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築城―初級編―

趣味で書き始めました。

読む前に、以下の注意に目を通してください。


【注意事項】


・ハーレムなし。

・デスゲームなし。

・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。

・読みづらい。

・残酷な描写や暴力表現あり。

・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名とは一切関係ありません。

 東区を襲った異常事態は、金曜の朝には世間の知る所となった。

依然として寒気が留まっている、徳川町のほぼ全域は完全封鎖。

東区では今も警察・自衛隊・消防隊が、被害状況の調査や行方不明者の捜索にあたっている。

金曜日の午前11時現在、吹雪に包まれた町の様子がテレビで中継されている。


 また、封鎖内には、徳川光明会が運営する徳川美術館が存在する。

建物自体が登録有形文化財に登録されているほか、館内には国宝や重要文化財を含む大量の収蔵品がそのまま残されている。

自衛隊や警察はこれらの回収を、被害者の救助と並行して行う事になっていた。


(結局こっちには来なかったけど、どうなるかな)


 しばらくの間、東区には様々な人々が押し寄せる事だろう。

超常の存在が明らかになるだろうか。

それとも何も掴めず、異常気象や原因不明といった言葉で保留されるのだろうか。


(面倒臭く無ければどっちでもいいけど。そもそも、探索する時間なんて無いしな…?)


 退職すれば容易に確保できるが、収入を考えると簡単には踏み切れない。

全員そろって高給取りでない為、道隆は家族と身を寄せ合うように生きているのだ。

負担している家賃の分は絶対に必要だし、少額でも遊ぶ金は欲しい。


 とはいえ、道隆は職場には一切愛着を持っていない。

化け物の襲撃で壊滅する、といった展開を僅かにだが、期待している。

そうなった場合は、自己都合による退職ではなくなる為、退職理由を一々考えなくともよくなる。

ただ碌なキャリアが無い為、今と同じくらい快適な職場を見つけるまでに苦労しそうなのが、その場合の問題点だった。


(本格的に防御を整えておいたほうがよさそうだな)


 この規模の事件が起きた以上、道隆も暢気に構えてはいられない。

現況が世間に知れる頃には、街が戦場並みの危険地帯になっている事も考えられる。

超人となった道隆は問題にしないが、家族は違う。

道隆が自立出来るだけの生活力を備えていない以上、彼らに被害が及ぶ事は避けなくてはならない。


 とりあえず、自宅の結界を強化する。

転居時に予想される手間を考え、部屋を改造し過ぎるのはこれまで躊躇していたが、もはやその段階でもないだろう。

押入れの空間を見た目以上に拡大させられる事から見て、防衛目的で使えば堅牢な拠点を構築できるはず。

道隆は昼食を摂ってから青い異形に変身。

そして自宅を要塞へ、戦闘にすら対応できる拠点に作り変え始めた。



 まず、張っていた"侵入者よけ"と範囲を同じくする"防壁"を設置する。

居住空間を囲む結界の中と外の行き来を出来ないようにしているのだ。

これは人間を除く魔物や悪霊のみを対象とするが、防衛効果は霊に偏っている。

もし肉体をもった相手が押し入ろうとしたなら、これでは防げない。


 だから"招かれていない相手全て"に対して、重圧の法則を敷く。

侵入者は自宅内において、一歩進むごとに重圧がかかる。

上限は無く、家から脱出するか、自壊するまで重さはかかり続ける。

ただし、こちらの効果が起動するまでには、しばらくの時間を要する。





 家族の帰宅時間が近づき、作業を切り上げた道隆は変身を解く。

パソコンを立ち上げるとネットサーフィンで無為な時間を過ごした。

1時間ほど経って、母親と妹が帰ってくる。


「温かい奴は結構食べられるな」

「アップルパイ嫌いなの?」

「パン屋とかに置いてある、冷めたヤツはな。食えたもんじゃない」


 さらに1時間ほど後、リビングに降りると、妹がアップルパイを作っていた。

道隆にも1切れ振る舞われ、兄は遠慮なく頂いた。夕食前だが、どうせ食べるなら焼き立てのほうがいい。

母は道隆より先に食べ終え、今はタバコを吸っている。

妹は感想が意外だったらしく、「お兄ちゃん、アップルパイ好きじゃないんだって~」と換気扇の下に立つ母に声を掛けた。


 道隆はサクサクとした生地を口に押し込みながら、身体から計6匹の怪物をリビングに呼び出す。

現れた者達の容姿は実に様々だ。


――胴体が無く、巨大な頭から手足を生やしたようなもの。

――弓を構えた亀と人間を混ぜたようなもの。

――青い衣をまとった一つ目の笛吹くもの。

――皺だらけのスーツを着崩し、耳まで裂けた口で笑う人間もどき。

――クマの体と3匹の蛇の頭を持つもの。

――赤い衣に身を包んだ若い女のようなもの。


 これがもう一つの力。

道隆の心の中に生まれて以来、体内で巣食う異形の群れ。

彼らはそれぞれ固有の能力を持ち、ひとたび指示を出せば道隆の手足となって働く。

今回下した命令を文面にすればこうなる。


【お前たちを憑かせた対象―家族の事である―を護衛する事。対象に攻撃を加えようとした者が人間と魔物のどちらか、あるいは両方であった場合は殺してもよい。

ただし、殺しに出ていく者は2体まで。必ず1体は対象についていなければならない。】


 指示を受けた彼らは、リビングでのんびりと過ごしていた二人に速やかに憑りつく。

対象の二人は異形達にちらりとも目を向けず、憑りつかれた時も反応を表さない。

弟が帰ってきたら、弟にも3匹の異形を憑かせる。これで自宅の外でも家族を護衛できる。

異形達の戦力の把握が出来ていない事、周囲の人間達に不審を抱かせる可能性など不安要素はいくつもあるが、町の状況を鑑みるに備えをつけた方が幾分かマシだろうと道隆は考えていた。


ありがとうございました。

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