込むと腕を斜めに払い、3体に殴りかかる。

彼らは弾かれたボールのように吹き飛ばされたが、その身体に負傷は認められない。


(なら、こっちはどうだ?)


 厚い胸板とがっしりした両腕の表面で、火炎が生まれる。

炎は燃える矢の嵐となり、轟音を上げて飛んでいく。

まもなく黄色の2体は炎に巻かれた。健介は刀を持っていない方の手に火炎球を生み、トドメと言わんばかりにお見舞いする。

無敵と思われた敵達は呆気なく炭と煤となって、地下鉄車両から消え去った。


 健介は燃える人型どもに背を向けて、横道に足を踏み入れた。


ありがとうございました。

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