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6・おかえり

エピローグです。

 翌春。


 希望通りの大学に受かった僕は、祖父母の家を訪れていた。ここからなら比較的近く、どうしても一人暮らしをしたいというわけでもなかったので、下宿させてもらうことになったのだ。

 都会の春は出会いと別れの溢れる季節。だから去る者にも来る者にも、夏ほど排他的ではないみたいだ。そして白い家も黒いアスファルトも同様で、陽炎の中を帰る時より優しげに見えた。ただ霞がかっているのだと言えばそれまでだけど。

 僕に用意された部屋は、毎年使っているあの部屋だった。しかし、「少し模様替えしてみたのよ」と自慢げに扉を開けた祖母ちゃんは、次の瞬間、悲鳴を上げて腰を抜かし、僕に支えられることになった。

 祖母ちゃんをどうにか廊下に座らせた僕は、止められるのも聞かず、入室した。そしてベッドの上を見れば、祖母ちゃんが悲鳴を上げた理由がすぐにわかって、苦笑した。


 白い壁に浮かぶ黒い文字が、僕を迎える。


 これは間違いなく祖母ちゃんの模様替えじゃないだろうし、誰がどう見たってホラーだ。

 だけど僕にはそれは、恐ろしいなにかではなかった。懐かしい、そしてどこか切ない筆跡。そこにはあったのはただ4文字だけの、ひらがなで。

 あの笑い声が脳裏によみがえる。僕は思わず笑顔になっていた。そして誰にも聞こえないくらいの声で、呟く。


ただいま、と。

※モノクロ・ハレーションのわかるようでわからない解説

・白黒→コントラストから、明子

・白とび→カメラには白とびを起こしているように写っても、人間の目にはみえているもの、というのがミソ。


これにておしまいです。

ありがとうございました!



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