表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/41

6月26日(3)

趣味で書き始めました。

読む前に、以下の注意に目を通してください。


【注意事項】


・ハーレムなし。

・デスゲームなし。

・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。

・読みづらい。

・残酷な描写や暴力表現あり。

・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名とは一切関係ありません。

 大猿の咆哮に反応して、鋭利な石礫が空中に現れる。

それらは矢の様に放たれ、四人に向かっていく。

健介は咄嗟に非変身者達の前に出た。

千晃は雷電で壁を作り、石の槍を弾こうとする。


 石の槍の一部は稲妻によって溶かされるより早く、健介を貫いた。

肩と腰に刺さった槍を躊躇う事無く引き抜く。出血は瞬く間に収まった。

健介は大きく踏み出し、大猿に向けて火炎の鞭を放つ。

火にまかれた大猿は両腕を振り回しながら健介から離れ、広場のあちこちを走り回る。

大猿が雑木林に逃げ去った直後、砂利から焦げた腕が複数突き出た。


「涼葉!アイツを呼べ!」

「あ、わ、うん!」


 秀人に呼び掛けられ、涼葉が叫ぶ。

突如、紅蓮の柱がその場に出現した。

色と言い、太さと言い、楠高校の近所に立つ大鳥居によく似ている。

円柱は広場を横切っていた健介の横を通過し、地中から現れた焼死体達を薙ぎ払っていく。

直後に突風が広場に吹き荒れ、現れたコープス達は姿を消した。


 見上げた健介の目に映ったのは、飛行機を思わせる大きな影。

機影の先端には爬虫類を思わせる巨大な頭。


《よそ見をするな、坊主》

「…おわぁあ――!」


 ドラゴン。あるいは龍。

洋の東西問わず語られる幻獣の代名詞。

その巨躯を覆う真紅の鱗は小型の盾のようであり、逞しい大顎は変身した健介すら思わず不安にさせる。


「ドラゴンさん、あっちに大きな猿がいて…」

《良かろう…》


 涼葉が地上から懇願する。

年季を感じさせる声が響き、真紅の天蓋が遠ざかった。再び風が広場に吹き下ろす。

直後にドラゴンは急降下し、雑木林に突撃。

巨竜は男の腕くらいの鉤爪で大猿を引っ掴み、すぐさま異界の空に舞いあがった。


《ん…これより上には行けぬか》


 ドラゴンは唸るとグラウンド近くのアスファルトに降下。

脚に掴んだ大猿を地面に叩きつけ、衝撃によって土煙と礫が舞い上がった。

真紅の巨竜は再び飛び立つと首を下に向けて咆哮する。

魔力の籠った吠え声は無色のブレスとなり、仰向けになった大猿の身体を路面諸共、見る見るうちに摩り下ろしていく。


 咆哮は十数秒続き、ドラゴンが口を閉じた時には大猿の姿は既に消え、砕けた地面には灰色の塵が広がっているばかりだった。

健介は空を見上げると同時に身体から力を抜き、巨竜の動きを突っ立ったまま、ぼけっと目で追っていた。

全てが終わり、ふと我に返った健介はドラゴンに背を向けて、涼葉に詰め寄る。


「おまっ…何だよアレ!?」

「ご、ごめんなさい!言うの忘れてて…」

《アレ呼ばわりとはな、間抜けの小僧め》


ドラゴンの嘲笑に苛ついた健介だったが、身体を丸めた涼葉を見て、声の調子を落とした。


「…別にいーよ。ちょっとビックリしただけだから。そんなにビビんなよ」

「そ、そうですか?」


 顔をあげた涼葉の元に、翼の異形が近づいてきた。


「気配が薄れましたね…」

「あー、そういえば、ちょっと涼しくなったな」


 周囲に漂う妖気が消えている。

完全に消えたわけではないが、表の吹上公園よりも気配が薄い。

空気中の湿度が下がり、深呼吸をすると少し爽やかな感じがする。

大猿がこの場所の主だったのでしょう、と千晃は結論づけた。


 安堵した健介は変身を解き、涼葉はドラゴンを内的世界に帰還させる。


「そーいや、秀人は…」

「先輩、あそこです!」


 姿が見えない秀人は、広場の隅で倒れ込んでいた。

外傷はないあたり、気絶しただけらしい。

健介が抱え上げると、すぐに気が付いた。


「お姫様みてーな奴だな」

「ん…敵は」

「もう倒した。帰るぞ」


 四人は入口の雑木林に向かう。


「これなら明日は徳川町に行けそうだな」

「俺、部活あるから、午後じゃないと無理だぞ?」

「わかりました」

「じゃあ、また明日」


 四人が空間に走る線から公園に戻ると既に夜だった。

園内には相変わらず人が多く、彼らはスマートフォンを構えてあちこち歩き回っている。

その一部は画面を覗き込んで、燥いだり小声で話し合ったりしている。

怪訝に思っていると、遠くから声が掛けられた。


「おーい、マツケン!アンタも心霊写真、撮りに来たのか?」

「は?心霊写真?」

「誰だ?」


 携帯を持ち上げたまま歩いてくるセミロングの女は、同じ学年の本田真沙子。

健介が質問すると真沙子は来園者達について説明してくれた。


――曰く、最近の吹上公園は心霊スポットとして噂になっているらしい。

人影は無いのに足音が聞こえるとか、歩いていると身体を触られたとか、突然灰や小石が落ちてくるとか。

また写真を撮ると、しばしば不審なものが映り込むそうだ。

今の時間にスマホ片手にうろついているのは、そういう好事家なのだ。


「マツケンもこういうの興味あったのか?正直意外なんだが…」

「あー、俺らは…」


 健介は秀人に目を遣る。

平静としている様だが、視線に落ち着きが無い。


「海野先輩、大丈夫?」


 涼葉が声を掛けると、秀人は弱々しい微笑で応える。

よく観察すると、身体を微かに震わせているのが分かる。


「大丈夫だ。自分で決めた事だからな。…今さら心霊写真程度で驚けるか」


 健介が視線を戻すと、真沙子が物珍しげに3人を見つめていた。


「初めてみる3人だな…ちょっと興味があるが」

「あー、俺ら、そろそろ帰るけど…」


 真沙子は視線を3人から健介に移す。


「それなら、私も帰るわ。キリもいいしな」


 5人は吹上駅で別れると、それぞれの家路についた。


ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ