総員、集合ッ!
「ハッ、ハッ…ゼェ…ゼェ…」
彼は絡まる脚を叱咤し、岩陰に転がり込むとすぐさま無線機のマイクに怒鳴りつけた。
「レンジャー!こちらスカウト!」
ザー…
「ハンター!タイガー!こちらスカウト!」
ザザー…
「HQ!HQ!応答せよ!」
ザー…ザー…
激しい雨が彼の身体を打ち、無線機のノイズは雨音と相まって虚しく響く。
ガサガサッ!
「ッ!?しまった!囲まれた!?」
四方八方から聴こえる足音に彼は身をこわばらせる。
ザッ、ガサッ、ザッザッ
徐々に距離を詰めてくる気配を感じ、彼は大切な人を想いながら呟いた。
「ちくしょう…なんでこんな目に…」
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──時は遡って前日
「仁村中尉入ります」
戦車小隊長の仁村徹人中尉は、C組代表であり全部隊を率いる今村将一郎大佐に呼ばれ作戦室に入った。
部屋には既に各隊の隊長が揃っていた。
1番奥のデスクには今村が腕を組んで黙りこくっている。瞑目しており表情は読めないが、短髪で無精髭を生やした厳つい顔はいつ見ても同じ高校2年生とは思えない。
「悪い、待たせたか?」
仁村は今村に声をかけた。
「…………zzz」
いびきが返ってくる。
「また寝てんのかよ!ったく、目を離すとすぐ寝やがる…」
仁村は今村を起こしにかかった。
「なんでこんな奴がトップなんだか…」
痩身で周りより頭一つ高い航空隊長天地大輔大尉がボヤく。
航空機全般と対空兵器を装備する部隊の長だが、彼自身が高所恐怖症の為ヘリに乗ることはない。しかし物理演算が得意な彼の手にかかれば戦闘機に高射砲を当てるのもお手の物だ。
「階級は基本的にテストの成績順ですからねぇ」
対照的に恰幅の良い後方支援隊長飯沼守中佐がそれをなだめた。
彼は成績が良い上に補給や糧食等の部隊を後方支援隊として一括でまとめ上げているので階級も高めだ。それも彼の優秀な経営能力の為せる技だろう。
「ま、テストが全てじゃぁねぇがな!」
歩兵隊長の千田浩次少佐が付け加えた。
彼の成績は中の下といったところだが、実技の成績が非常に良い為少佐まで昇りつめた叩き上げである。その鍛え抜かれた肉体がそれを物語っている。
歩兵隊は人員が多い分小隊を複数擁している為、彼の階級もやや高い。
「……(こくり)」
千田の言葉に無言で賛同したのは偵察小隊長の横田忍中尉。
隊長達の中では紅一点のスレンダーでクールビューティーという言葉が似合う寡黙な美少女だ。
「…んぁ?ああ、みんな集まってるね。それじゃあ会議を始めようか」
仁村に叩き起こされた今村が眠い目をこすりながら、その強面に似合わない穏やかな口調で切り出した。
「まず体育祭の概要からだね。今回はトーナメント制でエリアを一定時間占拠する制圧戦だ。8クラスあるから丁度3回戦う事になる。折角の大イベントだ、優勝目指して頑張ってね」
まるで他人事のように語る今村。
「まず1回戦で当たるのはD組。ここは後方支援がしっかりしたクラスだから補給路を分断してしまおうと思う。フィールドは山岳エリアだから地形を上手く使ってね」
「おいおい、随分と雑だがそれでいいのか…」
「つまり回り込めばいいんだな!よし!」
天地と千田がそれぞれの反応を見せる。
「あ、それと無線での呼び名ね。今回もいつも通り
歩兵=レンジャー
戦車=タイガー
偵察=スカウト
航空=ハンター
後方&本部=HQ
で行くから。それじゃ、細かいところ詰めていこうか」
今村の言葉を皮切りに各隊長は打ち合わせを始めた。
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ここ私立原村高等学校は山奥に建てられた全寮制の学校である。
学校では前述した通り成績によって階級が与えられ、自衛の授業の時のみ軍隊的な形式をとる。更に校長を元帥とし、教師を将として学校単体で1つの軍を模している。
特に「体育・自衛」に力を入れているこの学校は広大な敷地を有し、山岳地帯や密林、更には人工的な砂漠地帯等のフィールドも設けている。
そして体育であるからには体育祭があるのだが…
この学校の体育祭はリレーや綱引きではない。
1年生は個人の技術の高さを競い、2・3年生はクラス毎に制圧戦を行う。
そして最後に全校生徒を2チームに分けた大規模な制圧戦を行うのである。
…どさっ
「くそっ…!また1人倒れたか…」
「このままじゃ全滅だぞ…」
「…私も、そろそろ限界、かも…」
「「「早くなんとかしないと…!」」」
熾烈な体育祭が今、始まる!
皆様、初めまして。Gumdropsと申します。
趣味で小説を書いているので更新ペースは遅く不定期、加えて稚拙な文章というWパンチで読み進めづらいかと思いますが、気長に読んで頂けたらと思います。
ご意見、ご感想等いつでもお待ちしております!
第1話、最後まで読んで頂きありがとうございます
※本作「状況、開始ッ!」は現在アルファポリスにて連載中です。そちらではもう少し進んでますので、気になった方は是非。
気に入って頂けると幸いです!




