表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

Be my baby

作者: 三ッ矢渚

取り敢えず書いてみた感が強いです。

「センパイ、付き合ってくださ」

「無理」


耳たぶまで赤く染め上げた、幾分可愛らしい外見をした後輩を食い気味にぶった切ったのは別に私が自惚れているとか、傲慢な性格だとか、そういうことではなくて。

私が今バイト先のイングリッシュティーカフェのメイド服(のように見える制服)姿で、目の前の可愛らしい後輩にロイヤルミルクティーを注いでやっているからである。というか、


「いい加減、場所と状況は選んでくれないかな。TPOだよ、TPOだよ」

「TPOの使い方を微妙に間違えてますが、そんな実は頭足りないところも可愛くてたまらないです! 先輩のその服装はTPOに準じて今日もバッチリですね! けしからんです!!付き合ってください!!」

「うるさい」


さりげなく馬鹿にされたことに腹を立てながらも、脳内メモにしっかりと「TPOをググる」と暗記する。後でWikipediaを熟読してやる。絶対にだ。


しかめっ面で給仕をする私の前でニコニコしながら、こちらを見つめてくるコイツは、大学のインカレサークルの後輩である。二週間ほど前、久々に顔を出したサークルの飲み会で何故か懐かれ、それ以来何かと私の生活圏に出没しては息をする様に告白される。ストーカーだろうか。そろそろ警察に突き出したい。


しかし、コイツは非常に認めたくないことに無駄に見目がいい。お母さんがイギリス人だかの、ハーフらしく色素の薄い髪と瞳を持ち、クリクリとしたぱっちり二重に高めの鼻、無駄に長い足という日本女子が全力で憧れそうな外見をしており、しかも名門国立大学の政経学部。頭もいい。故にめっちゃモテる。

それはこの二週間の間で目の当たりにして、よーく理解した事実である。そして、見目のいい男というのは女を無条件で味方につけるらしく、付きまとわれてても僻まれるし、拒絶しても非難される。もう私にどうしろって言うんだ!!という状況に持ち込まれてしまうのだ。警察なんかに突き出したら私の方が社会的に抹殺されかねない。


ということで、私の方でもイケメンを取り敢えず放っておくということにしている。付き合うという選択肢はない。私はマッチョメンがタイプなのだ。


充分に蒸らしたロイヤルミルクティーを温めたカップに注ぎ、お茶請けに昨日の仕込みで作らされた、甘いビスケットを一緒に出す。砂糖を入れない濃い紅茶とベッタベタに甘いお菓子を一緒に食べるのがイギリス式である。


「こちら、ロイヤルミルクティーと当店特製のビスケットです。とっとと食べて帰れ」

「いつも通り、センパイの入れるホワイトティーは格別ですね。そのキツめの発言も懐かない猫みたいで可愛らしいです」


私は思わず舌打ちをかます。なんだこいつのポジティブっぷりは。布団にパンチしてる様で全く手応えがない。思わず手が出そうになるのを抑えて、カウンターにさがると、ベスト姿でこちらをニヤニヤと見る顔とぶつかり、頬がヒクつく。


洗練された雰囲気あるイングリッシュティーカフェであるにも関わらず、無精髭と鳥の巣みたいなワカメ頭のせいで店の内装から完全に浮いてしまっているそのおっさんはニヤニヤとした顔をそのままに私の頬をつつくので思い切り鳩尾にグーパンを決め返してやる。

噎せ返っているが、知らん。汚い。


この汚いおっさんはこの店の店主である。店主でありながら誰よりも店の内装に似合わないという奇跡を体現してしまっているが間違いなく、このお店を一から作った店主である。


噎せているその顔面に布巾を投げつけて、お盆を手渡すと大人しく拭き始めたので、私も大人しくお湯を沸かし始めようとした。


「もう2週間彼ここに通ってますけどいつ付き合うの?」


思わず用意していたヤカンを落としてしまい、おっさんを睨みつけるとこちらをニヤニヤした顔で見つめている。


「いやあ、猛烈だからさ。折れるのかなって思って。あ、もしかしてそういうプレイ中? 焦らし的な? 」

「うるさい黙れおっさん」

「あ、おっさん言いよったな!! お兄さんと呼べ!!」

「うるさい似合いもしないモスグリーンのベストなんぞ着て来やがって」

「え、うそ、俺似合ってない? 割といけてると思ったんだけど! ほら君らのメイド服と色お揃い!」

「だからメイド服と言うなと…!」


大体、そういうシンプルな色合いと形の服は無精髭の汚らしいおっさんじゃなくて、スタイルに恵まれた奴でないと着こなせない、と間違いなくおっさんよりはこの店の雰囲気にマッチしている男の方に目線を向けたら、何故か物凄くこちらを睨みつける男と目があった。


睨みつけるといっても、頬を膨らませて子供みたいにこっちをジト目で見てるだけだけど。なんだか凄い可愛らしいんだけど。


思わず漏れた舌打ちに気づいたらしい彼は徐ろに立ち上がるといっそう頬を膨らまして私に叫ぶ。


「センパイ、おっさんとばっか話してないで俺にも構って! 付き合って!!」

「おっさん言うな!」

「うるさい黙れ、お茶飲んだなら帰れ」

「じゃあおかわり!!」

「あ、俺も飲みたい」

「働けおっさん」

「センパイこっち来て! 俺のテーブルついて! 指名料なら払うから!!」

「キャバクラじゃないんですけど!?」

「仕方ねえな。5000円な」

「あんたものるな!!」


2週間。こんな感じで慌しく私の平穏は奪われていっている。

取り敢えず付き纏われないバイト探そうと思う。内職とか。

尻すぼみ感すごくてもうしわけないです…完全にとっ散らかって力尽きました。力不足です。


お読みいただきありがとうございました。感想苦言どしどし待ってます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ