6月26日(1)
趣味で書き始めました。
読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・ハーレムなし。
・デスゲームなし。
・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名とは一切関係ありません。
健介が唐突に異常を感知したのは金曜日の昼前。
気配は東から発せられた。気配は爆発の如く、一瞬の間に3人に叩きつけられ、まもなく雪のように溶けて消えた。
集中しても輪郭が分からないが、猿のような不快感も3人のような生気も感じられない。
千晃たちに連絡を取るべくチャットを立ち上げると、彼らの方から連絡があった。
向こうも発生した気配を感じ取ったようだ。その場で討論していても仕方がないので、4人は相談の末、集合場所を大曽根から今池に変更してトークを打ち切った。
稽古を終えた健介は、最寄駅まで一直線に駆け抜ける。
今池に着いた頃には3人は既に集まっていた。
「それでどうする?今日中に2か所回るのは無理だ。ルート分岐の形にならざるをえないが」
「あー、こっちでいいんじゃね…向こうは救助隊がいるし、入れないだろ」
東区で凍死体が相次いで発見される事件に今朝進展があった。
昨夜10時過ぎに徳川町で急激な気温低下が起こり、全域で積雪や降雹が確認されているという。
現在、街は封鎖され、自衛隊が原因解明と行方不明者の捜索を行っているらしい。
健介が気のない風に意見を述べると、表情を厳しくした千晃が拾った。
「山岸さんはどう思います?」
「えぇ…私も、こっちでいいと思う。海野先輩なら後ででも調べられると思うから…」
「そっか。じゃー、外に出ようぜ」
4人は地上に出た。
秀人が地面に触れた瞬間、感覚を頼りに徒歩で南下。
吹上公園から漂う不吉な気配を全員が認識した。
敷地内に入ってみるが目に見える異常は見つからず、園内では近隣住民が思い思いの時間を過ごしている。
「普通だよね」
「出所がよくわかりませんね」
秀人が露わにした気配は公園全体から漂っており、正確な発生源が辿れない。
「だな…で、ここから2人ずつになんのか?」
「いや、俺が追跡する。こっちだ」
四人はさらに奥に進む。
澱みない足取りの秀人について行くと、三人にも発生源を知覚できた。
決定的な違和感が、子供広場近くの雑木林の中に浮かんでいる。
表通りからは物陰になっている空間に、不可視の塊が線のように走っていた。
健介が線に触れると、周囲の空間が瞬く間に崩れ始める。
「松岡、不用意に触るな――」
「うわ、どうなってんの!?」
一見すると、周囲には変化がないように思える。
ただし見上げてみると、空模様が夕方から昼間のそれになっていた。
また、人の気配が全く感じられず、ちょっと歩いても誰もいない。
「誰もいないよ」
「た、多分、異空間か何かに引きずり込まれたんじゃないか?」
「マジか!?」
「そんな物まであるんですか…」
4人が現状について話し合っている時、周囲に漂う気配の濃さに変化が生じた。
まもなく、男女十数名が突如現れ、胡乱な足取りで彼らに近づいてきた。
年齢層は様々だったが、彼らの肌は焦げたように黒く、身体の一部から火の粉を撒き散らしている。
また彼らは健介達を見てはいなかった。彼らの燻ぶる眼球から、視覚は既に失われていた。
一番前を歩く男が腕を振り降ろすと、指の隙間から漏れる火が軌跡を描く。
「ね、ねぇ…この人たち…」
「知らねーけど、敵なんだろ」
「突然出てきましたね…」
「うぅ…千晃!やっておしまい!」
秀人が3人の背後に隠れる。
千晃と健介は秀人と涼葉を挟んで背中合わせの形になり、現れた集団――バーンコープスの動きを注視する。
「先に行くぜ!」
言うが早いか、健介の身体が純白の燐光に包まれる。
まもなく真紅の異形が姿を現し、集団を構成する片方の組に向かっていった。
「そっちは頼みます!」
千晃の身体が白い光の中に消える。
代わりに現れたのは、黄金の装飾に身を包んだ白い肌の異形だった。
肩甲骨から生える一対の翼が、一体化した下半身を空に浮かべている。
異形――変身した千晃の全身が山吹色の火花を散らす。
彼が得意とする「雷」の力が、緊張に呼応して漏れ出しているのだ。
千晃が気合いを発すると同時に、空中に輝く円盤のようなものが出現する。
それは門であった。刹那の後、彼の前方で光の帯が何本も弾けた。
人体くらいは容易く焼き尽くす電流を束ねたものを、千晃は近づくコープス1体につき1本、豪快に投げつける。
その攻撃速度は常人よりも動きの遅いコープスに対処できるものではなく、彼らは成す術なく塵のように消えた。
ありがとうございました。